Record China 2018年9月10日(月) 5時10分
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中国政府は、葬儀や埋葬などを扱う法律の改正案を発表した。散骨を優遇し、政府が補助金を拠出するので個人負担がゼロになるとみられている。一方で、土葬に対しては規制が強化される。
中国政府民政部は7日、全国法である殯葬管理条例の改正案を発表した。葬儀や埋葬などを扱う法律で、散骨を優遇する方針が改めて明確になった。中国人民広播電台(中国人民ラジオ)によると、散骨の場合には政府の補助金により個人負担がゼロになる。一方で、土葬については規制が強化される。
中国人にとって、先祖崇拝は極めて強い伝統概念だ。家族が他界すれば土葬にして、子々孫々まで未来永劫に大切に祭ることが理想だった。一方で、中国共産党は唯物主義の観点から、遺体の扱いについては基本的に「冷淡」だ。かつては先祖の墓を大切にすることが封建的迷信とみなされ、多くの墓が荒れ果てたままになった。
しかし改革開放が進んだ1990年代ごろからは、両親・祖父母、さらに先祖の墓を大切にすることが問題視されなくなった。すると今度は、立派な墓を作ることを目指す人が増えた。そのため、土地不足の問題などが出現した。当局は改めて、華美な葬儀や豪華な墓を問題視するようになった。最近では、一部地域の当局が、土葬された棺(ひつぎ)を掘り出して焼却するなどで、住民と警官隊が衝突するなどの事態も発生している。
殯葬管理条例の改正案では、火葬と土葬について「人口が稠密、耕地が少ない、交通が便利な地域では火葬を実行する。火葬の条件が整わない地域では暫定的に土葬を許す」と明記された。将来は土葬を全面禁止にする含みを持たせた記述だ。
さらに、火葬を実行する地域と土葬を許す地域は省・民族自治区・中央直轄市の政府が定め、中央政府の民政部門に報告するとの条文も加えられた。中国の行政は多くの場合、省より下の市や県などが実行している。省レベルの行政区が土葬を許す地域を定めることは、中央当局が同問題について「地域エゴ」が発生しやすいと認識していることにほかならない。さらに、中央政府への報告を義務づけたことは、中央政府に却下の権限を持たせたに等しい。土葬を強く規制する方針は明らかだ。
条例案はさらに、土葬を許す地域についても、遺体を深く埋め、墳墓を残さない方式を奨励するとした。また、墓を設ける場合も火葬や土葬それぞれについて1基当たりの使用面積などを制限した。
さらに、遺骨を留めない散骨については、県レベル以上の人民政府が奨励のための補助金を交付することを認めるとした。中国人民ラジオは散骨に対する補助金について「個人の金銭負担をゼロして、それ以上の補助金を支払うこともある」と解説した。
中国では多くの人が「立派な墓」を望むようになってから、「葬儀・霊園ビジネス」が盛んになった。条例の改正案は、葬儀や霊園運営の公益性が強調し、「経済活動」の制限が強化されることになった。例えばこれまでは、霊園運営側が墓参りをする遺族に対して「供え物の持参」を認めず、霊園側が販売する商品だけを使わせることがあったが、条例改正案は遺族が持参する供え物について、環境面に影響を及ぼさないかぎり、霊園側は認めねばならないとした。また、各種価格にしても政府の指導により制限する内容を盛り込んだ。
なお、民政部が殯葬管理条例の改正案を発表したのは、一般からの意見を公募することが目的で、中国の立法では一般的に採用される方式だ。今後、内容が修正される可能性もある。(翻訳・編集/如月隼人)
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