中国メディア「だれが仕事をしているのだ?」=「農民工」人数の伸び鈍化、産業用ロボットも減少に転じる

Record China    2019年5月10日(金) 1時20分

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中国メディアの21世紀経済報道は、中国では農村部から都会に出て働く農民工の増加が急速に鈍化し、産業用ロボットの生産も急増から一転して減少になったとして、「誰が仕事をしているのだ?」と疑問を提示する記事を発表した。

中国メディアの21世紀経済報道は2019年5月8日付で、2018年には中国の農民工の増加が急速に鈍化し、産業用ロボットの生産も急増から一転して減少になったとして、見出し部分で「誰が仕事をしているのだ?」と疑問を提示する記事を発表した。

中国では、戸籍の移動の自由が認められていない。しかし経済発展に伴い都市部で大量の労働力が必要になったため、農村部住民が「臨時戸籍」を取得して都会に出られるようになった。「臨時」とはされているが、実際には長期滞在が可能だ。「臨時戸籍」を取得して都会に暮らして仕事をしている人を「農民」と呼ぶ。

農民工の多くは工事作業員や清掃員、飲食店従業員などとして働いている。日本でいう3K(きつい・きたない・危険)職場で働く人が多いわけだ。単純作業をする工場労働者として働く場合も多い。

4月末に国家統計局が発表した「2018年農民工監測報告」によると、同年の農民工は前年比184万人(0.6%)増の2億8836万人だった。前年に比べ増加してはいるが、増加分は2017年に比べて297万人も減少したという。

また、2018年には出身地以外の省に出て働く農民工は前年比81万人減の7594万人、出身地の省内で働く農民工は162万人増の9672万人だった。

21世紀経済報道は省外に出る農民工が減少したことについて、経済先進地区の農民工受け入れが減少しているとの分析を示した。中国東部地域で働く農民工は前年比185万人減の1億5808万人だったという。うち北京・天津・河北地域は前年比27万人減の2188万人、広東省の珠江デルタでは同186万人減の4536万人だった。ただし、上海市を中心とする長江デルタでは65万人増の5452万人だった。

中国の経済先進地の中でも、農民工人数の伸びが鈍化した大きな要因になったのは珠江デルタ地域の状況と言える。同地域の特徴は経済全体に占める製造業の比重が大きいことで、広東省1省だけで製造業従業員は中国全国の8分の1の2500万人だ。うち7割は農民工という。

同省はこれまで、深刻な求人難に見舞われたことがしばしばあり、工場も比較的早い時期から自動化に力を入れた。大きな変革をもたらしたのは同省東莞市が2014年に着手した「人をロボットに置き換える」運動だった。同市は2014-16年の3年間に、工場従業員を20万人削減することに成功した。

同運動は2015年から、広東省全体で進められることになった。2016年には省全体で2万2000台の産業ロボットが導入され、稼働台数は6万台を超えた。中国全国の産業用ロボットの約5分の1が広東省に集中することになった。

産業ロボットの導入は広東省だけでなく、全国規模で進められた。2015年の中国全国の産業用ロボットの生産台数は前年比21.7%増、16年は同34.3%増、17年は同68.1%増だった。

大きな変化が生じたのは18年だった。同年上半期(1-6月)の産業用ロボットの生産台数は前年比23.9%増と、依然として高い伸び率だったが、16年から17年にかけての勢いはなかった。9月になると前年同月比16.4%減と、マイナス成長に転じた。18年通年では前年比4.6%増の微増だった。19年第一四半期(1-3月)は前年同期比11.7%減だった。

記事によると、産業用ロボットの生産量の減少はマクロ経済の下押し圧力が増大し、製造業企業によるロボット需要が減少したことを反映している。2018年には、製造業企業で受注減や資金面の緊張が発生し、経済情勢の先行きも不明であることから、産業ロボット導入のための投資を、軽々しく行えなくなったという。

記事は結局、見出しで設定した「誰が仕事をしているのだ?」の問いへの回答を示さなかった。全体としては、「農民工を必要とする仕事は、これまで同様に増えてはいない」「経済の先行きを考えれば、産業ロボット導入のための投資も控えざるをえない」という指摘に終始した。(翻訳・編集/如月隼人

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