Record China 2019年2月6日(水) 15時30分
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中国メディアの上観は、安倍晋三首相の外交姿勢を高く評価する記事を掲載した。卑屈だとあざ笑われたり批判されたり嘲笑される事例があるが、すべては国益最優先のためであり、見下すことはできないと主張した。
中国メディアの上観は、安倍晋三首相の外交姿勢を高く評価する記事を2019年2月5日付で掲載した。卑屈だとあざ笑われたり批判されたり嘲笑される事例があるが、すべては国益を考えてのことであり、見下すことはできないと論じた。
記事はまず、「世界の各大国の指導者の中で、安倍首相のように低姿勢の人物は少ないはずだ」と主張。2016年に米国で大統領選が終了した直後に、直ちに渡米して次期大統領に決まったトランプ氏のもとを訪れたことについては、「米国の新大統領と初めて会見した外国の指導者になるために、安倍首相は自らの身分をおとしめて、『謁見』してもらったと嘲笑するメディアも多かった」と指摘。
これについて記事は、安倍首相がトランプ氏の元に「駆けつけた」のは国益を最優先したためとの見方を示し、「人にはメンツがある。光栄ではない外国訪問を望む指導者などいない。特に、自分の政権担当能力と威信にかかわる場合はそうだ。しかし、国益を考えれば、尊厳はひょっとしたら二次的なものかもしれない」と、安倍首相の行動を評価した。
次いで、安倍首相が2018年にプーチン大統領と会談した際の状況を取り上げた。安倍首相は遅刻したプーチン大統領に2時間以上も待たされたが、安倍首相は怒りを全く示さなかった。
それどころか、プーチン大統領の到着を知らされるや否や、満面の笑みを浮かべて部屋のドアの方向に小走りで向かった。そして両首脳はにこやかに会談することになった。中国ではこれについて「まるで秋田犬」とやゆされた。しかし記事は、「安倍首相を小物と嘲笑するのもよいだろう。しかし実際にはこの小さなエピソードから安倍首相のすごさの一面を見て取ることができるのだ」と主張した。
北方領土問題などロシアとの国益上の懸案事項がある以上、安倍首相は、何があってもプーチン大統領との会談を円滑に進めることを最優先したとの見方だ。
記事は、当時の安倍首相が忍耐を示したことについて改めて「国益と自分のメンツ。あなたならどちらを選ぶのか。安倍首相の選択には疑いがない。自分のメンツをつぶされ、外部者から見れば、屈辱」であっても会談を成功させた安倍首相を「こうであってこそ、真の政治家なのだ」と高く評価した。
さらに、春節(旧正月)前日の大みそかである2月4日に安倍首相が中国人に寄せた祝賀のビデオメッセージにも言及。メッセージ冒頭を中国語で語ったことや、中国由来のことわざを織り交ぜたことにも注目し、日中関係が改善し新たな段階に入ったと主張した上で、日本を取り巻く状況を解説した。
まずは、2018年のトランプ・金正恩会談で北朝鮮が孤立状態を抜け出しはじめ、第2回会談のための調整も続いていると指摘。日ロ関係も変化しており北方四島問題の解決にとって鍵となる時期になったと紹介。一方で、日韓関係は急速に悪化し、日米関係も微妙になりつつあると指摘した。
記事は、日本が対中関係を急速に改善させているのは、米国が中国に貿易戦争を不断に仕掛けていることに関係しており、「貿易は日本経済の生命線であり、安倍首相はどうしても突破せねばならない」として、中国との関係改善は日本にとって多国間主義と自由貿易の維持のために重要との見方を示した。
中国ではこれまで、「日本は米国に追従しているだけの国」という意見が多く出されてきた。日中関係が険悪化していた時期には、インターネットの書き込みでも安倍首相を「米国の犬」などとする非難が多かった。しかし記事は、外交における安倍首相の態度を「自らのメンツを捨てても国益に奉仕する」と強調することで、中国人の「安倍観」を修正する効果をもたらす可能性がある。
ただし、記事は最後の部分で、安倍首相を改めて「彼は日本の政界で不世出の政治家だ」と評価した上で、「友が来るならよい酒がある。狼が来たら鉄砲がある」として、中国の姿勢は安倍首相次第と主張。さらに、「こういう古い言葉がある。永遠の敵もいない。永遠の友もいない。永遠にあるのは国益だけだ」と紹介し、読者に対して相手に対する評価を硬直させてはならず、同時に自らの国益は絶対に守らねばならないと主張した。(翻訳・編集/如月隼人)
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