中国漫画・アニメ産業は日韓を超えられるか―中国メディア

Record China    2012年5月11日(金) 6時11分

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8日、中国オリジナルの漫画アニメ作品は、日中韓の産業協力を通じ、イメージの点で日流・韓流の作品を超えられるだろうか。写真は中国アニメ「喜羊羊与灰太娘」。

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2012年5月8日、新華網によると、中国、日本、韓国の閣僚が文化交流の促進などについて話し合う第4回中日韓文化相フォーラムが、今月4日から6日にかけて上海市で行われ、3カ国の担当閣僚が協力促進を目指す「上海行動計画」に調印した。同計画は「3カ国が漫画アニメやゲームなどの新しい業態の交流・協力を強化し、文化産業分野での相互利益に基づく協力という新たな注目点を構築することに一致同意した」ことを明確にしている。人民網日本語版が伝えた。

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「喜羊羊与灰太娘」(シーヤンヤンとホイタイラン)を代表とする中国オリジナルの漫画アニメ作品は、日中韓の産業協力を通じ、イメージの点で日流・韓流の作品を超えられるだろうか。3カ国の漫画アニメ産業は手を携えて世界に進出できるだろうか。

▽まだまだ「若い」中国漫画アニメ産業

このほど浙江省杭州市で開催された第8回中国国際漫画アニメフェスティバルでは、喜羊羊が海外進出し、「大耳朶図図」(大きな耳の図図)が相次いで各賞を受賞し、漫画アニメの生産量が年間22万分を超え、生産額が約600億元(約7800億円)に達したことなどが報告され、世界最大の新興漫画アニメ市場である中国の活力を改めてうかがわせることになった。

だが国内漫画アニメ産業の規模は急速に拡大しているものの、日本の数兆元規模に比べればまだまだ「若い」といえる。

中国文化部の蔡武(ツァイ・ウー)部長によると、日本の漫画アニメ産業は世界的なブランドになっており、韓国の文化トレンドも世界規模で「韓流」ブームを巻き起こしている。日中韓の関連分野での協力には巨大な潜在力があるという。

ある業界関係者の指摘によると、中国の漫画アニメ作品の生産量は急速に増加しているが、日韓に比べて実力ではまだ大きな差があり、その差は主に全体的な作品の質と産業チェーンなどに現れているという。

上海電影集団有限公司上海美術電影制片廠の銭建平(チエン・ジエンピン)廠長の分析によると、漫画アニメ産業の「米国モデル」や「日本モデル」に比べ、中国の漫画アニメ産業はまだ「100年ブランド」創造の初歩的な段階にある。とりわけ市場の育成をみると、米国のミッキーマウスには約80年の歴史があり、日本のドラえもんの起源は1970年代にさかのぼる一方、中国オリジナルの喜羊羊や大耳朶図図はまだ若く、オリジナルの漫画アニメ産業に従事する人材もまだまだ若く、短時間で世界の「先輩たち」を追い抜くことは難しい。だが中国漫画アニメ産業は相対的に若いからこそ、外の世界から学び、外の世界と協力する可能性に満ちているという。

▽日流・韓流の長所を学び、短所を補う

中国は改革開放がスタートして以来、アトム、ドラえもん、聖闘士星矢、ちびまる子ちゃん、クレヨンしんちゃん名探偵コナン、NARUTOといったさまざまな時期の日本の漫画アニメ作品が導入され、韓国の漫画アニメやゲームも若年層の人気を集めるようになった。今、発展しつつある中国の漫画アニメ産業が日韓の長所を学び、短所を補うにはどうすればよいだろうか。

銭廠長は「漫画アニメ産業を発展させるには作品を作るだけでは足りない。われわれが直面するのは、『日韓などの国の進んだ管理理念や運営理念からどのように学ぶか』であり、産業チェーンの連携を迅速に進めることだ」と指摘。米国の一企業が強大な漫画アニメ王国を創造したというモデルとは異なり、日本の漫画アニメ産業モデルの優れた点は、社会的分業に基づいて成熟した産業チェーンを形成したことにある。紙の漫画をコンテンツとし、市場の供給源とし、テレビや映画を主要な媒体として普及を進め、ライセンス許諾を通じて、川下で複数の産業界にまたがった総合的な営業販売網を形成し、最終的に資金を回収するシステムを実現したことにある。

喜羊羊シリーズの映画で成功した上海●通先生影業公司(●は「上」と「下」が上下に合わさった字)の王磊(ワン・レイ)最高経営責任者(CEO)は、現段階の漫画アニメ産業の需給関係から考えて、新興の中国市場には大きな魅力があり、日本の漫画アニメ企業が中国側との協力を望んでいるだけでなく、日本の脚本家や演出家、技術者も中国市場に期待を寄せていると分析した。こうしたことはすべて中国企業がブランドのキャラクターづくり、産業開発、ライセンス許諾システムなどの分野で、日本側とミドルエンド・ハイエンドの協力を展開し、日本の同業者から産業の持続可能な発展の神髄を学ぶ上でプラスになる。

銭廠長によると、日中韓3カ国の漫画アニメ・ゲーム分野での協力は、長所に学び短所を補うプロセスだ。若い視聴者は米国や日本の漫画アニメをよしとする先入観をもつが、中国の特色を備えたオリジナル漫画アニメを維持することも重要だ。同廠は現在、現代中国の芸術作品から新しい創作のインスピレーションを得ようと模索しており、水墨画、切り絵、人形劇などの二次元分野において新世代の中国作品を開拓しようとしている。

▽3カ国の漫画アニメは手を取り合って世界に進出できるか

年若い中国の漫画アニメ産業と比較すると、伝統的な漫画アニメ王国である日本もここ数年は悩みを抱えている。日本国内の市場はここ数年で縮小し、売り上げで過去最高を記録した1995年に比べ、日本漫画アニメ市場のバロメーターといえる雑誌の売り上げは過去15年間でほぼ半減し、かつての約13億冊から約5億冊に減少した。

インターネットで漫画業務を展開する日本の漫画アニメ産業の安藤拓郎さんによると、インターネットと携帯電話を媒体とした新たな娯楽モデルは、伝統的な漫画アニメ産業に対する挑戦だ。また海外市場や新たなメディアのルートを開拓することは、日本と中国がともに直面する難題であり、チャンスでもあるという。

3カ国の担当閣僚も今回の文化相フォーラムで、日中韓には文化分野で共同のブランドをうち出し、手を携えて世界に進出するための潜在力が備わっているとの見方を示した。

これまでに日本企業とさまざまな業務協力を行ってきた王CEOによると、社会的分業の角度から考えて、日中韓が漫画アニメ産業やゲーム産業の川上・川下の協力関係を形成することには高い実行の可能性がある。日本を例に取ると、より多くのミドルエンド・ハイエンドの漫画アニメ技術者が市場の需給の流れに従い、中国企業にサービスを提供するようになると予想される。長期的にみれば、日中企業は共同製作や協力などの形を通じて、共通ブランドの構築に向けた条件を徐々に整えている。

日本の出版社・小学館の第2漫画部門に所属する有名プロデューサーの横田清さんは次のように話す。中国と東アジア地域の漫画アニメ産業の発展を展望すれば、心を打つコンテンツとより見やすい方式を創造することがとても重要であり、作品は子ども向けとはいっても、素材集めや脚本づくりは細心に行わなければならず、いい加減であってはならない。漫画アニメ産業の前途には明るい未来が待っている。(編集/TF)

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