人民網日本語版 2017年5月27日(土) 20時20分
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歴史ある町・奈良は、日本を旅行する多くの中国人観光客にとって、必ず足を運びたい場所の一つだ。
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歴史ある町・奈良は、日本を旅行する多くの中国人観光客にとって、必ず足を運びたい場所の一つだ。それは、単に東大寺や唐招提寺、春日大社などの名所があるからではなく、奈良は、正真正銘の「シカの都」だからでもある。奈良では人とシカが仲良く共生して1000年以上になる。しかし、日本メディアの最近の報道によると、2016年、シカをめぐるトラブルが増え、奈良公園でシカに噛まれるなどしてけがをした人の数が121人にのぼり、その数は過去最多だったという。国際在線が報じた。
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121人のほとんどが、シカに噛まれてけがをし、少数ながら角で突かれたり、シカに驚かされて転倒し、けがをした人もいたという。15年と比べると、奈良市内で、シカに接触したことが原因でけがをした人の数は29人増えた。けがをした121人のうち、外国人が85人と全体の7割を占める。ほとんどがシカに近付きすぎたことが原因だ。幸いにも、けがの多くは軽いものだったということだ。
▼東大寺でシカに餌をあげる日本の中学生
筆者は仕事で奈良に2回行ったことがある。奈良の中心にある奈良公園には、たくさんのシカが生息しており、人を全く怖がることはなく、自ら餌を求めて人に近付き、もらえるまで「おねだり」することさえある。筆者自身の経験からして、奈良のシカに近付くのは確かに危ない。シカは、非常におとなしい動物で、何もなければ人を攻撃することはないものの、機嫌が悪かったり、餌をもらって興奮していたりすると、人に危害を加えてしまう可能性もある。筆者も、シカせんべいを持った中国人の女の子が、シカの群れに追われて転倒し、声を上げて泣き、親が慌てて助けに行っていたのを見たことがある。
奈良で人とシカが共生するようになって1000年以上の歴史がある。有名な観光スポットである奈良の春日大社の社伝によると、シカは春日大社の神使であり、春日大社創建の際、茨城県にある鹿島神宮の祭神・武甕槌命が神鹿に乗ってやってきたと伝えられている。その「神鹿」に感謝を示すべく、奈良の人はこれまで約1300年間、「神鹿」を祀っている。日本にはシカを狩猟する伝統がある地域もあるものの、奈良では、神格化されたシカに危害が加えられることはない。シカにとって奈良は「天国」のような場所になっているのだ。ここでは、オオカミやハンターなどに襲われることを心配する必要はなく、仲間と一緒に街の中を自由に歩き回り、お腹がすけば人に餌をねだることさえできるのだ。
▼奈良に来たら「シカと記念写真」がお決まり
しかし、生存環境があまりに快適であるため、奈良のシカは個体数が急増しており、2008年発表の調査によれば、その数は1128頭にまで増えている。総面積がわずか276万8000平方キロメートルで、人口36万人以下の奈良市にとっては大きな負担となり、地元の人にとっては悩みの種ともなっている。例えば、車を運転していると、シカが飛び出してくる可能性があり、いつも注意していなければならない。ほぼ毎年、車と鹿の衝突・接触事故が発生しており、それに伴い、死傷したり、車両が破損したりというトラブルも起きている。また、シカの個体数が多すぎるため、観光客があげる餌だけでは足らず、近くの農地を荒らし、毎年農家に大きな経済的損失をもたらしている。ある農家は取材に対して、「20万円かけて、フェンスを作ったものの、あまり効果がない」と肩を落とした。その他、1000頭以上のシカの排泄物も、現地の人にとっては頭の痛い問題だ。有名な観光スポット・東大寺の前にあるスペースは現在、シカが集まる「公衆便所」化しており、ほとんどの観光客がそのような状況に理解を示すものの、きれい好きで知られる日本人は、やはり不快な気分になるようだ。
奈良県は現在、生態バランスを保つために奈良公園以外の場所で生息するシカを捕獲することを検討している。しかし、神格化されているシカを捕獲するのは難しく、さらに、奈良のシカは文化庁が指定する「天然記念物」でもあるため、捕獲するためにはまず政府の許可が必要だ。日本メディアの報道によると、関連の業務は早くても7月以降にならなければ実施できないという。(提供/人民網日本語版・編集/KN)
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