日本僑報社 2016年11月19日(土) 7時10分
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天津工業大学の劉さんは、身内が日本企業で働くことになったことをきっかけに、日本企業の貢献について知るようになった。写真は中国で開かれた展示会での日立ブース。
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中国で日本企業と言えば過激な反日デモの標的になるというイメージが強いが、実際には中国の経済発展に大きな貢献をしてきたこともよく認識されている。天津工業大学の劉[女亭][女亭](リウ・ティンティン)さんは、身内が日本企業で働くことになったことをきっかけに、日本企業の貢献について知るようになったそうだ。
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「姉さん、いいことを教えてあげる。僕は仕事を見つけたんだ。もう心配しなくていい」と電話の向こうでいとこがを弾ませながら言っていた。「えっ?仕事見つけたって?どこでいつからなの?」。私は信じられなくてすかさず聞き返した。「来月から、合肥でだ。本当だ…」と彼はいかにもうれしそうな声で続けた。
このいとこは、小学生のころから勉強があまり好きではなかったし、遊ぶことにも興味を持たなかったらしい。多くの場合は、一人で静かに時計など小さな物を取り外しては組み立て直していた。中学校を卒業してから、彼は専門学校に入った。大学に入るのが家族から見て一番いい進路であるにもかかわらず。
「ところで、姉さんはこの会社をどう思うの?日本語を勉強しているから、知っているだろう?」と彼はまた言い足した。正直に言えば、日本語専攻の私は、それまでは日系企業のことに全然注意を払わないでいた。そのため、彼の質問には何も答えられなかった。恥ずかしい気持ちから、インターネットで彼が勤める日立について詳しく調べてみると、中国人社員が1000人以上いることや、中国の多くの都市に子会社を持つという結果に驚いた。
ついでに、インターネットで日系企業について調べてみると、電気製品をはじめ化粧品、自動車、食品・飲料、服装などの幅広い分野にわたって、日本企業の活躍があるということが分かった。そして、中国における日系企業数は現在2万社以上にも達し、日本企業の従業員数は1000万人近くにもなるという。「そうか。中国にはこんなにも多くの日系企業があるのか」と私は感嘆せずにはいられなかった。
そして、同時にいろいろ考えさせられた。改革開放からの30年間、どのくらいの日系企業が中国に進出しているかはっきり分からないが、日系企業の中国の経済社会への貢献は間違いなく実感している。これは少し周りを見回しても分かる。私のいとこのように日系企業で働いている中国人が数多くいる。これは人口大国の中国にとって、就業問題の解決に一役を買っているのは言うまでもない。
それから、今までは高嶺の花と憧れていた日本人によってデザインされた服装などは、国内生産のおかげで簡単に手に入るようになっているのも、中国人の衣生活の質的向上を促進したに違いない。もちろん、衣類だけでなく、日系企業によって生産された日用品なども中国人にはもう珍しいものではない。
また、日系企業が媒介となって中国の人に日本の文化を伝えること、中国と日本との文化交流を促進することも日系企業の社会貢献の一つだと思う。日系企業に入って仕事したいと思う人々は日本語と日本文化を熱心に勉強しておく。話によると、今中国における日本語学習者が42万人にも達するそうだ。そして、学習者当人を中心に日本文化に関心を持つ輪が広がるのだ。もちろん、日系企業の管理職にある日本人も、中国で生活しやすいように、中国人との意思疎通がしやすいように、中国語を勉強し、中国文化を積極的に取り入れようとしている人が多い。
今の中国は、世界への仲間入りをし、積極的に国際化を目指している。日系企業に関係がある人々から、隣国日本の文化を理解して受け入れることは、その不可欠な一歩だと思う。これも、日系企業がもたらしてくれた大切なものだ。日本語を専攻する私は、人一倍に日系企業の中国社会への貢献に感謝している。今の私は優れた通訳を目指して、前にも増して頑張っている。将来、中国と日系企業との間で、自分の取るに足りない力を尽くしたいというのが私の原動力になっている。(編集/北田)
※本文は、第五回中国人の日本語作文コンクール受賞作品集「中国への日本人の貢献」(段躍中編、日本僑報社、2009年)より、劉[女亭][女亭]さん(天津工業大学)の作品「私の目から見る日系企業」を編集したものです。文中の表現は基本的に原文のまま記載しています。なお、作文は日本僑報社の許可を得て掲載しています。
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