<レコチャ広場>「頼りない次世代」か?日中でこんなに違う!メディアが描く若者のイメージ

Record China    2009年7月10日(金) 20時25分

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8日、レコードチャイナ・ライターによる個人ブログ「全人類の中国分析2」は、日本と中国の若者像を比較・分析した。写真は18歳で北京のIT企業のCEOに就任した中国の若者。

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2009年7月8日、レコードチャイナ・ライターによる個人ブログ「全人類の中国分析2」は、日本と中国の若者像を比較・分析した。

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以下は同ブログより。

先日、翻訳を担当した中国語ニュース記事に、「未成年」という言葉が出てきた。それをそのまま「未成年」と訳したが、何か釈然としないでいた。中国語も日本語も同じ「未成年」だが、イメージにずれがあるような気がしたのだ。

その後「日本の若者と中国の若者」について考える機会があり、その違いをまとめていたときに、あのときの「未成年」の謎がとけた。中国の未成年は、《中華人民共和国未成年保護法》で18歳未満の青少年及び児童と定められている。それに対して日本の未成年は、民法によって20歳未満と規定されている。少年犯罪の凶悪化等によって、成年年齢の18歳への引き下げが議論されているが、児童福祉法や少年法、労働基準法などそれぞれ縦割りで定められた児童、少年、成年の定義は一定でなく、そう簡単ではない。

誤訳であるとは思わないし、ほとんどの翻訳者はそのように訳すだろうが、あの「未成年」は、日本語で「少年」と訳すべきだったかもしれないと思う。もちろん異なる言語どうしの間で完全に一致する訳語など存在せず、言葉の置かれた文脈や言語そのものの変遷によって、相応する訳語は絶えず変化する。私個人の感覚として、少なくとも「未成年」より「少年」のほうが、いまの日本人のいだくイメージとして、より原文に近いのではないかと思ったのである。

「日本の若者」と「中国の若者」の比較に戻るが、若者の概念も日中両国に想像以上に開きがあって、非常におもしろい。中国の若者の代表として何かと注目をあびるのが「80後」と「90後」だ。ともに80年代生まれと90年代生まれという意味だが、単純に「80後」は20代、「90後」は10代と言ってもさしつかえない。中国では一般的に、若者とは、10代から20代までのことをいうのである。

では日本はどうか。現代の若者の消極的話題として「ニート」や「引きこもり」がとりあげられるが、20代よりむしろ30代におけるこれらの現象がメディアでは強調されているように感じる。少なくとも20代だけを対象としては、日本の若者論は成り立たない。「中国の「若者」はより若年齢化し、日本の「若者」はより高年齢化しているようだ。

中国の「80後」は、1人っ子世代と同義で語られることが多く、自己中心、対人関係の処理についての未成熟さ、消費における節約概念の欠如などが何かととりざたされる。「90後」にいたっては、社会における最低限の道徳観念さえも超越したその「奔放ぶり」が問題にされ、中国社会から共感されることはほとんどないようにみえる。しかし中国の若者の購買力の上昇には、目を見張るものがあり、いまや「80後」が不動産購入の主力軍であり(不動産取引量の30%を80後が占めるという報道もある)、車や高級ブランド品の消費も、「80後」を無視しては語れない。

最近、雇用の不安定化が原因で、日本の若者は車の購買力がなくなった、と指摘した日本メディアの記事を読んだ。車でさえそうなのだから、20代で家を買う若者がそうそういるはずはない。経済システムや消費概念の違いがあるから、単純に日中比較を論じることはできない。しかしここで視点を変えてみよう。これらのイメージをつくっているのは誰なのか。

それはメディアである。ここに日中両国のメディアの関心の違いが見えてくるではないか。中国メディアは若者を、自国の経済成長に対する自信を人々に植えつけるための現象として、同時に中国社会の「さらに重要な」問題から目をそらさせるための「道徳的な問題」として描き出そうとする。対して日本メディアは若者を、世論に将来の日本を悲観させ、既存の権力構造への依存心を起こさせるための「頼りない次世代」として描くのである。

ここでまた釈然としない思いがわいてきた。果たして本当にメディアが悪いのだろうか。メディアが規定しようとする「若者像」をぶち壊そうとする若者が少なすぎるのではないのか。

■「全人類の中国分析2」は中国ニュースを材料に、情報を正しく解読することの大切さを伝える、あるレコードチャイナ・ライターのブログ。Livedoor Blogに掲載。

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