<南水北調>北の大地を潤せ!国家的取水プロジェクトの陰で涙する移民たち―河南省南陽市淅川県

Record China    2009年9月28日(月) 21時42分

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11日、慢性的な水不足に悩む北部に、長江の上・中・下流3か所から水を引くという「南水北調」プロジェクトが建設の佳境を迎えている。しかし、その輝かしい国家的事業の陰で、立ち退きを余儀なくされ、愛する故郷を捨てなければいけない移民が多く存在する。

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2009年9月11日、かつて毛沢東の時代に提唱されていたという「南水北調」プロジェクトが建設の佳境を迎えている。慢性的な水不足に悩む北部に、長江の上・中・下流3か所から水を引くという一大建設計画は、同じく長江中流に建設されている三峡ダムと並ぶ規模を誇る。中でももっとも重要とされる全長1246kmの中央線プロジェクトは2014年に竣工予定となっており、人口1800万人の大都市・北京をはじめとした20都市以上に、長江支流の漢江から年間30億立方メートルを給水する。しかし、その輝かしい国家的事業の陰で、立ち退きを余儀なくされ、愛する故郷を捨てなければいけない移民が40万人も存在するのだ。南方都市報の報道。

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南水北調中央線プロジェクトで第1の水門となる河南省南陽市。全省で21万人の立ち退き住民を抱える同省だが、南陽市淅川県は2013年までに16万人もの住民が省内他都市への転居を迫られている。この地はすでにこのような通達に慣れっこだ。1959〜1978年の期間にダム建設などを理由に、20万人が住み慣れた土地を離れていった。

南方都市報の記者が淅川県の獅子崗村を訪ねると、村では第1弾目の移住を控えて多くの家屋がすでに取り壊され、あとは移転を待つばかりの住民が940人、青空のもとで煮炊きをしていた。90年代に“立ち退き宣告”が出て以来、12年。それがいつ実行されるかもわからぬまま、村民らは自宅の新築も、道路の修理も、街路樹の植樹も据え置きにしてお上のお達しを待っていた。地元政府が7000万元(約9億3000万円)を投じて準備した移転先では、総面積3.6万平米の新築住宅が彼らを待ち、街灯つきの舗装された道路や67万平米もの耕地も保証されている。何をとっても現在より好条件の環境だが、村民らの表情はけっして明るくはない。

村民らの水道料金は現在、1tあたり3.7元(約40円)。一世帯がひと月当たりで10数tを消費することを考えれば、決して裕福ではない村民にとって大きな負担だが、この水道料金の中には彼らの移転費用や、新しく設置する水路の建設費が上乗せされている。

「金のお屋敷も、銀のお屋敷も、自分のぼろ屋にはかなわない」。ある女性の放ったそんなひと言は、多くの村民の気持ちを代弁しているだろう。さら地に腰を下ろし、故郷で最後となる粗末な晩餐をとる村民。もう二度と訪れることもない祖先のお墓を拝み、故郷の土や草花を引っ越し荷物にそっと潜ませる村民。彼らの故郷は2013年、水深10mの川床に沈みゆく。(翻訳・編集/愛玉)

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