Record China 2013年1月19日(土) 17時25分
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18日、中国メディアは「安倍ドクトリンをASEANに売り込む日本」と題した記事を掲載した。写真はハノイ。
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2013年1月18日、国際金融報によると、日本の安倍晋三首相が15日から19日の日程でベトナム、タイ、インドネシアを訪問している。首相再登板後、初の外遊だ。
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共同通信は安倍首相が今回の外遊でアジア外交の基本方針に関する「安倍ドクトリン」を発表すると報じた。民主主義、市場経済、法治の分野で価値観を共有する国々と安全保障、経済、エネルギー政策で協力を行うというものだ。
■「安倍ドクトリン」の核心
1977年に当時の福田赳夫首相が東南アジア外交の基本原則「福田ドクトリン」をマニラで発表した。平和と繁栄、交流の強化、対等な協力といった内容で、1970年代以降の日本の東南アジア政策の柱となった。
それから36年を経て、安倍氏がアジア外交に対する考えを再び明示する。「安倍ドクトリン」はASEAN、インド、オーストラリアを含むアジア太平洋地域での2国間関係、多国間関係の構築が「地域の安定に寄与する」と主張するとみられる。東南アジアに強い影響力を持つ中国と日本は価値観が異なるため、安倍氏はこれを機に対中包囲網を構築することを望んでいると分析される。これに先立ち安倍氏はプロジェクト・シンジケートに寄稿した論文で、日本は中国の侵犯を抑止できる「民主と安全保障のダイヤモンド」の構成部分にならなければならないと指摘した。
■「福田ドクトリン」とは肩を並べがたい
だがASEAN10カ国内には明らかな相違がある。古くからの加盟国のインドネシア、マレーシア、シンガポール、フィリピン、タイ、ブルネイと新しい加盟国のベトナム、ラオス、カンボジア、ミャンマーとの間には明らかな経済発展格差がある。特にラオス、カンボジア、ミャンマーは後発開発途上国だ。経済発展水準の違いのために、ASEANは組織内に潜在的な不安定性を抱えている。さらにASEAN諸国は政治体制や宗教も全て同じというわけではない。「こうした違いのため、安倍ドクトリンの基本的価値観思考は大いに力がそがれる。したがって、この外交路線が通用しないのは確実だ」と中国社会科学院日本研究所の厖中鵬(マン・ジョンポン)氏は指摘する。
■新市場の開拓にも難しさが
経済の立て直しを最優先改題とする安倍氏は、アジア経済圏から日本経済の再生にプラスの要素を導くべく「成長を続けるアジア経済圏に融け込む」ことを提唱し、戦略的経済外交を展開する方針を打ち出している。ここ1年近く、日本企業は日中間の島嶼紛争の影響で投資先を相次いで変更。ベトナム、タイ、カンボジア、インドネシアなど大きな潜在的経済成長力を持つASEAN諸国への投資を強化している。また、経済協力とインフラ輸出を促進して、企業の海外進出を後押しするため、安倍氏は今回の外遊で各国首脳と協力拡大を確認するとみられる。
安倍氏就任後間もなく、麻生太郎副首相がミャンマーに駆けつけ、準備的行動によってまず反応を探った。麻生氏はヤンゴン近郊のティラワ経済特区を視察し、ミャンマーへの投資に強い関心を示し、円借款500億円の供与を表明した。
だが厖氏はミャンマーなどASEAN諸国への大規模投資を望む日本企業は多くの困難、さらに予測困難な要素にも直面すると指摘する。
厖氏は「外国企業の投資先になるには、一般的に2つの基本条件が必要だ。第1に安定した政府、良好な社会治安、整った法治。第2に十分な経済インフラ、安い人件費、十分な労働力、大きな潜在力を持つ市場だ。この2つの条件を完全に満たす国はASEAN諸国の中にはほとんどない」と指摘する。
ASEAN諸国を見渡すと、ある国は第1の条件は満たすが、第2の条件は明らかに満たさない。例えばシンガポールはすでに先進国だが、人件費が高い。フィリピン、タイ、インドネシアなどは第2の条件は満たすが、第1の条件は明らかに満たさない。タイは2年前にも政局が非常に混乱。フィリピンとインドネシアも深刻なイスラム分離主義勢力が騒動を起こしている。ベトナム、ラオス、カンボジアは政治は安定しているが、インフラが後れている。ミャンマーは政権モデルの転換を行ったばかりで、国内政治は明らかに不安定だ。ここ数日、ミャンマー北部では政府軍とカチン独立軍が衝突しており、同国の政治情勢のデリケートさが露呈した。ミャンマーはまた、安く十分な労働力を持つが、インフラは非常に後れている。
「ASEANのいくつかの国は日本企業の投資候補地となりうる。だが今後10年内にASEANが中国に完全に取って代わって日本企業が全く大胆に、安心して投資できる対象となるのは困難だ。また、世界第2の経済大国、アジア最大の経済大国である中国には日本企業の投資を引きつけられる地方がまだ多くある。現在、中国は投資先としてASEAN諸国とは比べものにならないプラス条件を持つ」と厖氏は指摘する。
復旦大学日本研究センター副主任の張浩川(ジャン・ハオチュワン)准教授は「現在繊維業界を中心に日本の多くの製造業がローエンドの組み立て業を含め、すでにミャンマー、ベトナム、スリランカ、さらにはバングラデシュや北朝鮮にまで大量に押し寄せている。安い人件費と、日中関係の緊張による影響を完全には受けないことが大きな原因だ。ローエンド製造業の中国撤退は、日本企業が中国市場を有望視していないということではない。中国での生産が優位にならない企業が撤退しているだけで、他の産業が引き続き中国市場への投資を強化することを妨げてもいない」と指摘する。(提供/人民網日本語版・翻訳/NA・編集/TF)
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