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<コラム>北朝鮮が飛翔体発射、「狙い」は日米首脳会談だけではない

北岡 裕    2017年2月13日(月) 10時50分

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北朝鮮が2月12日、弾道ミサイルと思われる飛翔体を発射した。2月16日は金正日総書記の誕生日にあたる光明星節。今回の飛翔体発射に注目するのはもちろんだが、関連の祝賀行事にも注目する。写真は金正日花展示会での飛翔体展示。15年10月に平壌にて筆者撮影。

北朝鮮・朝鮮民主主義人民共和国が日本時間2月12日午前7時55分ごろ、弾道ミサイルと思われる飛翔体を発射した。飛翔体は約500キロ飛行し日本海に落下した。韓国軍合同参謀本部は車両搭載し移動発射が可能なムスダンの改良型と推定している模様だ。

2月16日は金正日総書記の誕生日にあたる光明星節。北朝鮮では大きな意味を持つ祝日。北朝鮮趣味者のカレンダーでも冬の一大注目日にあたる。今回の飛翔体発射のような動きに注目するのはもちろんだが、祝日前後に行われる祝賀行事や音楽公演にも注目する。それを目当てに一度2004年に観光で訪朝したが、現地の気温は日によって零下10度を下回ることもありすこぶる寒く、平壌市内を流れる大同江も凍る。訪朝するには少し厳しい。YouTubeに公演の動画がアップされるのを待った方がいいようだ。

さて、金正恩委員長は今年の新年の辞(いわゆる施政方針演説)で「大陸間弾道ロケット試験発射準備が最終段階に入った」ことに言及していた。さらに今年は金日成主席生誕105周年、金正日総書記生誕75周年、朝鮮人民軍創建85周年にあたる特別な1年。今回の飛翔体発射は日米首脳会談の時期を狙ったという視点だけではなく、北朝鮮にとって特別な1年であるという長期的な視点でその動きを見守る必要がある。同じく新年の辞で「朝鮮人民軍創建85周年に当たる今年、軍事力強化の熱風を巻き起こさなければならない」と金委員長が触れていることにも注目が必要だ。

その意味で、今回の発射は新年の辞に沿った動きと見ることも出来る。片やアメリカのトランプ大統領も批判が相次ぐ中、選挙中の主張に沿った動きを見せている。そのことから今後、米朝間の緊張のさらなる高まりも懸念される。1994年に米朝間の緊張が極限まで達した際は、カーター元米国大統領が訪朝し衝突は回避されたが、この先米朝トップ会談(あるいはそれに準じた会談)はあるのだろうか。

金日成主席の誕生日は4月15日。太陽節と呼ばれる。先にあげた通り生誕105年という節目の年ということから、大規模な祝賀行事も行われるようだ。この時期を前後しての北朝鮮はもちろん、各国の動きから目が離せない。

■筆者プロフィール:北岡裕

76年生まれ。東京在住。過去5回の訪朝経験を持つ。主な著作に「新聞・テレビが伝えなかった北朝鮮」。コラムを多数執筆しており、朝鮮総連の機関紙「朝鮮新報」では異例の日本人の連載で話題を呼ぶ。講演や大学での特別講師、トークライブの経験も。

■筆者プロフィール:北岡 裕

1976年生まれ、現在東京在住。韓国留学後、2004、10、13、15、16年と訪朝。一般財団法人霞山会HPと広報誌「Think Asia」、週刊誌週刊金曜日、SPA!などにコラムを多数執筆。朝鮮総連の機関紙「朝鮮新報」でコラム「Strangers in Pyongyang」を連載。異例の日本人の連載は在日朝鮮人社会でも笑いと話題を呼ぶ。一般社団法人「内外情勢調査会」での講演や大学での特別講師、トークライブの経験も。過去5回の訪朝経験と北朝鮮音楽への関心を軸に、現地の人との会話や笑えるエピソードを中心に今までとは違う北朝鮮像を伝えることに日々奮闘している。著書に「新聞・テレビが伝えなかった北朝鮮」(角川書店・共著)。

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