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米国は日韓調停のための政治的手段を十分に持ち合わせていない―中国専門家

Record China    2019年7月30日(火) 7時40分

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28日、中国メディア・新京報は、中国社会科学院世界経済・政治研究所の肖河氏による文章を掲載した。資料写真。

中国メディア・新京報は28日、中国社会科学院世界経済・政治研究所の肖河(シャオ・ホー)氏による、「トランプ政権は本当に日韓貿易戦争の調停に乗り気なのだろうか」と題した文章を掲載した。

肖氏は、「7月31日から8月3日にかけて、タイ・バンコクで東南アジア諸国連合(ASEAN)地域フォーラム(ARF)が開催されるが、そこには日本の河野太郎外相と韓国の康京和(カン・ギョンファ)外相、米国のマイク・ポンペオ国務長官も出席する。そこで日米韓の3カ国外相会談が開かれる可能性が示唆されている」と指摘。「これは、これまで無関心を装っていたトランプ政権が、冷え込む日韓関係の調停に入る姿勢を見せたことを意味する」とした。

続いて、「日本が今月初めに韓国に対する半導体材料の輸出規制を強化してから、すでに1カ月が経過している。しかしこの『日韓貿易戦争』の緊張が緩和する気配は全くない。経済と安全保障という観点から見れば、米国にとっても今回の日韓衝突は一大事である。なぜなら、韓国の半導体やチップの輸出は世界のサプライチェーンにおいて重要な位置を占めており、日本の輸出規制の波は、デルやアップルなどといった米国のハイテク企業を襲うだけでなく、米国や世界の経済成長にまで影響を与えるからだ。さらには、米国が近年、安全保障のために注力してきた東アジア外交の成果が無駄になってしまう可能性もある」と説明した。

しかし、「日韓関係改善の重大性を多くの米国の政治家が叫んでも、トランプ大統領にはそれほど響かなかったようだ」とも指摘。「米国政府の東アジア担当部門は日韓貿易戦争勃発直後の2週間、意図的に事態への介入を避けているようだったし、米国務省で東アジア・太平洋を担当する国務次官補に新たに就任したデビッド・スティルウェル氏は、NHKの取材に対して『調停や介入をするつもりは全くない』と言い切った」と紹介した。

そして、「今月中旬、文在寅(ムン・ジェイン)大統領が日本の輸出規制に対し強硬な態度で挑むことを宣言し、さらには関係悪化に乗じて日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)を破棄する姿勢を暗に示したために、ようやくトランプ政権は必要な場合には日韓に介入することを決めた」と説明した。

肖氏は一方で、「米国は調停のための政治的手段を十分に持ち合わせていない」とも指摘。「米国が介入する姿勢を見せてから、日韓の貿易戦争はエスカレートこそしなかったものの、根本的解決もなされなかった。米国は今後、バンコクやニューヨークで行われる首脳会談の場を借りて日韓の交流を促すだろうが、そこに楽観的な見通しはない。米国は依然として日本と韓国それぞれにとって『最も親しい友人』であるものの、トランプ政権下の米国は、日韓両国に得をさせたり、米国に便乗させたりすることをますます好まなくなっている。そのことが、米国が日韓相手に使える政治の駒の数を減らしている」とした。

その上で、「日本の参議院選挙も終わり、日米は農作物や自動車の関税に関する協議を再開した。それと同時に米国は韓国とも貿易交渉を行っている。米国は日本と韓国にそれぞれ、軍事費の負担増を求めている。米国はすでに、安全保障や貿易の分野において、『与える者』から『搾取する者』へと変貌した」と指摘した。

肖氏は最後に、「日本や韓国から短期的な利益を得るために、トランプ政権は米国がこれまで積み立ててきた政治資本を大量に消費してしまった。米大統領選がすぐそこまで近づいている中、米国が重視すべき唯一の事柄は、日米、そして米韓の貿易協定からより多くの『実益』を得ることだろう」と結んだ。(翻訳・編集/岩谷)

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