Record China 2012年6月6日(水) 19時41分
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「平和と安全を考えるエコノミストの会」(河合正弘理事長)は、新成長戦略の着実な実行、新たなエネルギー政策策定―などを求めた政策提言を野田首相に手渡した。中国・韓国など新興アジア経済との連携が急務としている。写真は河合理事長。
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2012年6月6日、日本の代表的経済学者らで構成する「平和と安全を考えるエコノミストの会(EPS)」(理事長・河合正弘アジア開発銀行研究所長)は、大震災後の日本経済を再生させて持続的な経済成長軌道に乗せるための政策提言を発表。具体的に新成長戦略の着実な実行、社会保障と税の一体改革、新たなエネルギー政策策定、大規模複合災害に備える強靭なリスク管理システムの構築―などを求めた。また世界の経済成長センターである新興アジア経済との連携が不可欠とし、TPP(環太平洋経済連携)と中国・韓国などとの東アジア広域的なEPA(経済連携協定)の締結が急務と提言している。
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河合理事長、宮崎勇元経済企画庁次官、鈴木淑夫元日銀理事らは同日、首相官邸で野田首相と会談、提言を説明した。提言の要旨は次の通り。
東日本大震災で被災した人々は再起に向かって努力を重ねているが、政治の混迷もあって、復興はなお前途多難。世界経済の不透明感、円高圧力、電力不足などが日本経済の回復の足かせとなっている。これに加えて、少子高齢化と労働力人口・総人口の減少が加速する中で、日本経済の将来に対する悲観論が強まっている。しかし、日本経済再生の方策は今日でも存在するし、内向き志向から脱却して、遅滞なく手を打てば、着実な経済成長と、中産階層を軸とした安定社会の復活は可能だと考える
物価デフレが続くなかで持続的な経済成長を達成するためには、金融政策の役割が極めて重要だ。日銀はさらに積極的な非伝統的政策を打ち出して「脱デフレ」の政策意思を具体的な行動で示し続けるべきだ。日本発のソブリン(国家)債務危機を回避するために、まず「社会保障と税の一体改革」を推進する必要がある。
経済再生の要である生産性向上のために、官民が協力して技術開発に臨み、とくに伝統的な製造業だけでなく、グリーン産業やシニア産業など新分野で技術革新を促すべきだ。労働参加率を積極的に高めるために、女性と健康な高齢者、外国人の労働力の活用を促し、中長期的に出生率を高める環境を一段と整えるべきだ。TPP(環太平洋経済連携)に参加するとともに、中国、韓国、東南アジアなどとアジア広域的なEPA(経済連携協定)づくりをめざすことが急務だ。TPPとアジアEPAを繋げたFTAAP(アジア太平洋自由貿易圏)を構築すれば便益は極めて大きいものになる。それに備えた国内経済(とくに農業)の構造改革を進めるべきである。
電力・エネルギー政策は、長期的には「脱原発依存」をめざして、再生可能エネルギーを主要源とするための政策を強化すべきだ。しかし、経済成長に必要な電力を確保するために、性急な「脱原発」政策は取らず、十分な安全性が確認された原発の再稼働を排除すべきでない。電力産業については、発送電分離や地域独占の見直しを行い、オープンで競争的な電力市場を構築すべきだ。
大震災と原発事故という複合的な過酷な災害・事故から十分な教訓を学び、包括的な大災害・事故リスク管理を行う「日本版FEMA(緊急事態管理庁)」を設置して、大規模災害に備えた防災・減災、災害・事故対応の世界的なトップランナーになるべきだ。リスク管理と被災・事故後の対応のあり方をまとめて国際社会に発信するとともに、日本の防災・減災の知見をアジアにおける大規模災害・原発事故リスク管理に生かすための国際協力体制を強化する必要がある。(取材・編集/HY)
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