日本の実店舗、通販の打撃受けてもなぜ好業績を維持?―中国紙

人民網日本語版    2017年3月4日(土) 17時20分

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流通・マーケティング専門誌が発表した2016年の日本の大手百貨店上位50店舗の統計によると、営業額が15年を上回ったところが29店舗あり、トップは伊勢丹新宿店の2724億円で前年比5.4%増加した。資料写真。

流通・マーケティング専門誌が発表した2016年の日本の大手百貨店上位50店舗の統計によると、営業額が15年を上回ったところが29店舗あり、トップは伊勢丹新宿店の2724億円で前年比5.4%増加した。2位は阪急百貨店うめだ本店で同10.4%増加。増加率が最も大きかったのは松屋銀座の18.1%で、三越銀座店の14.6%が続いた。ビジネスモデルが多様化し、通信販売が徐々に普及する日本で、実店舗が引き続きこのような好業績を維持できるのはなぜか。秘訣は何だろうか。経済日報が伝えた。

商品の質の高さが実店舗のよって立つ基盤だ。百貨店にはさまざまな商品があり、種類も多いが、どの店舗でも真っ先に保証するのは商品の品質だ。商品の仕入れルートはいろいろあるが、日本ではメーカーからの委託販売というスタイルを採ることが多く、売ってから代金を決済する。販売してみてうまくいかなかったり品質に問題があったりすれば、一つの店舗で売り場から下げられるだけでなく、大手小売店舗の流通ルート全体から閉め出される可能性がある。そこでメーカーは製品の品質の確かさと価格の妥当さを保証することを一番に考える。輸入商品の場合は国の基準に基づく検査があるだけでなく、各店舗がそれぞれの特色に応じて、販売する商品を正確に狙い定める。日本人は贈答品の包装を非常に重視し、大手百貨店の包装紙に包まれていれば中味の品質やレベルはおおよそ見当がつく。

際立ったサービスが実店舗の顧客獲得に向けた一般的なやり方だ。笑顔のサービスや行き届いた礼儀作法は言うまでもなく、細やかさで顧客の評価を得ることが重要だ。細やかさは多くの場面に現れる。たとえば大手百貨店の多くに子どものプレイコーナーがあり、親が買い物をしている間も子どもは寂しい思いをしない。トイレの近くには喫煙室があり、愛煙家は「ちょっと一服」を楽しめる。ここ数年は、授乳室を設置するところも増え、買い物の合間に好きな時に気軽に赤ちゃんにミルクをあげることができる。

会員制度の充実も顧客をつかみ取る重要な方法だ。多くの百貨店は会員顧客を増やそうと努力しており、1つ商品を買っただけで、支払い時に会員になるよう勧誘される。会員になれば買い物金額に応じてポイントがたまったり、会員向けサービスを受けたりできる。また店舗側はシーズンが変わったり、商品を入れ替えたりした時、電子メールなどを通じて会員に広告を送る。販売員の重要な任務は顧客に商品のアドバイスをすることだ。化粧品は百貨店経営の重要な柱で、1階を化粧品フロアにする店舗が多い。販売員の重要な任務は顧客の体質に合わせてさまざまなタイプの商品を勧め、使用方法や組み合わせのテクニックを伝授することだ。顧客は百貨店で自分にあったメークのテクニックを学び、単に商品を買うだけでなく多くのものを得る。百貨店ではいろいろ質問したり接客を受けたりした後で商品を買わなくても気にすることはない。店側は、自分に合うタイプの商品を知った顧客は、いずれ買いに来ることを知っているからだ。統計によると、16年の日本の百貨店の化粧品売上高は同2%増加した。衣類を取り扱うカウンターでは、販売員が顧客の求めに応じて、さまざまなタイプの商品を広げて顧客に勧める。顧客が上着を選べば、それに合うスタイルや色のパンツ、靴、帽子を勧める。この時、販売員は顧客専属のファッションアドバイザーのような役割を果たす。VIP会員であれば、上層階に専用の試着室があってマンツーマンのサービスを受けられる。来店前に電話すれば、販売員がその人の体型やクローゼットの中味を考えて、お勧め商品をそろえて待っていてくれる。人口が飽和状態にある日本では、このような細やかなサービスでリピーターをつかむのが店舗の重要な経営戦略になる。

店舗のサービスは細かいところに現れる。店舗で革靴を見て気に入った場合、試着して代金を支払い品物を受け取るというプロセスを経る。この時、販売員は靴をぴかぴかに磨いてくれ、靴磨き用の布をつけてくれ、お手入れの方法も説明してくれる。また元からある中敷きの他にもう1枚サービスしてくれ、靴下の厚さによって調節してくださいと説明される。カウンター越しに商品を渡す販売員はまれで、ほとんどの販売員はカウンターから出てきて、両手で商品を渡し、数歩歩いて見送りまでしてくれる。本屋で本を買えば、その場でカバーをかけてくれるし、雨や雪の日には、商品を入れる袋にさらに透明のビニールカバーをつけてぬれないようにしてくれる。実に細やかな行き届いたサービスだといえる。

ここ数年、日本の百貨店は金融サービスと外国人向け免税サービスの発展に力を入れている。三越・伊勢丹グループが発行するエムアイカードはビザカードと提携して世界中で使えるだけでなく、日本のグループ店舗で使用すれば、前年度の利用額に応じて5%、8%、10%の優待が受けられる。こうして顧客を引き寄せる力を高めるだけでなく、店舗の金融事業の発展も促進している。同じようなクレジットカードは高島屋、ジャスコ、コンビニのローソンなどにもあり、広く普及している。日本政府観光局(JNTO)がまとめた最新の統計によると、16年の訪日外国人観光客はのべ2400万人を超え、観光消費は同7.8%増加して、3兆7500億円に達した。多くの百貨店も外国人観光客の呼び込みを新たな販売の成長源をみなしており、免税売上高は1843億円に上る。日本式のサービスは多くの外国人観光客に着実に好印象を与えている。

通販ビジネスが急速に発展する今日、実店舗の経営の利益も枕を高くして寝ていられる状況ではない。日本百貨店協会がさきに発表したデータでは、16年の百貨店の総売上高は5兆9780億円で同2.9%減少し、2年連続で減少しただけでなく、1980年以降で初めて6兆円の大台に届かなかった。だが同協会の幹部は、「日本のネット店舗が手がける商品の多くは規格が決まっている商品やローエンド商品だ。実店舗は商品のレベルとサービスの質によって必ずや顧客を獲得し、市場で存在感を保つことができる」との見方を示す。(提供/人民網日本語版・編集/KS)

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