フライメディア 2018年3月26日(月) 19時20分
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「崇明島(すうめいとう)」、あまり聞き慣れない地名かもしれないが、上海の北東部に位置する島の一つで、長江から流れてきた土砂が堆積してできた島だ。
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「崇明島(すうめいとう)」、あまり聞き慣れない地名かもしれないが、上海の北東部に位置する島の一つで、長江から流れてきた土砂が堆積してできた島だ。沖縄本島ほどの大きさの島で、ここ数年は大自然や農家楽(田舎の民宿でのんびり過ごすレジャー)が人気である。
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かつて「崇明島」までのアクセスは、船のみだったが、現在は橋やトンネルでつながり、往来が便利になった。
この崇明島に、地元の「土布」文化を後世に残していこうと、工房をつくり、伝承活動をしている女性が何永[女弟]さんだ。
「土布」は地元の伝統文化で、純天然の綿花を使い、織機で織った布のこと。何さんの言葉をかりると、「一枚の布にはその時代の歴史が紡がれている」で、素朴ながらもいきいきとした躍動感のあるのが土布だ。色彩も天然の植物で染められていて、多くの工程を経て、あたたみのある布に仕上がっている。
かつて、崇明島では、この「土布」をつくることは、それぞれの家庭で生活の一部になっていたが、今、生活の中にとりいれている人は少ない。何さんは、文化は生活と切りはなして受け継いでいくものではない、と「土布伝承館」をつくった。どうにかして、今の時代の生活に融合させることができないか、模索しているのだ。
そして、「伝統は変わらないもの、古いもの」ではなく、時代により変化する人々の暮らしの中にとけこみ、たえず変化、進化していくものである」と考え、伝統的なノウハウや工程を大切に受け継ぎつつも、デザインやつくりあげるモノに、時代の流行や象徴をとりいれ、実用的に使えるよう創意工夫し、積極的に新しい変化をうみだしている。
「伝承館」はただ単に、土布の工程や作品を展示している「博物館」ではなく、実際に布づくりを体験して、実用品にすることで、「受け継いでいける」文化をつくりあげるところだと話す何さん。
ライフワークとして地元の学生など次世代への文化教育にも熱心で、「物が豊富にある今の環境の中、自分たちが着ている服がどう作られているかを知り、服を大切にしてほしい」と綿花の栽培から染色までを体験学習させ、文化と生活を融合させた教育もしている。
現在、崇明島は、大自然なども含め周辺地域と比べると、とりわけ目玉となる大きな観光地もなく、どちらかといえば、地味な場所と言われる。「土布をぜひ崇明島の名刺にしたい」、土布を語りはじめると、時間を忘れるほど情熱的に紹介する何さんだが、今後も「今、できること」に満足せず、進化をもとめて、いろいろな試みをしていきたいと力強く語った。
「継承館」は何さん個人で運営し、工房も兼ねているため一般開放しておらず、完全予約制で土布や文化の継承に興味のある人の見学やワークショップを受け入れている。(提供/フライメディア)
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