八牧浩行 2017年4月13日(木) 5時10分
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国際情報筋は米軍によるシリア軍事施設攻撃について、米軍爆撃が今後も繰り返される可能性が高いと指摘した。標的がシリアの軍事施設から同国指導者に向けられた場合、ロシア・イラン両国と米国の間は厳しい「直接対決」となるとの見通しを明らかにした。写真はシリア。
2017年4月12日、国際情報筋は6日の米軍によるシリア軍事施設攻撃について言及、米軍爆撃が今後も繰り返される可能性が高いと指摘した。標的が、シリアの軍事施設から同国指導者に向けられた場合、ロシア・イラン両国と米国の間は「直接対決」となる懸念を明らかにした。またシリア内戦地域における米露間の相互連絡システムが破棄されたため、相互の連絡や調整が途絶えた中で攻撃が実施されれば、偶発的な衝突の恐れもあると警告した。同筋の発言要旨は次の通り。
アサド大統領の化学兵器使用は、シリアにおけるアサドの孤立の表れといえる。シリア基地へのミサイル攻撃は注意深く準備されたもので、主要同盟国に事前連絡された。トランプ政権は当初アサド政権をイスラム国(IS)制圧に協力するため容認していたが、「アサドを認めず」との方針に転換したことを意味する。
米軍の攻撃が、米中首脳会談の最中に行われたため、米国は中国や北朝鮮に対し、次は「北朝鮮」が標的になるとのシグナルを送ろうとしたとの見方がある。実際は「化学兵器使用」というレッドドライン越えに対する制裁にあったが、結果的に中朝をけん制する「一石二鳥」の効果があった。
シリアの軍事施設に対する米軍攻撃は、今後も実施される可能性が高い。一方でロシアとイランのアサド政権支持の姿勢は堅持される。米軍攻撃の標的が、シリアの軍事施設から同国指導者に向けられた場合、ロシア・イラン両国と米国の間で「直接対決」の様相を呈する。
IS(イスラム国)の占拠地域などシリア内戦地域における米露間の相互連絡システムが破棄された。米露の軍事行動が、相互の連絡や調整が全く途絶えた中で実施されれば、偶発的な衝突の恐れもある。
シリアがレッドラインを越えたにもかかわらず行動しなかったオバマ前大統領と異なり、トランプがシリア攻撃に踏み切ったことで、オバマ氏にとっては起死回生の人気挽回策となった。異端視され共和党内からも不人気だったトランプ氏だったが、共和党の伝統的手法への回帰と受け止められている。(八牧浩行)
■筆者プロフィール:八牧浩行
1971年時事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長、常務取締役編集局長等を歴任。この間、財界、大蔵省、日銀キャップを務めたほか、欧州、米国、アフリカ、中東、アジア諸国を取材。英国・サッチャー首相、中国・李鵬首相をはじめ多くの首脳と会見。東京都日中友好協会特任顧問。時事総合研究所客員研究員。著・共著に「中国危機ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外国為替ハンドブック」など。趣味はマラソン(フルマラソン12回完走=東京マラソン4回)、ヴァイオリン演奏。
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