賃上げブームは中国に好循環をもたらす―米大学講師

Record China    2010年7月12日(月) 15時0分

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8日、米プリンストン大学講師が、中国東部沿海地区で相次いでいる賃上げは、労働集約型企業の内陸部移転を促進させ東西格差を解消、内需拡大にもつながると指摘した。写真は西部大開発が進む新疆ウイグル自治区ウルムチ市。

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2010年7月8日、米プリンストン大学経済学講師のJ. C.de Swaan氏は「中国の賃上げがもたらす好循環」と題した文章で、中国東部沿海地区で相次いでいる賃上げは、労働集約型企業の内陸部移転を促進することによって東西の発展不均衡を解消するとともに、内需拡大をも促すため、中国にとっては好循環となると指摘した。ウォール・ストリート・ジャーナル(中国語電子版)が伝えた。以下はその抄訳。

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アップルなどの電子製品の生産を行っている富士康(フォックスコン)が、従業員の連続自殺事件などをきっかけに賃上げを決定した。同社は、現在広東省深セン市にある工場を、今後労働コストのより低い河北省に移転する計画だ。賃上げとそれに続く移転は、中国製造業の現在のトレンドを反映したものだ。

現在、一種の好循環が中国を次の発展のステージへと突き進ませている。賃上げは、世界で最も優れた低コストの製造基地である中国の地位を失わせないだけでなく、逆に製造業の持つ就業機会を発展の遅れている内陸部へと移転させ、高付加価値産業を東部沿海地区に根付かせる基礎を築くことにつながる。

中国政府は労働集約型の製造業を、安価な労働力の豊富な内陸地区へと移転させる政策をすでに進めている。これにより、少なくともある一定の期間は、過去30年間沿海地区に遅れをとってきた内陸部で就業機会を生みだし、同時に低い労働コストによって世界で最も優位性を持つ中国製造業の地位を保つことができる。

では、労働集約型企業が移転したあとの沿海地区はどうなるのか?高付加価値産業や最先端企業などの、優秀なエンジニアやプログラマーなど高級人材を必要とする企業が残るだろう。こうした企業は低レベルの、安価で大量な労働力を必要とはしていない。広東省政府が最近、最低賃金基準を20%引き上げると発表したが、こうした人材の賃金は最低賃金の2倍以上あり、基準の引上げはほとんど関係がない。

多国籍企業や国内大型製造業が中国から他の国へ移転する可能性はどうだろうか? 多くの企業がすでにこうした選択をしているが、これは末端の低付加価値の製造業に影響を与えるに過ぎないだろう。

こうした流れから考えると、賃上げ率が最終的にGDP成長率を超えることは間違いない。中国の今後の問題は、賃上げによる末端製造業の就業機会の流失ではない。なぜなら就業機会は発展の遅れた内陸部に移転していくからである。問題なのは優秀な人材に沿海地区で生まれる新たなチャンスをいかにつかませるかである。(翻訳・編集/HA)

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