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<コラム>シャンシャンで話題になった中国外交部報道官の笑顔からわかる、中国エリートの資質

田中 周    2018年2月5日(月) 15時0分

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昨年末、中国外交部の定例記者会見で、華春瑩報道官が笑顔になったというのがニュースになっていました。この出来事を通じて、中国のエリートのレベルが推測できます。写真はシャンシャンに関する質問が出た昨年12月19日の会見時の華報道官。

昨年末、中国外交部(外務省)の定例記者会見で、日本人記者がパンダシャンシャンのことについて質問したところ、対応をしていた華春瑩報道官が中国語読みで似た発音になる、杉山事務次官(当時)のことと勘違いをして回答を始め、パンダのことだと指摘されたとたんに笑顔になったという出来事がニュースになっていました。

日本では「普段仏頂面の彼女が笑った」とニュースになっていましたが、この出来事を通じて中国のエリートというのがどういうレベルなのかということが推測できます。

このような記者会見では、あらかじめ質問が提出されることはなく、記者からのさまざまな質問に対して、即座によどみなく適切な(もちろん中国政府にとっての)回答をしています。杉山事務次官だと思った彼女は、即座にそれに沿った回答をしていましたし、パンダのことだと分かったとたんに、笑いながらパンダについての回答をしていました。

以前、ある日本企業が上海で主催したイベントに、上海市の主任(局長)クラスの人の講演を聞きましたが、自身が関係する分野に関して手元に原稿はなく、主張すべきことを的確に述べ、その主催の日本企業へのリップサービスも適度に入れつつ、聞きやすい話し方・スピードで言いよどむこともなく、キッチリ時間通りに講演を終わらせていました。あまりに見事だったので感心したのを覚えています。

中国の中央政府トップは、こういった優秀な地方の役人が出世をしていった人たちであるということが言えます。もし、何か政府の見解と違うことを言ったり、やったりしてしまえば、その段階でそれ以上の出世の道は断たれてしまいます。もちろんゴマすり、親分・子分で出世をすることもありますが、基本的な能力がふさわしくなければ、ゴマすりすら使えないとか、親分に見捨てられるとかになるでしょう。親を継ぐとか、有名人だからということでなれるものではありません。

過去のトップの子孫であっても、ぞんざいに扱われないというレベルの名誉職的なものにはなれますが、能力がなければ要職につくことはありません。外交に際しては、こういう「地頭」がいいと思われる人たちの中を勝ち抜いてきた人と違う立場で、以前のように経済支援という手段が使えない中で、かなりの勉強とよほどの策を練ってから交渉に臨むことが必要になってきているのだと思います。

ところで、冒頭の聞き違いですが、日本の記者は日本語風に「シャンシャン」と発音をしていますが、パンダの名前の漢字表記「香香」の中国語発音であれば、「シァンシァン」に近いものになります。この記者は英語で質問していましたが、英語で中国語の固有名詞は、中国語での発音をそのまま使うことが多いです。今回の場合は、日本人記者が日本語風の発音をしたのがそもそもの原因。先日、日本のLCCで台湾へ行った際、桃園空港のことを「Touen International Airport」とCAが機内アナウンスをしていましたが、「Touen(トウエン)」は日本語の音読みであって、「Taoyuan(タオユエン)」と中国語発音をすべきだと思いました。LCCとは言え、このぐらいのアナウンスはちゃんとしないといけません。

■筆者プロフィール:田中 周 (たなか しゅう)

1963年大阪府生まれ。メーカーの宣伝関係部署に勤務し、20年近く中華圏に対する広告、イベント、展示会等の施策を担当。出張した都市は30都市以上。対中国のビジネスを順調に進めるための、ちょっとした気遣い、工夫の仕方、中国人との付き合い方をご紹介。

■筆者プロフィール:田中 周

1963年大阪府生まれ。メーカーの宣伝関係部署に勤務し、20年近く中華圏に対する広告、イベント、展示会等の施策を担当。出張した都市は30都市以上。専門分野は、この経験を踏まえた、対中国のビジネスを順調に進めるための、ちょっとした気遣い、工夫の仕方、中国人との付き合い方をご紹介。

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