Record China 2019年4月15日(月) 16時20分
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中国メディアの参考消息網は15日、日中韓自由貿易協定(FTA)のカギは日本が握っているとする記事を掲載した。記事の筆者は、中国現代国際関係研究院の顔澤洋(イエン・ザーヤン)氏だ。資料写真。
中国メディアの参考消息網は15日、日中韓自由貿易協定(FTA)のカギは日本が握っているとする記事を掲載した。記事の筆者は、中国現代国際関係研究院の顔澤洋(イエン・ザーヤン)氏だ。
顔氏は、「全世界の貿易総量の20%以上を占める日中韓の3カ国の交渉がなかなか進展しないことには三つの理由がある」としている。
一つ目の理由として挙げられているのが「政治的な問題」である。顔氏は「日中韓3カ国は歴史問題や領土問題をめぐって意見が対立しており、不安定な政治状況が3国間での本質的な成果につながるような政治的基盤の構築を困難にしている」と指摘。「また一方では日本と韓国はともに米国と軍事同盟を結んでおり、日中韓3カ国がFTAについて協議する際に米国の影響が軽視できないものであることも協議を複雑にしている一因である」とした。
二つ目の理由として、顔氏は日中韓3カ国の産業構造の差異について言及している。「日本の産業は技術力を資本とし、3カ国の中では工業化が最も進んでいる。一方中国は労働力と資源を基盤とする産業が大きな比重を占めている。韓国の産業構造は日本と中国の中間と言え、この3カ国はさまざまな領域において競争が加速している」と指摘。また「日本と韓国は国内の農作物に対して保護政策を取っており、3カ国が農作物の扱いに関して合意に達せるか否かも今回の重要なカギである」とも述べている。
そして、三つ目の理由として「日本自身の要素」を挙げた。顔氏は「近年日本は経済連携協定(EPA)を重視しており、自由貿易の関税の撤廃のみならず経済協力やサービス領域の自由化、投資・電子ビジネス領域の開放を主張している。日中韓の3カ国間での協議においても日本は貨物にかかる関税の撤廃や知的財産権の保護、投資の利便化に比較的高い要求をしており、これに対して中国と韓国は直ちに決断できない状態にある」とし、「FTAの協議は2013年から始まっているが、これまで日本の参与は不十分だ」と述べた。
続いて顔氏は、「日本はFTAに対して独自のもくろみがあるのではないか」という見解を示した。「東アジア貿易の『旗手』であると自負する日本の自由貿易戦略は、東アジアからアジア太平洋ないし全世界に拡大していくことである。今後成長していくと見られる東アジア地域は日本の自由貿易戦略にとって重要な『一部分』であり、そのため日本は自由貿易に高い基準の規則を設けることで組織内での主導権を握り、今後の市場競争や外部市場の獲得によってさらなる利益を得ようとしているのだ」と論じた。
さらに、「それに加えて、日本は東アジア、とりわけ中国に対する輸出を拡大しようとしている。現状では中韓のFTAがすでに発効しているのに対し、日韓FTA、日中FTAは未だ取りまとまっておらず、そのため日中韓FTAは日本が中韓との自由貿易を取りつけるための切り口になると見られている。中国は日本にとって最大の貿易相手であり、日中韓FTAを通して中国と韓国に対する輸出を増やし、東アジア、そして世界における日本商品の競争力を高めようとしている」と指摘した。
そして顔氏は、4月中旬に日米間で行われた貿易に関する会合後、トランプ大統領が推し進める米国優先の貿易保護政策によって日本はかつてない圧力を受けていることに触れ、「日本は自らを主体とする自由貿易圏を構築することによって米国からの圧力から逃れようとしているのではないか」と分析。「日本は本来、米国も参加する環太平洋連携協定(TPP)を利用して日米貿易協定を取り決めることを目指していたが、米国のTPP脱退によってその目標は打ち破られた。この状況下で日本は他の貿易相手を獲得することで米国に歩み寄らせようとしている。包括的および先進的なTPP(CPTPP)および日欧EPAが発効した現在、日本はアジア太平洋地域とヨーロッパを繋ぐことに成功し、もしここに日中韓FTAも成立すれば、日本を中心とする自由貿易圏はさらに輝きを増すだろう」と考察した。
最後に、「中国は自由貿易を支持し、日中韓のFTAに対して積極的な態度をとりつつ他の自由貿易協定の協議も推し進めている。こういった過程の中で中国は日中韓3カ国の力関係が3カ国の対外政策に及ぼす影響をきちんと見極め、中国自らの貿易の骨組みを築くと同時に2国間、また多国間での貿易協定を成立させることによって、東アジア貿易、そして世界貿易の健全な発展を促進しなければならない」と締めくくっている。(翻訳・編集/岩谷)
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