村上春樹がノーベル文学賞にこだわらない理由とは?―中国紙

人民網日本語版    2017年1月2日(月) 20時30分

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村上春樹の最新作で初の自伝となった「職業としての小説家」の中国語版がこのほど、中国の大手編集プロダクション・新経典文化から出版された。

村上春樹の最新作で初の自伝となった「職業としての小説家」の中国語版がこのほど、中国の大手編集プロダクション・新経典文化から出版された。村上春樹は同作で、「努力を続けて、ただの一般人だった自分が小説家になる夢を叶えることができた。本当にやりたいことをするなら、飛行機が離陸すように十分な滑走路が必要だ」とその胸に秘めた思いを語っている。揚子晩報が伝えた。

面白いのが、同書の中で村上春樹が特に一章を設けて文学賞に対する態度について語っていること。

■村上春樹「自分はただの一般人」

「僕は他の人と同じく、ただの一般人にすぎない。街中を歩いていても誰からも注目を浴びることはなく、レストランではひどい席に座らされることも多い。もし小説家ではなかったら、他の人から関心を集めることもないだろう」と語る村上春樹は、自分を「犬タイプ」か「猫タイプ」かで分類するとしたら、完全な猫タイプにあたるとしている。なぜなら、「右へ回れ」と指示されたときに、思わず左に回ってしまいそうになるからだという。

大半の人はふつう、大学を卒業してから結婚するが、村上春樹は結婚して生活のために仕事するようになってから大学を卒業している。村上春樹は結婚した後、当時ジャズにはまっていたという理由で小さなジャズ喫茶をオープンした。大学卒業前に結婚したので、資金もなく、村上と奥さんは資金繰りのために3年間ずっとアルバイトをいくつも掛け持ちしていたという。

そして村上春樹は30歳の時に第22回群像新人文学賞を受賞し、作家デビューを果たした。このとき村上春樹はすでにある程度人生経験を積んでいたという。村上春樹は自分の若い頃を振り返って、「20代のころは、ずっと辛い生活を送っていた」と語っている。

■執筆は孤独な作業

長年作品を発表し続け、大きな功績を挙げているものの、村上春樹は、「小説、特に長編小説を書くのは、実際とても孤独な作業だ。まるで自分一人で深い井戸の底にいるかのような寂しさをたまに感じることがある。執筆作業中、誰も助けに来たり、肩をたたいて呼びかけてくれたり、『今日の仕事は上出来だった』と褒めたりしてくれないからだ」と語っている。

執筆作業のために郊外に住むのを好み、毎日早寝早起きの健康的な生活を送っている。また、毎日ジョギングを続けており、自分でサラダを作るのも好きだという。これについて、村上春樹は、「おそらくこんな作家は誰もあこがれないだろう」と冗談交じりに語っている。

■村上春樹が文学賞にこだわらない理由とは?

村上春樹は毎年ノーベル文学賞の受賞候補として名前が挙がるものの、受賞には至っていない。このことがこの話題を非常に特別なものにしてしまっている。特に一章を設けて文学賞に対する態度について語っている。

毎回インタビューで文学賞について聞かれると、「一番大切なのはいい読者がいること。どんな文学賞や勲章、本に対する良い評価と比べても、自分のお金で私の本を買ってくれる読者ほど意義のある存在はない」といつも答えている。

このような返答は上品で礼儀正しい「形だけの発言」にも聞こえるが、村上春樹は、「何度聞かれようと、同じ答えを繰り返し言い続ける」としている。

先ごろ、村上春樹はある書店で「村上春樹はどうして芥川賞を獲れないのか」といった内容の本を見つけたという。これについては、「このような本を読んだことはなく、どんな内容なのか知らないが、自分で買うのは気がひける。もし私が芥川賞を獲っていれば、イラク戦争が起こらなかったということであれば、自責の念に駆られるようになるが、実際そんなことはありえない。後世に残るのは作品自体であって、賞などではない」と強調している。

作家になった後、村上春樹は、「何をどのように書いたとしても、最終的には人から何か文句を言われてしまう」という教訓を深く心にとどめているという。他人からの評価について、「25年前に執筆活動を始めてから、今日まで世間の人から、『村上春樹の作品は今の時代に追いついていない。彼はもう終わってる』と言われ続けている。これにいちいちかまっていたら、身が持たなくなる。そのため、自分は『他人には好きに言わせておこう。どのみち悪口を言われるのなら、思い切って自分が書きたいものを書きたいように書いてしまえばいい』と自然に考えるようになった」と語っている。(提供/人民網日本語版・編集/YK)

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