日本のベンチャー企業が上海に進出、中国の便利さにカルチャーショックも―中国メディア

人民網日本語版    2018年6月23日(土) 6時20分

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「上海はアジアでも1、2を争うグローバル都市だ。ここで成功できれば、他の国や地域でも成功する」。日本の創作お茶漬け専門店「だよね。」の高村真弘総経理はインタビューでこのように述べた。

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上海はアジアでも1、2を争うグローバル都市だ。ここで成功できれば、他の国や地域でも成功する」。日本の創作お茶漬け専門店「だよね。」の高村真弘総経理はインタビューでこのように述べた。人民網が伝えた。

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改革開放スタートからの40年間、中国はさまざまな優遇政策や資源の高度な集中、広大な市場の可能性などにより、日本企業の海外投資における「主戦場」となり、有名な大手多国籍企業の対中投資局面は基本的に完成したといえる。そして近年は、中小企業やベンチャー企業の間で対中投資ブームが巻き起こっている。ベンチャー企業の株式会社TonTonは、創業からわずか4年で海外進出を果たし、2017年に上海に創作お茶漬け専門店「だよね。」をオープンした。海外進出の最初の場所に上海を選んだのはなぜだろうか。日中両国の企業にはそれぞれどのような特徴があるか。上海進出の過程でどんな困難に遭遇したのだろうか。こうした問題について、高村総経理がインタビューに答えた。

▽上海のグローバル化のチャンスにかける

創作お茶漬け専門店「だよね。」を運営する株式会社TonTonは2013年に設立し、和風焼肉店から始まり、鉄板焼き、お茶漬けなど飲食店事業を拡大していった。設立からわずか4年で海外進出を果たし、上海に「だよね。」を開店した。

高村総経理は「海外進出するにあたって、上海、香港、マレーシアの都市などを検討した。上海はアジアでも1、2を争うグローバル都市で、東京よりも進んでいるし、市場も大きいし、世界トップクラスの企業がより多く集まっている。ここで成功できれば、他の国や地域でも成功するというビジョンがある。そういうわけで上海を『海外進出』の最初の拠点にした」と述べた。

高村総経理は、海外進出の最初の店として、ビジネスの原点ともいえる和風焼肉ではなく、お茶漬けにしたのはなぜかという問いに対し、「中国で焼肉はお茶漬けよりも受け入れられやすいだろう。でも中国市場には焼肉店がすでに沢山ある。一方、お茶漬け専門店はほとんど皆無だった。そこで今まで見たことのないお茶漬けで中国に衝撃を与えようというところでお茶漬けをメインにした。また、お茶漬けの文化とは日本人が子供の頃から慣れ親しんでいる食事文化の一つ。上海にはたくさん日本人がいるし、上海では成功するビジョンがある」と答えた。

▽中国での改善点を日本に「逆輸入」

「だよね。」の日本の店舗は六本木にあり、中国の店舗は上海環球金融センター(SWFC)にある。

高村総経理は、「両国の消費者の相違に基づき、お茶漬けの量を調整している。日本ではお茶漬けは酒を飲んだ後に締めとして食べるもので、量は少なめだ。中国では(酒を)飲んだ後に食べるという習慣がなく、ちゃんとした食事として仕事の合間に食べる食事なので、日本より中国の方がご飯の量もおかずの量もかなり増やしている」と説明した。

日本の「だよね。」は利用客の年齢層は幅広く、20代後半から30代の若い人もいれば、50代の男性もいる。中国の「だよね。」は30代前後の女性が中心で、利用客全体の60~65%を占める。両国の消費者の味に対する好みをみると、日本人は鮭茶漬けなど海鮮類を好む人が多く、中国人は牛肉すき焼き茶漬けや照り焼きチキン茶漬けのような肉類を好む人が多い。

高村総経理は日中両国のお茶漬けの味の違いについて、「両国の食材は同じではない。同じ食材だとしても味が違う。そこで日本でのレシピを中国に直輸入しても、違う味になる。中国進出に向けて、日本のだしを見直して、さらに改良を加えた。改良後のだしの味は元よりもおいしくなり、今度はそれを日本に持ち帰って、日本も改善できた。レシピだけでなく、中国でヒントを得て創作したメニューもある。牛肉すき焼き茶漬けやあぶり鯖茶漬けなどで、こういった中国で人気のあるメニューを日本にも還流させ、日本店のメニューをさらに充実させた」と振り返った。

このように中国での成功体験を日本店舗に「逆輸出」したケースはレシピやメニューだけではない。高村総経理は、「中国のデリバリー業務は非常に発達していて、上海の店もオープン後にデリバリープラットフォームの『elema』と提携した。デリバリーが生み出す売り上げはこの店の総売上の33%にもなり、特に週末はデリバリーが主力になる」と述べた。

中国に比べて、日本のデリバリー産業の発展ペースは遅い。配達といえばこれまでは店の従業員が担うしかなく、デリバリースタッフの時給は他の従業員よりも高く人件費がかさむため、「だよね。」の日本店舗ではこれまでデリバリーサービスは手がけてこなかった。だが中国店舗のデリバリーの好調さに強い印象を受けたことや、米国ウーバー社がデリバリー業務「ウーバーイーツ」を展開し、店の従業員が配達しなくて済むようになったことを踏まえ、日本店舗でも試験的にデリバリー業務をスタートした。現在、日本店舗のデリバリー売上高は店舗での売上高をしのぐ勢いだ。

▽中国の迅速さ、日本の緩慢さ

高村総経理は、日中企業の特徴について聞かれた際、「最も印象深かったのは、両国の企業の決定のスピードが違うことだった」と述べた。

高村総経理によると、「中国の方は決定が早い。中国企業は店を開くと決めればすぐに開き、状況が不利だとみればすぐに撤退する。この点が日本と違う。日本は店を出す決定をするのに時間がかかるが、店をオープンすると赤字でも数年は続ける。これには2つの原因がある。1つは日本では決定できる人間が上にいる。何かを始めるにしてもいろんな稟議を通して、決定に至るまで時間がかかる。オープンする決断も遅ければ、閉店する決断も遅いから、ビジネスとしては不効率だ。もう1つは日本的な考え方でいうと、出資しているからには是が非でも回収したいというところがある。だから経営上の数字がそれほど好調でなくともしばらくは店を続け、すぐに放り出したりしない。店を続ける間に赤字が黒字になる可能性が出てくる場合がある」のだという。

日中両国のスピードの違いは、企業に反映されているだけでなく、従業員にも反映されている。中国の従業員の契約期間は1~2年が一般的だが、日本ではこういった短期の契約は少ない。これは両国の従業員の考え方や目標に関係があるのかもしれない。中国の従業員の中には自分の店をもつことを人生の目標にしており、その夢をかなえるために店でノウハウを勉強している人がいる。日本の従業員は店をよくしよう、労働環境をよりよくしたいと考える傾向がある。

▽中国事業を始めた頃とこれからの野望

高村総経理の初の海外進出は、ゼロからのスタートというわけではなかったが、その道のりは決して順風満帆ではなかった。中国事業を始めた当初は、さまざまな手続きが必要で、両国の間をしばしば往復して必要な書類を整えなければならなかった。そして、施工の段階では、実際の出来具合と設計図とが一致せず、オープンは予定より2カ月も遅れた。

高村総経理は、「オープンが2カ月遅れたため、日本からもってきた資金がほとんどなくなってしまった。でも査証(ビザ)の手続きがあって、手元にパスポートがないので日本に帰ることもできず、同僚と2人は1週間を100元(約1700円)でどうやって暮らすか頭を悩ませたりした」と笑顔で当時を振り返った。

高村総経理は、「印象に残ったのはその頃に遭遇した困難ばかりだった。自分はプレッシャーをエネルギーに変える性格だからだ」という。

だがオープン当初こそさまざまな困難にぶつかったが、オープンしてからは経営は順調だった。立地の良さや顧客をしっかりつかまえたことで、「だよね。」上海店はオープンから2カ月で黒字を達成した。高村総経理は今後の計画について、「上海に第2号店を開く。将来は上海にとどまらず、中国の他の都市にも進出したい」と展望を語った。

高村総経理は、「弊社はアジアで100店舗をオープン目指している。中国で一定の規模になったら、次は他国への進出を検討する。お茶漬けをアジア全域に、さらには世界に広めるのが私たちの目標だ。弊社では、『宇宙に衝撃を与える』というスローガンにしている」と述べた。

▽カルチャーショック――中国で驚異の発展を遂げるデジタル化

中国に来て1年あまりの高村総経理は、今では中国の支付宝(アリペイ)も微信(ウィーチャット)も使い慣れたもので、日本に戻ると不便を感じるという。

高村総経理は、「中国に来たばかりの頃、銀行に口座もなくて、紙幣を出さなければならないのがものすごく不便だった。微信や支付宝が使えるようになると、こんな便利なものはないと感じた。中国では外出するのに財布はいらないけれど、携帯電話だけは決して忘れてはならない。携帯一つで、買い物、乗り物、デリバリーの注文などなど、あらゆることができる。携帯電話はすべてだと言っていい」と述べた。

また高村総経理は、「中国での携帯電話の使い勝手は日本よりもはるかに優れている。昨日、家で天ぷらを作った時、野菜がなかったけれど、テレビを見ている最中で買いに行くのはいやだった。そこでちょっと指を動かして携帯で注文すると、野菜がすぐに家まで届いた。日本でも野菜を買って家まで届けてもらうことはできるが、水曜日限定といった具合に、欲しいと思った時にすぐ手に入るわけではない」と説明した。

高村総経理は、「中国の最もよい点はデジタル化が急速に発展しているところで、これはカルチャーショックを最もよく体験する点でもある。日本はこの点ですでに遅れている。中国での暮らしは非常に便利だ」と感慨深げに述べた。(提供/人民網日本語版・編集/KN)

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