ユニクロの「世界統一賃金構想」、日本人には両刃の剣―中国メディア

Record China    2013年5月9日(木) 7時30分

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7日、ユニクロは世界の店舗を同一規格にする方針を採っており、本社はこのほどこの方針をより深いレベルで徹底するためのある措置を打ち出すとした。写真は上海市にあるユニクロの店舗。

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2013年5月7日、明るい店内、カラーごとに並べられた商品、ニコニコした店員。日本の東京でも、上海でも、米国のニューヨークでも、ユニクロの店舗に入ると同じ光景を目にすることができる。ユニクロは世界の店舗を同一規格にする方針を採っており、本社はこのほどこの方針をより深いレベルで徹底するためのある措置を打ち出すとした。文匯報が伝えた。

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ある措置とは「世界同一賃金構想」だ。日本のメディアはこのほど、「ユニクロ」ブランドを擁する日本の株式会社ファーストリテイリングが、日本を基準として、従業員と役員に対する給与・賞与を世界で統一する「世界同一賃金構想」をうち出したと報じた。日本紙のサイトでの調査によると、多くの日本人はこの構想を支持せず、理由として「日本国内の市場環境や雇用環境が一層破壊される」ことを挙げた。またある専門家の指摘によると、この構想は両刃の剣だという。

▽「日本待遇」は世界の人材確保にプラス

一連の分析機関がまとめた統計によると、ここ数年の日本のユニクロ店舗店長の平均年収は670万円だ。同紙の報道によれば、同一賃金のシステムであれば、世界のどの場所にあっても、同じ業績を上げたユニクロの店長は日本の店長と同じレベルの年収をもらえるようになる。

また報道によると、同社は欧州、米国、中国など13の国と地域で採用した正社員・役員約4900人を「グローバル総合職」と位置づけ、職務内容に応じて19の職階に分け、職階に応じて賃金を決定している。職階の上昇は業績に基づくという。また同社は海外の社員の勤務態度が日本国内と同レベルにあり、業績も同レベルであれば、海外の社員に日本と同レベルの賃金を支給するとしている。

同社はこれまで社内公用語を英語にしたり、海外で店舗3000店を開設するなどの壮大な計画をうち出したりしており、今度はさらに世界同一賃金構想をうち出した。業界関係者からみると、同社は近年、グローバル化に対応するために努力しているという。その背後にあってよりどころとなっているのは、海外市場開拓での好調な業績だ。同社が最近発表した半期の財務報告によると、2012年9月から今年2月までに、海外市場で目を見張る売上を達成し、売上高は前年同期比54%、営業利益は同39.8%、それぞれ増加した。このうち中国などのアジア諸国が最も売上に貢献したという。会社の業績の好調さにともない、柳井正社長の個人資産は155億ドル(約1兆5300億円)に達し、米経済誌「フォーブス」の長者番付では今年再び日本トップの座に着いた。

柳井社長はこのほど同紙の取材に応える中で、世界のどの場所であっても、同じ仕事をすれば同じ賃金がもらえるようにすべきだ。これが自分の出発点だと述べた。狙いは、高給によって新興市場を含む各国で優れた人材を確保し、海外業務をさらに拡大するところにある。経済グローバル化のプロセスの中で、国が変わると賃金がかなり低くなってしまうというのでは、世界規模での発展を考える企業にとっては非常に不合理だという。

▽「社内失業」がさらに悪化?

海外市場におけるユニクロの成功は、モデル転換中の日本企業に1つに道筋を指し示した。ビジネスアナリストの大元隆志氏の指摘によると、同社の世界同一賃金構想は企業の発展にとって合理的なものであり、日本企業がグローバル化の挑戦に対応する際の1つの手本になるという。

日本の東京大学の後藤則行教授は取材に応える中で次のように述べた。ユニクロの好調な業績はグローバル化という両刃の剣の影響を前にした日本の苦境を覆い隠している。新興国が日に日に世界の生産・商品の中心となり、日本企業はますます多く目を海外に向けるようになった。日本の伝統的な雇用モデルや経済成長モデルは課題に直面し、産業の空洞化が一層加速している。企業の国内での雇用力が低下し、国内の労働者をめぐる環境はより厳しさを増している。経済が低迷する中で正社員の待遇はますます低下し、多くの企業で「社内失業」の現象がみられ、社会問題になりつつある。

同紙が4月末に行った調査によると、日本人の8割近くが日本の多国籍企業による世界同一賃金に反対するという。あるサラリーマンの回答者は、「高齢化少子化をくい止められない現在の状況下で、日本の企業はなぜ日本の若者をグローバル競争にさらすようなことをするのか」と疑問を呈した。実際、同社の山口徹人事部長がメディアに述べたところによると、新構想の下では、発展途上国の社員と比較して高い賃金を得ていた日本や欧米などの先進国の社員の優位性が失われる可能性が確かに存在するという。これについて後藤教授は、日本企業は、特に多国籍企業は、日本の社員に労働をめぐりグローバル化に対応するための新たな要求をうち出すと同時に、企業自身も社会的責任を真剣に果たすようにしなければならない。単純に賃金システムを調整するだけの「片刃の剣」を振り回してはならないと注意を促す。

グローバル化の時代にあって、国内市場をどのように保護するか。海外拡張の利益をどのように享受するか。ユニクロの挑戦は始まったばかりだ。ユニクロのあらゆる試みは、海外市場をよりどころとして発展しようとする日本企業が、真剣に考えざるを得ない問題だともいえる。(提供/人民網日本語版・翻訳/KS・編集/内山)

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