たばこ規制一向に進まず、医療機関の全面禁煙達成率すらわずか50%―中国

Record China    2010年10月26日(火) 11時59分

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25日、中国の全人代が世界保健機関(WHO)による「たばこの規制枠組条約(FCTC)」締結を批准してからまもなく5年になろうとしている。2011年1月9日という実施5年のデッドラインを間近に控え、中国国内のたばこ規制は遅々として進んでいない様子だ。

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2010年10月25日、中国の全人代が世界保健機関(WHO)による「たばこの規制枠組条約(FCTC)」締結を批准してからまもなく5年になろうとしている。2011年1月9日という実施5年のデッドラインを間近に控え、中国国内のたばこ規制は遅々として進んでいない様子だ。国際先駆導報の報道。

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「たばこの規制枠組条約」では、発効5年以内にたばこの広告・販促の全面禁止、受動喫煙防止対策など各種規制の実施措置を義務付けている。これによれば、屋内の業務スペースおよび公共スペース、そして公共交通機関内では全面禁煙が実施されなければならない。しかし、中国国内では医療機関ですら、今年の年末までに全面禁煙が達成できるのはわずか5割。そのほか、学校機関・政府機関・飲食店などにおいては言わずもがなである。

今月6〜9日に豪シドニーで開催された第9回アジア太平洋タバコ対策会議(APACT)に出席した中国疾病予防コントロールセンターたばこ規制事務室(National Tobacco Control Office)の姜垣(ジアン・ユアン)副主任は、「たばこは中国の公共衛生における最大の問題。しかし、その規制実現には長い、長い道のりがある」とため息をついた。中国以外の多くの参加国は、たばこ規制に顕著な成果を上げている中、中国が立ち遅れている原因には、以下のようなものがある。

■パッケージの警告表示が弱い

前出の規制枠組み条約では、発効3年以内に、市場に流通するたばこの全製品のパッケージに、その面積の3割を超える「警告表示」がなければならない。喫煙の健康被害を訴える内容を大きく明確に表示し、できれば写真付きが望ましいとされている。これを受けて中国は09年1月よりパッケージ上の表示を一新したはずなのだが…。

カナダ・ウォータールー大学の教授が、中国の高級たばこ「中華」に関して、国内外に流通しているパッケージを調べたところ、国外に流通している製品には、ガンに侵された肺などたばこの弊害を訴える写真入りの警告が付されているのに対し、国内の製品には「喫煙は健康に有害です。禁煙で健康を」との簡単な文言が印刷されているのみ。1日20本の喫煙量であれば、年間7000回以上目にする機会のあるたばこのパッケージ。しかし、中国疾病予防コントロールセンターの調査によれば、中国国内の喫煙者で「パッケージを見ても、喫煙の健康被害を認識できなかった」と回答したのは7割に上った。

■課税率が少ない

たばこに対する課税は喫煙の抑制に大きな効果があるとされるが、中国のたばこ税はまだ十分に増税の余地がある。09年、中国はたばこ製品に関し、従価税5%を含む各種税率を若干引き上げた。しかし、カリフォルニア大学バークレー校の教授が中国6都市を対象に行った調査では、この増税がたばこの消費量に与えた影響は皆無と言っていい。理由は、増税分をたばこメーカーが負担したことで消費者になんら打撃を与えていないことだ。同教授は、「もしたばこの価格が1元(約12円)値上げすれば、中国では1370万人が禁煙を実行する。また、国際的にはたばこ税の課税率は65〜70%が常識、一方の中国ではわずか30%の課税率」と指摘している。

■いまだ専売制をとるたばこ産業

中国はいまだにたばこに関して専売制を採っている。たばこ業界を管理する行政機構・国家煙草専売局が栽培・製品・流通までを管理しており、また、その傘下にある中国煙草総公司(CNTC)1社が、その事業全体を遂行しているかたちであるから、たばこの規制や業界管理を行うべき行政機関と、たばこの販売を通じて利益を産出する企業が実質的には一体化している状態だ。これでたばこの消費抑制を進めるというのはどうにも矛盾している。(翻訳・編集/愛玉)

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