16歳年上の「台湾のハニートラップ」の餌食になった中国人男子学生がいた=中国メディアが警戒呼びかけ

Record China    2018年9月17日(月) 6時50分

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中国中央電視台(中国中央テレビ)は時事番組「焦点訪談」で、中台の学生交流が活性化したことに伴い、台湾のスパイが中国の情報を取得する活動が発生していると紹介した。写真は18歳の男子学生に接触して3年間に渡り多くの情報を得ていたとされる台湾人女性。

中国中央電視台(中国中央テレビ)は15日放送の時事ドキュメンタリー番組「焦点訪談」で、中台の学生交流が活性化したことに伴い、台湾のスパイが中国の情報を取得する活動が発生していると紹介した。実例として、16歳年上の女性によるいわゆる「ハニートラップ」の餌食になった男子学生のケースを挙げた。

■台湾に滞在した大陸男子学生にパーティーの場で接近

事件の発端は2011年だった。18歳の中国人男子学生は大陸の名門大学で機械を専攻していた。成績が優秀だったので、台湾の大学に行き交流する機会を得た。学生は外向的な性格でもあり、台湾の若者と積極的に交流した。学生は、ある時に開催されたパーティーでも注目の的になった。

そのパーティーで、ひとりの台湾人女性が近づいてきた。男子学生より数歳年上と自己紹介した。ふたりは一緒に雑談をするような仲になった。女性は男子学生の勉強の内容にも関心を示したという。

ある時、二人はカラオケ店に行った。男子学生は飲みすぎで気分が悪くなってしまった。体をぴったりと寄り添わせて介抱してくれる女性に、男子学生は強い衝動を感じた。1カ月後、ふたりは一緒に旅行することになった。目的地に向かう途中で女性は男子学生に、「親類に公務員はいないのか」「政府文書を入手できないか」などと、あれこれ尋ねたという。政府文書があれば売って、お金にできるとも言ったという。

■自分に対する関心に異常を感じつつも愛を告白されて関係結ぶ

男子学生は、自分に対する関心が普通でないとは感じたという。自分の専門は、国防科学工業の機密にも関係していると思った。しかし、その晩、女性は男性に愛を告白し、2人は「関係」を結んでしまった。

しばらくして男子学生は大陸に戻る期限を迎えた。女性は「勉強の成果を共有したい」「私をあなたの人生に沿って歩いていかせて」などと言って、戻ってからも常に連絡するよう求めた。

男子学生が戻ってからのふたりが連絡し合う内容は、互いに愛を語るなど、普通の恋人と同じだった。ただ、女性は男子学生の学習の状況を常に尋ねた。男子学生は、大学の実験室の状況などを報告した。

女性は「学生はお金で苦労することがある」と言い、困ったら自分に相談するように言っていた。男子学生は手持ちの金が不足した際、女性に5000元(約8万円)を借りた。男子学生にとって借金を返すことはさほど難しくなかったが、その後は心理的に引け目を感じて、女性の要求に律儀に応じていた。

■要求エスカレートに別れを決意も「だまされた」と言いふらされ断念

しかし、女性の要求はますます増えていった。男子学生も女性の身分に不審を感じるようになり、一度は関係を絶った。しかし女性はすでに、男子学生の同級生や友人に連絡することができるようになっていた。同級生らに「私はだまされた」「台湾にいた時、彼が私を誘惑した」などと連絡するので、男子学生は関係を復活させた。そしてどの後も求めに応じて各種資料や情報を渡していた。

男子学生は女性から報酬も得るようになっていた。西安省国家安全庁の関係者によると、男子学生から女性に渡った国防科学関係の情報は100件近くにのぼり、得た報酬は人民元換算で4万5000元(約72万円)相当に上っていたという。

国家安全部門が情報漏洩を突き止めたのは14年だった。女性は台湾軍情報局のスパイで、偽名を使って男子学生に接近したことが分かったという。女性は1977年1月生まれで、男子学生よりも16歳年上だた。女性はさまざまな手法を用いて男子学生を誘惑し、コントロールしていたことが分かった。

■男性スパイが女子学生を誘惑したことも、報酬支払で抜け出せない泥沼に

番組は、台湾側男性スパイが大陸の女子学生を誘惑して情報を得ていた例もあると紹介。最初は問題にならないと思える些細な情報を求め、次第にエスカレートして報酬を支払うなどで、抜け出せないようにしていくなどの手口があるという。

学生を狙うのは、卒業後は重要な職に就く可能性が高いからで、時間をかけて関係を構築することを狙っているとみられる。スパイ側から接触している大学生に、「就職先についての希望」が出される場合もある。

台湾側が目をつける学生は、政治や経済などを専攻する文系学生と、国防科学工業を学ぶ学生が多いと言う。女性スパイに情報を漏らしていた男子学生は、学んできた専門分野が「ふさわしくない」として大学を退学させられ、法律上の責任も追及されることになった。

それ以外に、事態がそれほど深刻ではなかったとして、「批判と指導」を受けることになった学生も数人いるという。

番組は「中国大陸外に行って学習する学生は注意せねばならない。理由なく恩恵が与えられた場合には注意せねばならない。昼食を無料で振る舞われることも拒絶せねばならない」などと論じた。(翻訳・編集/如月隼人

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