<日本人が見た中国>意外!速い、確実、便利な中国のネット通販にはまる

Record China    2013年1月8日(火) 5時30分

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中国のネット通販市場が思いのほか急速に発展している。消費者保護の制度や物流システムの変革などを経て、近年はかなり便利になってきている。写真は2012年11月、クリスマスシーズンを前にパンク寸前となる中国の宅配業者。

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中国在住十数年、北京で起業する筆者はここ数年、中国のネット通販にはまっている。

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ネット通販は実店舗での買い物よりも多くの店舗や商品からじっくり比較して選ぶことができるため、欲しいモノはより早く、より安く買うことができる。最近では実店舗でモノを買うことはほとんどなくなってしまった。ネット通販を利用し始めてから3年現在は、中国の通販サイトを通じて500個近い商品を買ってきた計算になる。

中国でこんなにもネット通販が普及するとは思っていなかった。なぜなら、中国の人たちは家電製品ひとつ買うのにも、製品の実物をパッケージから出して、電源を入れて、きちんと作動するかまでを確認した上で買うというのが習慣化していたからだ。もしも日本のように、買った家電製品を開封せずに箱のまま受け取ったとしたら、家に持ち帰った後に不良品だとわかったても、店舗やメーカーには「それはあなたが壊したのだろう」と言われ、取り合ってもらえない可能性が大きかったのだ。

しかし、中国製品の品質はこの10年間で飛躍的に向上、はなから壊れている製品を売りつけられるようなことはほとんどなくなった。また、ネット通販会社も、消費者を保護するさまざまな仕組みを考え出した。消費者が商品を受け取るまでは売り手に入金されない決済システムや、着後7日間以内ならば無条件で返品できる制度などを導入し、その結果、ネット通販は急速に普及。電子商取引最大手・阿里巴巴グループ傘下の「天猫商城」と「淘宝網」の2012年の取引額は1兆元(約14兆円)を超え、中国の社会消費品小売額の5%以上を占めるに至った。

意外ときちんとしている宅配業者の存在も、ネット通販の普及に一役買っている。郵便事情はいざ知らず、宅配便ならば、北京から約2000キロ離れた広東省のお店からでも数日で確実に届く。届かない場合も追跡システムがあるため、どこかで紛失してしまうということはない。

そんなわけで、欲しいモノがあるとまずはパソコンを立ち上げるのが習慣になっているが、最近、個人的に利用する機会が増えてきたのが「京東商城」という通販サイトだ。

この「京東商城」、もともとは家電製品を扱っていたが、最近では食品や化粧品などまでを扱うようになった。ここは前出の「天猫商城」や「淘宝網」と違い、物流を自社でまかなっている。各主要都市の倉庫に商品在庫を持っているため、送料は無料となり、配送も迅速。午前中に注文すれば、その日の午後には商品が届く。

現在、中国のネット通販市場に占める「天猫商城」のシェアは55%前後と、20%強の「京東商城」を大きく引き離している。しかし、日本で楽天が競合のアマゾンに対抗するために、自社物流網を急ピッチで構築しているように、今後は中国でもこうした物流が主流になることが予想される。数年前までの中国では、ネット通販業者の差別化の主戦場は、返品制度やニセモノ対策などの消費者保護だった。しかしこれからは、欲しいものが今すぐに手に入るような迅速な物流システムの構築がキーポイントになるだろう。

どんどん便利になる中国のネット通販。あまりに便利すぎて、ますます出不精になってしまいそうだ。

■筆者プロフィール:柳田 洋

北京華通広運物流有限公司 総経理

1966年東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、丸紅で石炭貿易に従事。1996年より5年半にわたり丸紅北京支店に駐在するも、起業の志捨て難く、2001年丸紅を退社。そのまま北京に留まり駐在員事務所代行サービス会社を設立。その後、引越業務や倉庫業務を開始して現在に至る。著書に「起業するなら中国へ行こう!」(PHP新書)。

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