「日本が大好きですが裏切り者と呼ばれます、どうすれば…」、先生の答えは…

日本僑報社    2019年10月6日(日) 16時0分

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日本が大好きだという杭州師範大学の陳夢嬌さんは、友達から「裏切者」と呼ばれた時に心の支えになってくれた先生を紹介した。資料写真。

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中国には過去の歴史から反日的な考えを持つ人が多い一方、日本の文化に魅力を感じる人もいる。そうした人たちは、少なからず周囲との意識の「ギャップ」に苦悩する。日本が大好きだという杭州師範大学の陳夢嬌さんは、友達から「裏切者」と呼ばれた時に心の支えになってくれた先生を、自身の作文の中で紹介している。

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私は昔から弱気な人間でした。中学生の時、私は日本の文化が大好きで、いつか日本に行きたいと思っていましたが、でも日本語は全然分からりませんでした。そんな私に日本のことを教え、理解させてくださったのが国語教師の魯先生でした。

ある日、先生は授業中突然、戦争の話を始めました。先生は専門の国語教科以外のお話もとても上手な人でした。いつも先生の授業なら、学生たちは指名されるのを恐れて、緊張しています。しかし先生がこの話を始めると、教室はいつもにぎやかになりました。学生たちは戦争に興味を持っていて、その話は人気があったのです。

先生は、朝鮮戦争、解放戦争などの様々な戦争の話をしてくださいましたが、一番人気があったのは抗日戦争でした。その日も、抗日戦争が話題でした。その話を聞くと、一部の学生は何だか嬉しそうな顔をして、「戦争を怖がらず、積極的に参加しよう」と言いました。それは、日本のことが大好きな私とって、みんなの悪意を感じる瞬間でした。「裏切り者!」と悪口を言われることもあったくらいです。

その時、先生は真剣な顔をして「君たちなら、ライフルを見るとすぐ逃げ去ると思うよ。いいかい、戦争は災厄なんだよ。私たちは平和をちゃんと大切にしなきゃね。自分の命も同じだよ」と言いました。それから、先生はお祖母さんのことを話し始めました。先生のお祖母さんは抗日戦争を経験した人です。その時、彼女は銃弾に当たらないために濡れた布団で体を覆って、戦場を逃げたこともあったそうです。戦争は彼女の命こそ奪いませんでしたが、周りの大勢の人が死んでしまったそうです。「戦争はそんな残酷なものだ」と言って、その日の授業は終わりました。

授業の後、私は事務室に行って、「先生に聞きたいことがあるんです」と言いました。先生の顔を見て、「私はどうすればいいですか?日本が大好きです。でも友達に裏切り者と呼ばれています。日本を嫌うべきですか?」と聞きました。「いいえ、それはあなたのせいではなく、教師の落ち度だ。勇気を出しなさい!世界の人々、特に日本と中国は、仲良くつきあっていくべきだと思うよ。だからあなたみたいな人が必要なんだ。あなたは、世界の懸け橋になりなさい」と、先生は答えました。

教室に戻ると、がやがや騒いだ学生たちはまだ戦争の話を続けていました。私は静かに座って先生の話を考えました。裏切り者と呼ばれた自分に何ができるのか。先生の「世界の懸け橋になりなさい」という言葉が心に響いていました。

次の国語授業でも、先生はその戦争の話を続けました。「日本も中国と同じで、取り返しのつかない損失だけが残った。戦争に勝利者はいないんだよ。君たちは平和の時代に生まれた若い世代だから、戦争を経験したことはない。戦争をおぼえていなければならないのは、人類が互いに憎みあうためではなく、平和のためにお互いに頑張るためだ。君たちは、これから世界の懸け橋にならないといけないんだよ」。なぜ先生が授業中に突然戦争の話をしたのか、少し理解できます。今の世界は平和と激動が共存する時代です。

度々ネットでは中日関係のスレッドが見られますが、皮肉な言葉が多いです。そういう時は先生の「世界の懸け橋になりなさい」という言葉を思い出します。だから絶対スレッドに「私は日本語を勉強中の中国人。私の願いは世界平和だ」と書き残します。

中学時代は短い時間でしたが、先生と出会い、そして先生から聞いた日本のことを今までも忘れられないです。先生の話は、日本語を学びたいと思っていた私に過去と現在を理解する重要性を教えてくれました。今の私は、自分の過去の経験を踏まえた上で、中日交流の懸け橋になるために一生懸命日本語を学んでいる最中です。(編集/北田

※本文は、第十四回中国人の日本語作文コンクール受賞作品集「中国の若者が見つけた日本の新しい魅力」(段躍中編、日本僑報社、2018年)より、陳夢嬌さん(杭州師範大学)の作品「心に残る、先生のあの言葉」を編集したものです。文中の表現は基本的に原文のまま記載しています。なお、作文は日本僑報社の許可を得て掲載しています。

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中国人の日本語作文コンクール受賞作品集はコチラ
http://duan.jp/item/267.html

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