<インタビュー>中国は積極的な外資・技術導入でパワーアップも―財団法人霞山会・山田正理事長(2/2)

八牧浩行    2010年10月4日(月) 6時1分

拡大

中国を中心としたアジア諸国との教育文化交流を推進している財団法人霞山会の山田正理事長はインタビューに応じ、「緊密な教育文化交流が相互理解と平和共存を促進する」と強調した。

(1 / 4 枚)

―中国が全体のGDPで日本を追い抜く勢いですが、現状と今後の見通しについてお聞かせください。

その他の写真

中国のGDP総額が今年中に日本を追い抜くと言われていますが、1人当たりでは日本の10分の1です。しかも所得階層別でも地域別でも格差が大きいといわれています。ということは、将来に向かっての「伸びしろ」が大きいということだと思います。ふり返って、わが国の経済高度成長初期では、海外からの技術導入には積極的でしたが、外国資本の受入れについては非常に慎重だったと思います。

しかし、中国は、外資の導入に積極的です。加えて、いまは東西冷戦時代と違ってグローバルな技術革新の成果をどんどん取り入れることができます。「伸びしろ」の大きさを十分活かせるのではないでしょうか。もし高度成長にブレーキがかかるとすれば、海外需要の停滞が深刻化したときか、内需拡大政策の方向に妥当性を欠いたときではないでしょうか。

―中国経済の発展にともない、日本の産業界や観光業界の中国への期待が高まっている。日本の成長戦略は中国パワー活用でという気運も強まっていますね。

どの国も鎖国状態ではいられない。東西緊張がなくなり、規制を緩和しグローバル化を志向しないと生きていけない局面に来ているのでしょうね。

―平和友好の理念を一貫して掲げて自主運営していますね。

当会活動の財源の大部分は、創設者が寄付した不動産から生じる運用益です。国等の公的機関からも企業、個人等の民間からも補助、寄付、賛助等の支援は受けていません。

―公益法人の制度が改正になるようですが、霞山会に何らかの影響はありますか。

「大あり」です。当会のような財団は、新制度下の「公益法人」にはなれません。自前の財源を捻出するために不動産を運用しますので、そのコストが発生しますし、自主財源に依存する以上、将来の活動を安定させるためには内部留保もやや厚めにしなければなりません。そういう状態だと、新制度が公益法人に求める経理基準を充足できないのです。名称が「公益財団法人」となろうがなるまいが、それには拘泥しませんが、税負担が営利法人並みになるので、頭が痛いのです。企業のような営利目的組織であろうと、公益的事業に従事する組織であろうと、どちらも「ゴーイング・コンサーン」なのですから、公益法人は収支を毎年度均衡させるべしというような法律は見直していただきたいと思います。また、金融的運用益と不動産運用益とで経理基準の適応の仕方が異なるような不合理性も改めていただきたいものです。

―戦後民間初の丹羽駐中国大使についてはいかがですか。

今いろいろな難題に直面しておられると思いますが、丹羽さんが大使だったから、ということをおやりいただいて、後世において「丹羽時代」と呼ばれるようなご駐在期間になることを祈ります。(聞き手 Record China社長 八牧浩行

●山田 正(やまだ ただし)

1959年早稲田大学第一法学部卒業、三井不動産入社。95年三井不動産代表取締役専務取締役、97年取締役兼第一園芸代表取締役社長、2006年財団法人霞山会理事、08年1月霞山会代表理事理事長、2008年4月愛知大学理事。75歳。

■筆者プロフィール:八牧浩行

1971年時事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長、常務取締役編集局長等を歴任。この間、財界、大蔵省、日銀キャップを務めたほか、欧州、米国、アフリカ、中東、アジア諸国を取材。英国・サッチャー首相、中国・李鵬首相をはじめ多くの首脳と会見。東京都日中友好協会特任顧問。時事総合研究所客員研究員。著・共著に「中国危機ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外国為替ハンドブック」など。趣味はマラソン(フルマラソン12回完走=東京マラソン4回)、ヴァイオリン演奏。

この記事のコメントを見る

ピックアップ



   

we`re

RecordChina

お問い合わせ

Record China・記事へのご意見・お問い合わせはこちら

お問い合わせ

業務提携

Record Chinaへの業務提携に関するお問い合わせはこちら

業務提携