日本で生まれた手帳文化、変わった形で中国に根付きつつある―中国人学生

日本僑報社    2019年12月8日(日) 17時30分

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中国で日本生まれの「ほぼ日手帳」が大人気だそうだ。中国の手帳ブームの流れに乗った天津財経大学珠江学院の楊昊瑜さんは、自身と手帳について作文に記している。

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中国で日本生まれの「ほぼ日手帳」が大人気だそうだ。今年9月に初めて大手ネットショップ・天猫(Tmall)に登場すると、販売開始から5分で100万件を超える注文があったという。中国の手帳ブームの流れに乗った天津財経大学珠江学院の楊昊瑜さんは、自身と手帳について次のように作文に記している。

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最近、中国の若者の間で「手帳」というものが流行っている。カレンダーが付いている小さい記録本のようなもので、毎日の行程をそこに書くのは一般的な使い方だが、これだけでは「手帳」とは言えない。「手帳」を書くには、カラフルなペンを使うのが定番で、可愛いシールや雑誌の切り抜きなどで飾ってあるのだ。絵が上手な人は自分で絵を描いたりもする。みんなは自分なりのユニークな手帳を作っている。

調べてみたら、「手帳」とは日本から伝わった言葉だ。日本では、サラリーマンはもちろん、学生から主婦に至るまで、みんな「手帳」を身に付けているようだ。手帳の種類も驚くほど多い。真面目な日本人にとっては、約束したことを、万が一忘れてしまうと大変なことになるので、手帳にメモしておかないと安心できない。日常の生活と仕事もこの手帳一冊で計画が立てられる。手軽な日記としても使われていて、アイデアとかも書かれているそうだ。いつでもどこでも手軽にチェック、メモできるところは魅力的であろう。手帳は既に日本人の生活に欠かせないものになったのだ。日経ウーマンのインタビューで、ある女性は「手帳は私の“脳”だ」と答えていた。

日本人の生活に対する真面目な態度に、私はいつも感心させられている。しかし、細かく計画を立てる習慣もない中国で、なぜ若者が手帳に夢中になったのだろう。私は去年、友達から手帳の存在を初めて聞かされた。初めて見た時、単にそのかわいいシールと簡潔なレイアウトに惹かれた。こうして気がつかないうちに、ついテープやシールを貼りたくさん書き込んでいた。最初は何を書こうかと迷っていたが、自分が好きな歌詞とか、読んだ本の中の好きな文とかから書き始め、その後、自分の日常や気持ちも書き込んで、だんだん夢中になってきた。生活がスムーズに進んでいった上、手帳のレイアウトによって気分転換もできた。手帳のおかげで、楽しい数カ月を過ごせるようになった。

なるほど、手帳を書くということは簡単な日常記録だけではなく、精緻なライフスタイルでもあるんじゃないかと思う。我々は毎日たくさんの人に出会っていて、いろいろなことを扱っているが、手帳によって生活は実体化できる。物事が紙に書かれると、「あ、本当にあった」という実感がする。人が成長するには常に振り返ってみる必要があるが、手帳を通じて、過去の自分を客観的に見られるのだ。

手帳は人生の本のようにも見える。過去のことを記録し、未来のことを計画する本なのだ。日本のある有名な企業家が自分の成功を「夢を書いている手帳」とまとめた。彼は毎日、手帳を見ていて夢が現実になっていると感じたら、ますますやる気が出てくるという。つまり、その夢を一カ月に、さらに一日に分けていくことで、一歩一歩、自分が一番なりたい人に近づくわけだ。

手帳を書くのは生活に熱情を持つ証拠でもある。毎日出会った人にせよ、うちへ帰る途中で見た花にせよ、みんな一日の生活をした跡だ、と思うのは日本人の考え方だ。これらを手帳に記録すれば、温かい、大切な思い出になるのだ。

日本で生まれた手帳文化は、ちょっと変わった形で中国に根付きつつある。これは偶然ではないと思う。ハイスピードな発展を経て今の中国は、まさに新時代に向かっている。一生懸命前向きに走っていた中国人も、ようやく一息をつくことができて、生活そのものを見直し始めている。流行語になった「匠の精神」もその証の一つだと言える。

中日両国は昔からお互いに学び合う関係だったが、「職人の国」と言われる日本には、「手帳」のような参考になることがまだあるに違いない。周りの風景や道端の花に気がつけない旅はつまらない。忙しい毎日の中で、足を止めて、私の「手帳」を見つけたい。(編集/北田

※本文は、第十四回中国人の日本語作文コンクール受賞作品集「中国の若者が見つけた日本の新しい魅力」(段躍中編、日本僑報社、2018年)より、楊昊瑜さん(天津財経大学珠江学院)の作品「マジックな手帳」を編集したものです。文中の表現は基本的に原文のまま記載しています。なお、作文は日本僑報社の許可を得て掲載しています。

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