2016年、日本で降って湧いた“嫌韓騒動”は何をもたらしたのか

Record China    2016年12月30日(金) 21時20分

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10月、韓国人観光客に人気の大阪で起こった“わさびテロ”が日韓で大きな話題となった。これをきっかけに相次ぎ発覚した“嫌韓騒動”は、結局何をもたらしたのか。写真は訪日観光客。

2016年10月、韓国人観光客に人気の大阪で起こった“わさびテロ”が日韓で大きな話題となった。すし店を訪れる韓国人客に対し、わさびを大量に入れたすしが提供された“嫌韓”事件としてこの件が注目されると、他にも日本で差別行為の被害に遭ったとの告発が相次いだ。

韓国のインターネット掲示板などで「わさびテロに遭った」との書き込みが出たのは9月ごろ。日本では「大阪のすし店が日本語のできない外国人客に嫌がらせをしていた」などと報じられた。店の運営会社は騒ぎを受け10月2日に公式サイトで謝罪、外国人観光客からガリやわさびの増量を求められることが多く、1〜2年前から事前の確認なしに通常の2倍程度のわさびを入れて外国人客に出していたと説明した。

一方、10月初めにこれを報じた韓国メディアの多くは「韓国人観光客だけを狙ったわさびテロ」と見出しを打った。韓国のネット上には同店を「嫌韓食堂」とする書き込みが登場、メディアは「被害韓国人」へのインタビューや店への突撃取材を行うなどして事件を追った。

“わさびテロ”を呼び水とするように、10月5日には新たな韓国人差別騒動が持ち上がる。今年4月、日本を旅行した韓国人が「大阪のバス会社で差別的な対応をされた」と主張したのだ。この人物は、バスの乗車券売り場で日本人職員から名前を尋ねられ「キム」と答えたところ、チケットの氏名欄に韓国人をおとしめる表記をされたと主張、「キムチョン」と印字されたチケットの画像を公開した。

ここまでの被害の訴えはネット上の書き込みやメディアへの情報提供にとどまっていたが、10月12日、大阪を中心とした嫌韓騒動についに韓国政府が動いた。韓国外交部は5日に大阪を旅行中の韓国人一家が日本人男性から暴行を受けたとして駐大阪韓国総領事館に届け出た事件を受け、総領事館を通し日本側に再発防止のための徹底した対応を要請した。総領事館はこれに先立つ7日、公式ホームページに「道頓堀で韓国人が被害を受ける事例が受け付けられた」旨を掲載し、大阪を訪問する韓国国民に注意を呼び掛けていた。

そしてもう一つ、こちらは外国人差別か否かについて日本でも賛否分かれた騒動だが、外国人観光客が多く乗車した関西空港行きの列車で「外国人が多くご不便をお掛けします」との趣旨のアナウンスが流れていたことが発覚し、韓国メディアはそれまで物議を醸した嫌韓騒動と結び付けてこれを伝えた。

一連の問題から韓国メディアで「度重なる嫌韓事件の発生地」などと報じられた大阪だが、実は大阪は韓国人の間で抜群の人気を誇る旅先だ。韓国の旅行大手ハナツアーでの大阪ツアー旅行の予約客は騒動が相次いだ10月だけで昨年同月と比べ56%も増加、モドゥツアーでの個人旅行販売も同じく10月に40%、11月では63%増加した。

また大阪だけではなく、日本自体を訪れる韓国人観光客も増え続けている。訪日韓国人客は15年に400万人に達し、単純計算で韓国国民の8%を占めるまでになった。さらに今年は9月までの数字で前年同期比3割の伸びをみせ、年間で過去最高となることはほぼ確実だ。

10月に降って湧いたさまざまな嫌韓騒動を受け、韓国のネット上には問題となった店や企業の姿勢を批判するコメントはもちろん、「こんな日本に行くのはやめるべきだ」との主張が相次ぎ、それでも日本を旅行する同胞を非難する声も上がっていた。しかし少なくとも数字上では、騒動により訪日を思いとどまった韓国人は多くないとみえる。

実際に韓国のネット掲示板には「それでも僕が日本を訪れる理由」を告白する書き込みや、「日本でうれしいもてなしをしてもらえた」といったエピソード紹介がたびたび見られたし、韓国のテレビマンがわさび問題の店をアポなしで訪れ板前に頭を下げさせた際には「恥ずかしい」「売名だ」などと批判する論調が大勢を占めていた。もちろん相次ぐ嫌韓騒動を肯定的にみてはいないだろうが、あるネットユーザーの書き込みにあった通り「日本人みんなが嫌韓なわけじゃない」と騒動を冷静に受け止めた韓国人も少なくなかった。

10月、「日本のスターバックスコーヒーの店舗でカップにハングルのメッセージを書いてもらった」とインターネットで紹介した韓国人は、「わさび事件」について「この事件が、私たち自身が外国人観光客にどのように対応しているか見直すきっかけになればいい」と書いている。一方、2020年には訪日外国人4000万人を目標とし、ますます外国人観光客をもてなす機会が増えるはずの日本。私たち日本人は、この騒動を「彼らをどのようにもてなしているか、もてなすことができるか」について考える機会とできただろうか。(編集/吉金

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