<レコチャ広場><書評>資料的な価値高し=佐藤千歳著「インターネットと中国共産党―人民網体験記」

Record China    2010年4月17日(土) 10時30分

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2010年4月、中国共産党機関誌「人民日報」のインターネットニュースサイトである人民網で2005年から06年にかけて働いたという日本人としては得難い体験の記録。講談社文庫、695円。写真は08年に初の船外活動に成功した神舟7号。

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2010年4月、中国共産党機関誌「人民日報」のインターネットニュースサイトである人民網で2005年から06年にかけて働いたという日本人としては得難い体験の記録。講談社文庫、695円。

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北海道新聞の記者である著者が「人民日報」との企業交流での職場体験するという出だしからはあまり暴露的な内容もなかろうと思うが、さにあらず。ジャーナリストビザがないこともなんのその、「取材」した資料の処理をめぐって武装警察と衝突して受け入れ側を困らせるなど、読ませる。

ただ、その問題の資料を処分したとウソをついたことを本書で「告白」しており、企業間の論理としては公的派遣でこんなことをしてホントにいいのかいな、と余計なお世話ながら心配してしまう。

見せ場は、2005年に中国初の有人宇宙船「神舟6号」の打ち上げが成功した際の人民網内部の様子や、ノービザ取材による混乱のおかげで実現した人民日報群衆工作部の活動取材など、いくつもある。難を言えば中国共産党による言論統制など、分かり切っている当然の前提に対して毎回いちいちコメントをしようとしている点が、テレビ朝日のニュース番組における古館伊知郎キャスターのように、ややうるさい。

全体として、日本人にとっては非常に貴重な中国メディア、なかんずく現在最先端であるインターネットメディアの内部事情を丁寧に紹介しており、資料的な価値は高い。(文章/三木)

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