<点描・北京五輪>朝倉浩之の眼・あの”反日”サッカースタジアムが再開!五輪テスト大会開催

Record China    2008年4月20日(日) 10時3分

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久々にここに帰ってきた。 北京市中心部にある工人体育場(スタジアム)。サッカーファンの中には、この名前に聞き覚えのある方もいるかもしれない。04年のアジア杯決勝…。写真は今年2月の日中戦。

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あの”反日サッカースタジアムが再開!五輪テスト大会開催

久々にここに帰ってきた。

北京市中心部にある工人体育場(スタジアム)である。サッカーファンの中には、この名前に聞き覚えのある方もいるかもしれない。

2004年のアジア杯決勝。いわゆる『反日騒ぎ』の真っ只中に開催された日本対中国の決勝戦の舞台がまさにここである。その時、私もその場にいた。中国人「球迷(サッカーファン)」の様子をこの目で見てやろうと、用意された『日本人専用席』にも敢えて行かず、一般の中国人に混じって観戦した。私は、日本人であることを知られないよう…後半20分の中田浩二の勝ち越しゴールに思わず声を上げるのをこらえながら、観戦した覚えがある。後にも先にも、別の意味で“緊張”しながらサッカーの試合を見たのは、このときだけだ。その日、北京工人体育場は中国国旗がひしめき、真っ赤になっていた。そして、聞くに堪えない日本への罵声が飛び交っていた。今から思えば、すごい『現場』だった。

その後、北京五輪のスタジアムとして生まれ変わるため、2年間、閉鎖。ここをホームとしていた中国スーパーリーグの北京国安も郊外のスタジアムに本拠地を移し、改修工事が続いていた。

その工人体育場が64000人収容の五輪スタジアムとして生まれ変わった。古ぼけたトイレやその他の各施設が一新され、メディアルームも素晴らしいものができた。オーロラビジョンも、しっかりしたものが2基設置され、『今風の』スタジアムとなった。当時はその名の通り、『労働者のための』スタジアムという感じがしたから、まさに隔世の感だ。

今日、ここでは改修を終えて最初の試合が行われる。

北京五輪の女子サッカーの出場権を巡るプレーオフである。ブラジルとガーナが最後の切符を争う。

日中の暖かさとはうって変わって肌寒くなってきたこの時間。出場するのが中国と全く無関係ということで、北京市民の関心は薄く、バックスタンドがようやく3,4割程度、埋まった程度だ。2004年の『あの時』とは比べようもないスタンド。だが、北京在住のブラジル人と見られる人たちが団体でやってきて、なかなかノリのいい応援を繰り広げている。

女子サッカーではあるが、ブラジルのテクニックは非常に高いし、ガーナの選手も身体能力が高い。だが、時折生まれるナイスプレーも、スタンドは軽く沸く程度で、『あの時』に感じた怒号のような歓声は聞こえてこない。球迷の強烈な声援がこだまするのもサッカーの醍醐味だから、何となく拍子抜けするが、このカードだから仕方ないか…。

ちなみに本大会では、この女子サッカーの決勝、そして男子の準決勝一試合がここで行われる。そのときは、こんなにのんびり構えて、サッカーを見ていられないだろう…。

いよいよ明日は北京五輪の男女サッカーの抽選会が北京で行われる。日本が出場する五輪競技としては最初の抽選会だ。各テスト大会が目白押しになったこともあり、いよいよ本格的に北京五輪に向けて動き出した…そんな実感がする週末だったが、その締めくくりとなる明日の抽選会。私も現場に行って、五輪を闘う日本サッカーのスタート地点を見届けたいと思う。

北京工人体育場の紹介は以下のブログ記事を参照

http://www.plus-blog.sportsnavi.com/asa8043/article/133

<注:この文章は筆者の承諾を得て個人ブログから転載したものです>

■筆者プロフィール:朝倉浩之

奈良県出身。同志社大学卒業後、民放テレビ局に入社。スポーツをメインにキャスター、ディレクターとしてスポーツ・ニュース・ドキュメンタリー等の制作・取材に関わる。現在は中国にわたり、中国スポーツの取材、執筆を行いつつ、北京の「今」をレポートする中国国際放送などの各種ラジオ番組などにも出演している。

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