興行新記録の中国低予算コメディーは中国版「寅さん」?―中国メディア

Record China    2013年1月27日(日) 6時20分

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24日、中国で今年の冬に映画興業成績の記録を塗り替えたのは低予算のコメディー映画「Lost in Thailand)だった。ある日本人の目に映ったこの映画は中国版「男はつらいよ」だという。

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2013年1月24日、日本映画界はかつて必死で映画賞や興行成績を追求した時代があった。しかし「男はつらいよ」(69)のヒット以降、「もう大作はいい、庶民が好む映画を撮ろう」といった風潮が日本映画界の流れとなった。中国でも現在多くの大作映画が制作・公開されているが、今年の冬に映画興業成績の記録を塗り替えたのは低予算のコメディー映画「人再●途之泰●」(Lost in Thailand、●は国がまえで上に「八」、下に「口」の下線なし)だった。ある日本人の目に映ったこの映画は中国版「男はつらいよ」だという。瞭望東方週刊が伝えた。

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年末の中国大作映画はすべて見た。しかしながら最も印象に残っているのは、題材の幅が最も狭い、最も低予算の「人再●途之泰●」だった。この映画は数多くの中国人気監督たちが熱愛する有名作家の原作でもなく、派手なシーンもなければ、大スターも登場しないが、笑えて楽しめ、満足感を得ることができる。心から喝采を送りたい。

この映画は私に60年代から90年代の約30年間にわたり、日本の庶民たちに寄り添うように公開されてきた人気映画シリーズ「男はつらいよ」(渥美清主演、山田洋次原作・監督)を思い起こさせる。日本人に深く愛され名監督として名高い山田洋次監督が28年間にわたって撮った「男はつらいよ」シリーズは計48作品にも上り、ギネス世界記録に認定されているだけでなく、日本人の娯楽観までも変化させた。

「男はつらいよ」は私たちの世代の日本人にとっては正月映画であると同時に人生を教えてくれる教育映画だった。私は小さい頃から毎年正月に祖母と一緒に「男はつらいよ」の新シリーズを見に行った。そして毎回映画を見終わったとき、祖母はいつも私に言った。「大きくなったら寅さんみたいな優しい心を持った人間になるんだよ。でも何かをやり遂げようとする志は持たないといけない」。これは私が初めて学んだ、また一番心に残っている人生の教訓だ。

1人のただの平凡な男の物語を描いたこの映画は28年間、日本でヒットし続けた。それは、人々を明るくさせる笑いの中に悟りや教えが含まれていることに加え、その土地の気質に合った日本独特の濃厚な庶民文化のDNAを有していること、また、役者たちの非常に面白く味のある演技にも起因している。

これらのすべてが、私が「人再●途之泰●」を一層好きになった理由だ。この映画で描かれているのは、中国の庶民の真実の一面であり、現在の中国の若者が盲目的に追い求めるお金や物質的・功利主義的な風潮に対する警告だ。

金儲けのために家庭を顧みないが、世間的には「成功」している男・徐朗(シュウ・ラン)と、葱餅を作って生計を立てている一般庶民の男、王宝(ワン・バオ)。だが、車もパソコンも携帯さえももっていない王宝は、何もかも手にしている徐朗よりも幸福度がずっと高い。

王宝は病気の母親を喜ばせようとガールフレンドとタイ旅行に行ったふりをするが、手にはいつも母親の健康を祈るために「健康の木」といわれるサボテンを持っている。王宝は愚直でお人よしだ。この部分も少し寅さんに似ている。滑稽でいて憎めない。もし現在中国にこの王宝みたいな「愚直でお人よし」な人が多ければ、社会はもっと寛容で和やかになるのではないだろうか。

国籍など関係なく、あらゆる人がいわゆる「幸せ」を追い求めている。これは毎日何事もなく楽しい日々を過ごすことを切望することにほかならない。

山田洋次監督は「私の映画で人々が笑って、楽しくなればそれでいい」と語っている。現在、多くの大作映画が制作されているが、役に立つ教育的意義も、人々を楽しくさせる要素にも欠けている。もちろん芸術面で開拓や革新をしているともいえない。このような映画を人々は本当に必要としているのだろうか。(筆者/関田剛司・提供/人民網日本語版・翻訳/MZ・編集/TF)

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