人民網日本語版 2017年6月3日(土) 19時20分
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米ワシントン現地時間6月1日午後3時、米トランプ大統領は、ホワイトハウスにおいて、米国は「パリ協定」から離脱することを発表した。
米国の「パリ協定」離脱後に影響について、研究者や科学者は、「世界の約200カ国が批准している気候に関するこの協定から米国が離脱すれば、化石燃料による汚染を規制している他の国々にドミノ効果が生じる可能性がある。これが現実化すれば、気候変動の危機を人類が食い止めることがほぼ不可能となり、さらに危機が差し迫るであろう」という結論に達した。
○気候変動の危機は避けられない
2015年12月に開催された「国連気候変動枠組条約」第21回締約国会議(COP21)において、条約締結に臨んだ約200カ国が「パリ協定」を採択、地球温暖化抑止に向けた2020年以降の取り組みが定められた。「パリ協定」によると、締結各国は、気候変動の危機に対する世界的な対応を強化し、世界的な平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃以内に抑え、可能であれば1.5℃以内に抑えるよう尽力する。また、できる限り早期に世界の温室効果ガスの排出量をピークアウトし、今世紀後半に人為的な温室効果ガスの排出と吸収源による除去の均衡を達成する。
マサチューセッツ工科大学(MIT)スローン経営学大学院やロックフェラー・ブラザーズ・ファンドが支援するモデリング研究チーム「クライメイト・インタラクティブ」は、「トランプ大統領の行動は、今後の見通しをより暗くするように見られる」との見方を示した。彼らの推測によると、米国が「パリ協定」を離脱すれば、世界の平均気温は2100年までに、産業革命以前に比べ、基準の3.3℃を上回る3.6℃上昇する見通しという。
〇米国離脱後に起こり得るドミノ効果
CO2排出量が世界で2番目に多い米国が「パリ協定」を離脱するとなると、数千億トンのCO2が大気圏に入り込む状況を招き、進行している地球温暖化がさらに加速するという事態を招く可能性がある。これは、先進国が発展途上国のCO2排出削減のために年間1億ドル(約111億円)の資金拠出を行うという合意を脅かし、さらには世界の気候変動に対抗する政治的基盤を揺るがす恐れがある。
英オックスフォード大学環境変動研究所地球システム科学のMyles Allen教授は、ブルームバーグの取材に対し、「最も重要な問題は、米国の離脱によって、米国の投資家や公共事業企業が実際に新しい工場を建設することで、大量のCO2排出現象がもたらされるか否かという点だ」と指摘した。
〇今後の着目点:トランプ大統領は今後、どのような政策を打ち出すか?
米国の「パリ協定」離脱に伴い、同じく離脱を表明した国家は今のところ見られない。EUは現地時間5月31日、「パリ協定」への残留を米国に求めると同時に、米国の再加入についてオープンな態度で対応するつもりだと表明した。
トランプ大統領が今後、どのような政策を制定するか、そしてその政策が有効な時間を保ち得るかという問題が、今後の着目点として挙げられる。米プリンストン大学地球科学・国際問題専攻のマイケル・オッペンハイマー教授は、「米国が温暖化対策のための行動から手を引けば、最終的には、他の国家の継続的な努力に水を差すことにもなりかねない」と指摘、次のように述べた。
「実際に、地球温暖化対策は8年にわたり迷走したことから、再生資源分野の研究が立ち遅れ、CO2排出量の増加を招く恐れがある。たとえば、トランプ大統領は、クリーンエネルギーの採用を抑え、石炭火力発電を促進する可能性がある」「行動の立ち遅れは、温暖化対策の目標達成を阻止する最大の敵であり、それによって研究経費やエネルギー技術用経費が削減されれば、さらに酷い事態に陥る」。
オッペンハイマー教授の研究チームの主張は、今年の早い時期に、自然科学専門誌に掲載された。(提供/人民網日本語版・編集KM)
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