<点描・北京五輪>朝倉浩之の眼・水球テスト大会、“水上の格闘技”に欧州の熱い視線=日本の不参加寂しい

Record China    2008年3月23日(日) 19時2分

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“水上の格闘技”水球の五輪テスト大会「中国オープン」は19日、大会2日目を迎えた。男子の中国代表―上海市代表、オーストラリア―広東省代表のカードが組まれ、それぞれ中国代表、オーストラリアが勝利した。

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水球テスト大会、欧州メディアの熱い視線

“水上の格闘技”水球の五輪テスト大会「中国オープン」は19日、大会2日目を迎えた。この日は、男子の中国代表―上海市代表、オーストラリア―広東省代表のカードが組まれ、それぞれ中国代表、オーストラリアが勝利した。

日本が男女とも五輪予選にも出場しておらず、決してメジャースポーツではないため、今大会への日本の関心は低いが、水球そのものは“水上の格闘技”という名の通り、ボールを巡る水上の激しい接触がダイナミックな魅力的なスポーツである。男子は1900年のパリ五輪からすでに正式種目に入っており、長い歴史を持つスポーツだ。

さて、会場となったオリンピック体育センターの『英東水泳館』は1990年の北京アジア競技大会から17年間使用されたのち、北京五輪に向け、全面改装工事がされたスタジアム。本大会では、近代5種の水泳と水球の予選が行われる。外から見ると、古ぼけた感じで、デザインも月並みなパッとしない感じの建物だが、中に入ると印象がガラリと変わる。

真新しいプールが2面。競泳用と飛び込み用のものが整備され、いずれも『最新鋭の器材(建設担当者)』が備わった会場だという。だが、五輪のメインスタジアム国家水泳センター(水立方)とはバスで一駅の目と鼻の先。投入された予算は水立方には及ばないだろうが、これだけのプールをこの小さな範囲内に置くというのは、贅沢でもあり、またこの後が心配となってくる。

大会2日目のカードは男子の2試合。2戦目のオーストラリア以外は、全て中国国内チーム。中国代表が出ているのは当然だが、広東省と上海市の代表チームが出ているのが面白い。男女各4チームを揃えないとならないという中、組織側の“苦心のあと”が伺える。残念ながら、ロス五輪とバルセロナ五輪で5位に入った実績もあるオーストラリアの力は圧倒的で、広東省との試合は高校生と大人…といった風情だった。また中国代表対上海市代表というのも、いわば1軍対3軍?以上の差があり、試合としての面白みは全くない。

だが、これを運行するスタッフの動きは真剣そのものであり、特に今大会のボランティアは非常にテキパキと仕事をしていた。メディア担当のボランティアの仕事ぶりも素晴らしかったし、非常に気持ちよく取材ができた。運営スタッフはボランティアを含めて、それぞれチーム単位で動いており、聞けば、この“チーム”にとって、今回は3度目のテスト大会だということ。すでにお馴染みのメンバーで、勝手知った間柄…というわけだろう。絶妙のチームワークもその辺りからきているようだ。

また内外のメディアの注目ぶりも、五輪出場がない日本メディアとは対照的で、非常に面白かった。メディア責任者によると、今大会の取材申し込みは内外からの記者700人。このうち500人が実際に取材証を受け取り、毎日200人あまりが会場に来ていると言う。特に水球が人気スポーツである欧米のメディアの注目度は高く、北京支局の駐在記者ではなく、本国から、わざわざ記者を派遣するメディアが多かったそうだ。そういえば、最近は現地で顔見知りの外国人記者も多くなってきたが、今大会に関しては、知らない顔の記者が非常に多かったような気がする。水球が決してメジャースポーツではない日本の反応とは一味違う諸外国の注目ぶり、というわけだ。

私自身は、日本のローカルテレビ局にいたころ、ある全国級の高校水球部にこだわって取材したことがあり、水球に対しては、ひとかどの思い入れがあるのだが、一般的に言えば、水球は日本において、決してメジャースポーツではない。欧米マスコミの熱心な報道ぶりに触発されたからなのか、日本がこの場にいないこと…それどころか世界の舞台にも出ていないことに何だか一抹の寂しさを感じた。

北京では22日、水球の組み合わせ抽選が行われる。これは北京五輪の種目では最初の抽選会となる。北京五輪には男子が中国、米国、クロアチア、ハンガリー、スペイン、スロベニア、オーストラリア、モンテネグロ、ドイツ、ギリシャ、イタリア、カナダ。そして女子が中国、米国、オランダ、オーストラリア、ロシア、ハンガリー、イタリア、ギリシャが出場する。

<注:この文章は筆者の承諾を得て個人ブログから転載したものです>

■筆者プロフィール:朝倉浩之

奈良県出身。同志社大学卒業後、民放テレビ局に入社。スポーツをメインにキャスター、ディレクターとしてスポーツ・ニュース・ドキュメンタリー等の制作・取材に関わる。現在は中国にわたり、中国スポーツの取材、執筆を行いつつ、北京の「今」をレポートする中国国際放送などの各種ラジオ番組などにも出演している。

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