「原因不明」で死亡の2人、「肺ペスト」と判明―チベット自治区

Record China    2008年10月1日(水) 7時38分

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30日、チベット自治区ニンティ地区ナン県卓康村で原因不明の病気で死亡した2人は、その後の検査で肺ペストに感染していたことが明らかになった。写真は08年2月、北京五輪会場周辺でまかれた殺鼠薬。

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2008年9月30日、チベット自治区衛生庁は記者会見を開き、26日に同自治区ニンティ地区ナン県卓康村にて村民2人が原因不明の病で死亡したとの報告を受けたが、その後の調べで2人が肺ペストに感染していたことが判明したと発表。「新華網」が伝えた。

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ペスト発生と判明した直後から、衛生庁は「チベット自治区突発公共衛生事案応急預案」警戒レベル2級および3級を発令。死亡した2人と接触した家族や関係者を隔離して検査したが、結果は全員陰性だった。

さらに感染の拡大を確実に抑えるため感染者発生地区を中心に隔離エリアを設け、住民の健康状態を観察。同時に感染者の住居や訪れた医療機関などの消毒を行い、隔離エリアから出る住民に対しては検疫検査を実施した。

衛生庁は隣の青海省にペスト発生を報告するとともに、同自治区内7地区の衛生局に原因不明の発熱や呼吸困難を訴える患者の有無を報告するよう緊急通知を出した。これまでのところ、新たな感染患者の報告は受けていないとのこと。(翻訳・編集/本郷)

ペスト菌とは、ペスト菌(Yersinia pestis)の感染による感染症で、腺ペストと肺ペストがあります。敗血症を起こすこともあります。日本では1926年(昭和元年)以来発生がなく、現在では温帯、熱帯の各国、特にインド、中国、南アフリカに多く、ヒマラヤ山脈、ロッキー山脈南部、アンデス山脈などの周辺にもみられます。

これらの地域では野生のネズミが保菌しており、それに寄生しているノミに刺され、感染します。ペストの約80%は腺ペストです。腺ペストは高熱、頭痛、筋肉痛などのほか、悪心(おしん)、嘔吐(おうと)が強く、全身のリンパ節が腫脹(しゅちょう)するため、この名がつけられています。

肺ペストでは前記の症状のほかに肺炎による呼吸困難や血たんを伴います。肺ペスト患者から喀出(かくしゅつ)される喀たんや飛沫、エアゾールからの感染(飛沫感染、空気感染)があるので厳重な注意が必要です。

[診断][治療]

確定診断には菌の培養・同定、PCR法などによるペスト菌遺伝子の検出が役に立ちます。治療にはニューキノロン、テトラサイクリン、ストレプトマイシンなどの抗菌薬が有効です。 (資料提供・時事通信出版局 パソコンソフト「家庭の医学」デジタル版)

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