Record China 2019年5月17日(金) 7時50分
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中国・人民日報系のメディアの国際金融報は15日、米国のファストファッションブランド・フォーエバー21(Forever 21)が中国から完全撤退することを報じ、その原因を指摘した。
フォーエバー21のカスタマーサービスは先月末、中国で展開する自社ECサイトの閉鎖を発表し、その後、「国際的な事業運営の戦略調整」を理由に近日中に正式に中国市場から完全撤退することを認めた。同報記者の調べによると、深センの旗艦店は先月末ですでに閉店し、上海旗艦店は現在大規模な閉店セールを開催中だという。北京旗艦店でもまもなくクリアランスが始まる見込みだ。
記事は、「同ブランドが中国に初めて進出したのは2008年にさかのぼる」と説明。「江蘇省常熟市での出店をもって1度目の中国進出を果たしたが、北京、上海といった第一線の都市を避けるという差別化戦略は中国では効果を上げず、1年後には同店舗を閉店する形で中国からの撤退を表明した」と伝えた。
さらに、「同ブランドはその後も中国市場への希望を捨てきれず、11年には中国のECサイト・天猫(Tmall)への出店を通して中国へ復帰した」とし、続いて12年8月には北京・王府井のapmショッピングセンターに中国初の旗艦店を立ち上げたことを紹介。「同ブランドはその後、上海や天津、杭州、武漢といった都市に次々と店舗を展開したが、ここ数年はそれらの店舗の閉店が相次いだ。かつてエイチ・アンド・エム(H&M)やザラ(ZARA)、ユニクロといったブランドとしのぎを削ったフォーエバー21が中国で『大敗北』を喫したニュースは、中国のソーシャルメディアで話題となっており、同業者には『フォーエバー21は中国で2度失敗したと言える』と話す人もいる」と指摘した。
記事は、「同ブランドは20~30代の女性消費者をターゲットに、女性らしいシンプルなデザインでかつて独自の地位を築いていたが、中国においてショッピングモールというチャンネルが持つ重要性に気付かなかったことが敗北の原因になった」と指摘。「ライバル会社が百貨店や路面店からショッピングモールへと店舗を移す一方、フォーエバー21の反応は遅く、中国で成功する最高の機会を逃してしまった」と説明した。
また、それ以外の原因として、「ファストファッションブランドとして、低価格を実現しながら商品の品質も保証するということは必須だったが、その点で不十分だった」とも指摘した。
ある学生客からは、「ファストファッションブランドはデザインも良くて価格も良心的だから好きだけれど、品質を軽視していいというわけじゃない。フォーエバー21を他のブランドと比べたとき、デザインがエイチ・アンド・エムやザラほど良くなければ、品質もユニクロのものほど良くない」という声が上がり、あるアパレル系企業に務める会社員からは、「何年も着られるジーンズが欲しかったのだけれど、フォーエバー21で買ったジーンズは1度洗うとしわくちゃになってしまった。デザインも中国で受けないし、品質も良くない。中国で粘っても勝機はなかっただろうから、撤退という『損切り』を選んだのは賢い判断だと思う」という意見が出たという。記事は、「消費者の中には、同ブランドの品質やデザインが劣っていることを『致命傷』と捉える人も少なからずいた」と伝えた。
記事は、経営コンサルティングファームのA.T.カーニーの賀暁青(ホー・シャオチン)氏のコメントも紹介。同氏は「フォーエバー21は中国市場への参入が遅く、店舗展開も遅かったがゆえに中国で影響力を持てなかった。ザラやユニクロといった同系ブランドと比べ、同ブランドはサプライチェーンのスピードやデザインのコピー能力も劣っていた」とし、「ここ10年余りでフォーエバー21はヨーロッパやアジアの多くの国々に進出したが、国際市場に占める割合は依然として非常に小さく、現段階ではグローバルな企業、ブランドであるとは言えない」と述べたという。(翻訳・編集/岩谷)
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