Record China 2013年5月8日(水) 12時22分
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7日、日本国内、ひいては世界の経済界において、「アベノミクス」という新しい名詞が注目を集めている。写真は東京・銀座。
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2013年5月7日、日本国内、ひいては世界の経済界において、「アベノミクス」という新しい名詞が注目を集めている。これは安倍晋三首相が2012年末の就任後に発表した、一連の景気刺激策を示すものだ。機動的な財政政策、大胆な金融政策、経済産業成長戦略は、アベノミクスの三本の支柱、三本の矢と呼ばれている。金融時報が伝えた。
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市場の驚きの声、政界・経済界の毀誉褒貶(きよほうへん)の中、アベノミクスは予定通りに推進され、目覚ましい成果を手にしている。円の対米ドル相場が大幅に低下し、日経平均株価が上昇し、経済・物価情勢の展望も楽観的だ。1989年のバブル崩壊後、日本は初めて自信を取り戻した。
アベノミスクの一本目の支柱は、機動的な財政政策だ。この「機動的」には2つの意味がある。1つ目は短期間内の財政支出拡大だ。安倍内閣は発足から2週間目に、総額20兆円規模の緊急景気刺激策を発表し、短期間の景気安定を維持しようとした。2つ目は、中期的な財政の健全化だ。アベノミクスを「三本の矢」と比喩した菅義偉内閣官房長官はこのほど、7月の参議院選挙前に、日本政府が新たな財政支出を通じ経済成長を促進することを発表した。
安倍政権は発足から4カ月で、財政支出を10兆元増加させた。経済協力開発機構(OECD)は4月下旬、日本に関する年間調査報告書の中で、日本の債務拡大ペースが経済成長率を上回り20数年が経過しているとし、安倍首相が1月に発表した緊急経済刺激策に懸念を表明した。このような手法は、短期的な景気成長しか促せないというのだ。日本政府は44兆円の債務発行上限を取り消し、債務の対GDP比を2014年に約240%に上昇させようとしている。日本の債務問題は、日本経済発展の長期的な課題になるだろう。
日本に財政見直しを提案した機関は、OECDだけではない。国際通貨基金(IMF)は日銀が大規模な金融緩和策を発表した後の4月上旬、信頼性の高い中期財政見直しプランを制定し、量的緩和が資本の流動および為替相場にもたらす負の影響を解決するよう求めた。
二本目の支柱は、デフレ脱却を目指す大胆な金融政策の実施により、長期金利を引き下げ、物価上昇率を2%とし、さらには円相場を引き下げ投資と輸出を促すことだ。デフレと金融政策を巡り、日本の各派閥は10年間に渡り議論を続けてきた。安倍首相から任命された黒田東彦日銀総裁の指導を受け、日銀は4月4日、物価2%の目標を実現するまで毎月7兆円の資産を購入し続けるという、日本最大規模の金融緩和策を発表し、過激な金融政策を刺激的な財政政策に合わせるとした。新政策の発表後、円相場は低下を加速した。安倍首相が大規模な金融緩和を実施した4カ月内に、市場からは積極的な反応が得られた。米ドルの対円相場は15%超上昇し、1ドル=100円という4年ぶりの水準に大きく近づいた。
円高による日本製品の価格上昇を受け調達を見送っていた外国企業は、このほどの円安により日本製品に再び目を向けている。しかし円安が輸出の全面的な回復を促すためには、まだ時間がかかる。三菱総合研究所は、日本の輸出企業が外貨建ての価格を引き下げたとしても、実質的な売上増には半年から約1年の時間が必要と予想した。
また原油などの輸入製品の円建て価格も間もなく上昇し、貿易収支が短期的に悪化を続けると見られる。OECDは上述した報告書の中で、「日銀は拡大後の量的緩和策の実施により物価目標を実現すると同時に、構造改革を進めなければならない。これを補助としなければ、同政策が経済の持続的な成長を促すことは困難だ」と指摘した。
三本目の支柱は、民間投資を喚起する成長戦略の制定で、技術・雇用関連の投資を拡大し、日本の産業を振興する。しかしこれは容易なことではない。長期的に見て、日本経済がプラス成長を取り戻すためには、国内の労働生産性と産業の競争力を高め、経済の潜在的な成長率を引き上げる必要がある。そのためアベノミクスの三本目の支柱は、日本経済復興を左右する鍵になる。日本経済の問題は非常に複雑で、デフレの他にも長期的に蓄積されてきた少子高齢化など先進国共通の問題があり、また地震や津波などの自然災害による制約が存在する。これらは単純な経済現象、周期的現象ではないため、単一的な経済措置により改善できるものではなく、大胆に全面的な改革を実施しなければならない。
アベノミクスの三本の矢のうち、一本目と二本目はすでに放たれ、実施計画がすでに整い、実体経済の中で実施を始めている。今年の中頃に放たれる予定の三本目の矢については、大まかな内容が見えているだけで、詳細内容については知られていない。三本目の矢は市場から余り注目されていないが、アベノミクスの勝敗の鍵になる。成長促進戦略の重要性は、日本が20年に渡り直視してこなかった構造改革(労働法の緩和、国内市場の解放、経営管理およびコストなどの減少)の実施にある。
構造改革は既得利益や産業保護の敏感な分野に関連する。安倍首相を含め、日本の歴代首相は構造改革の実施を約束したが、力強く推進されることはなかった。また安倍首相の自民党はビジネス界および農業機関と緊密なつながりを持つため、三本目の矢の効果が疑問視されている。小泉純一郎内閣で経済財政政策担当大臣と金融大臣を務めた竹中平蔵氏は、「私が就任していた4年半の期間に、経済成長戦略を制定したことは一度もない。私が退任してから7年間で、日本は7回に渡り経済成長戦略を制定した」と述べた。しかしその後、日本の経済成長率は低迷を続けた。これは表面的な経済成長戦略では、日本経済の発展を促せず、日本には真の経済改革が必要であることを示している。
日本経済が安定的な離陸を果たすためには、企業の設備・人材に対する投資の拡大と増給により、消費水準引き上げに向けた良性循環を形成する必要がある。しかし景気回復の持続性への懸念から、企業は日本国内の雇用枠および投資の拡大に対して慎重な姿勢を維持している。デフレ脱却に向け、日本経済は数多くの障害を乗り越えなければならない。
G20財務大臣・中央銀行総裁会議が先月発表した声明は、日本の大胆な金融政策に支持を表明したが、先進国の金融緩和政策がマイナスの副作用をもたらす可能性を強調した。円安を突破口とするデフレ脱却、力強い量的緩和策の後に、安倍政権が経済成長を着実に推進できる改革を発表し、日本を20年に渡る経済衰退から脱却させられなければ、日本国内と世界から継続的な支持を受けることは困難になるだろう。(提供/人民網日本語版・翻訳/YF・編集/内山)
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