<点描・北京五輪>朝倉浩之の眼・特集版第2回「オリンピックの周辺」

Record China    2008年2月5日(火) 13時44分

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レコードチャイナが配信する「中国発のオリンピック・パラリンピック事情」。北京在住の朝倉浩之氏による個人ブログ記事「<点描・北京五輪>朝倉浩之の眼」。「特集版」の第2回は「オリンピックの周辺」。写真はウオーターキューブ。

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レコードチャイナでは、2008年2月以降、現地在住の専門家らが発信している中国発のオリンピック・パラリンピック事情を随時配信する。

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その第1弾として北京在住の日本人ラジオ局パーソナリティ朝倉浩之氏による個人ブログ記事を転載して「<点描・北京五輪>朝倉浩之の眼」としてお送りする。

同氏は、日本の民放テレビ局でスポーツをメインにキャスター、ディレクターとしてニュース・ドキュメンタリー等の制作・取材に携わった後中国に渡り、中国スポーツの取材、執筆を行いつつ、各種ラジオ番組などに出演。「一般中国人とともに暮らす生活者ならでは」という視点に立って、北京における「変化の空気」を織り込みながら、「街」そして「人々」にスポットを当てて情報発信したいと意欲的だ。

まずは、1月中に同ブログに掲載された記事を中心に競技・分野別にまとめた「特集版」のうち第2回「オリンピックの周辺」をお送りする。「特集版」5回分の終了後は同ブログをほぼリアルタイムで配信する予定。

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■プロフィール:朝倉浩之

奈良県出身。同志社大学卒業後、民放テレビ局に入社。スポーツをメインにキャスター、ディレクターとしてスポーツ・ニュース・ドキュメンタリー等の制作・取材に関わる。現在は中国にわたり、中国スポーツの取材、執筆を行いつつ、北京の「今」をレポートする中国国際放送などの各種ラジオ番組などにも出演している。

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■■■■■2008年01月01日 ■■■■■

新年のご挨拶…今年、皆さんに伝えたいこと

新年明けましておめでとうございます。

ここ北京は旧正月が本格的な正月ということで、元旦の今日は、特に正月気分もなく、淡々としたもの…。そんな中国の正月をすごすのは、4回目になるが、年を越して、身も心も改まる日本の正月が、やっぱり懐かしい。

さて、この本ブログ「スポーツCHINA」も間もなく1周年を迎える。自身の取材や資料収集の記録のために細々とブログを書いていたが、スポーツナビ様から声をかけていただき、ここ専門家ブログの一員に加わることができた。

現在は、数多くの日本のスポーツファンだけでなく、中国のスポーツファン、中国メディアの方にも読んでいただいているということで、ブログに記事を書き続ける励みになっている。

またこのブログを媒介として、多くの出会いがあった。また多くの方から、助言やご意見、激励の言葉も頂いた。ここで改めて、御礼を申し上げたい。

ありがとうございます。

中には、耳の痛い意見や、やや心無い書き込みなどもあったが、電子メールで頂いたものについては、出来る限り、真摯にお返事を書き、それが縁で、以後、情報交換を出来る間柄となった方もいる。

さて、今年2008年はいよいよオリンピックイヤーである。この中国でスポーツ取材をしようとやってきたときは、正直、オリンピックなどまだまだ、という気がしていたが、本当に時の経つのは速いもの。私自身にとっても勝負の年であり、気を引き締めていかねばと気持ちを新たにしている。

私は、今年いくつかの取材方針を持っている。

一つは、現在開催中のプレ五輪『グッドラック北京』の取材を続け、各競技場の設備面、運営面、そしてその問題点について、検証、レポートしたい。当初は、会場の日本人記者は「私一人」ということも多かったが、徐々に大会が注目を集めてきたのか、日本から派遣された多くの記者が会場にやってくるようになった。日本で一貫して取材を行ってきた彼らに、日本選手取材や結果記事で、敵うわけがない。

だが、この中国で、一般の団地の中で生活し、一般の中国人とともに仕事をしている『生活者』である私ならではの記事というものがあるはずだ。それを探求しながら、プレ五輪開催を通じての、北京の準備状況をお伝えしたい。

第二は、一見、スポーツとは無関係に見えるが、北京そのものの発展や変化がわかる様な記事を書いて、皆さんに提供していきたい。北京の町並みは、今年8月に向けて、ダイナミックに変化を続けている。その『変化の空気』を感じ、言葉にしていきたい。

スポーツナビのブログはスポーツ記事に限るというのは原則だが、北京五輪を控えた北京そのものの記事はことごとく“スポーツ記事"足りうると思う。その枠内で書ける北京情報をブログを通じてお送りしたい。また、今年、オリンピック期間中、もしくは開催前に、北京を訪れる方の一助となるような情報もお届けできればと思う。

第三は、オリンピック期間中の取材である。先ほども言ったように、日本から数多くやってくるスポーツ専門記者の方に対して、ここ中国で生活をしている私が、一般のスポーツ記事で勝てるわけがない。

だから、私は、大会そのものに限らず、その周囲にある『北京という街』、そして『北京の人々』にスポットを当てて、取材をしていきたい。

大会期間中は、世界中のアスリートたちが集い、ここで最高のパフォーマンスを見せてくれる。当然、試合そのものに全世界の目は集まる。だが、この大会が、私たちの隣国である中国の首都、北京で行われていることを忘れてはならない。様々な意味で、日本と複雑な関係を持ち続けている中国で、今、この大イベントが行われることの意味は何なのか…この『出来事』を一般の中国人はどう見ているのか…その素顔が見えてくるレポートが出来るようにしたい。

以上、3つの抱負が、打ち上げて終わる『ロケット花火』にならないよう頑張りたい。私はもともと、映像の世界で育ってきた人間だ。文章で伝えることの難しさは、今もずっと感じており、苦しみもがきながら、パソコンのキーを叩いている。ただ、ここから発信するニュースが、一般の日本メディアが発するものと一味違ったものとなり、皆さんの中国への理解の一助になれれば、こんな幸せなことはない。

2008年という年は、中国人にとって、間違いなく、永遠に忘れられない年となる。この数字は永遠に彼らの心に刻まれる。その一日、一日を、現地の生の空気を吸っている『伝え手』として、丁寧に、誠実に、伝えていきたい

■■■■■2008年01月14日 ■■■■■

北京五輪に向け、200キロの道路整備

北京五輪に向け、北京市は今年、あわせて200キロの道路を建設する。このほど開かれた『北京市交通会議』で出された方針を北京の夕刊紙「北京晩報」が伝えた。

それによると、今年、北京市では、オリンピックに備え、国道や各観光地につながる道路など200本を新たに建設。また郊外の道路整備などは400キロ分を予定している。

会議ではまた、今後の地下鉄工事についても、大方の方針が発表された。それによると、2008年は、地下鉄10号線とオリンピック支線、空港線の開通が予定されている。このうち、オリンピック支線は、各主要競技場が並ぶオリンピック村や選手村を結ぶ北京北郊外の地下鉄で、五輪開催中は、競技観戦に訪れる人たちにとって、頻繁に使う列車となる。会議では、これら3本の鉄道線を6月末までに完成させるとの方針が発表された。さらに、年内には、新たに地下鉄7号線、14号線の工事も始まることになっており、五輪を基点とする北京の交通ネットワーク整備は一段と加速する。

また、来月には、北京国際空港の第3ターミナルが運用開始となる。

■■■■■2008年01月18日 ■■■■■

北京から農村への旅…変化を続ける北京とのギャップ

ここ数日、所用で北京を離れた。

行き先は山東省の省都・済南市からバスで1時間半のところにある村で、典型的な「中国の農村」。まさに中国政府が掲げる「三農政策」の対象となる「鄙びた農村」だ。

この村には、実はこれまで2度訪れたことがある。3回目の来訪となった今回は、そこに3日間滞在した。

20平米ほどの庭を囲むように平屋が建つ北京の「四合院」に似た作り。さすがに電気は通っているが、下水道はなく、水は週に一度、土曜日に『解禁』される井戸水をくみ出して使う。当日は、家族そろって、井戸水をバケツに汲み、家に備え付けの大きなカメに移す。『飲み水』と『洗浄水』は分けられており、それぞれのカメを用途に応じて、使い分ける。もちろんガスも通っておらず、カマドに炭を焚いて、料理をする。日中も、炭は絶やさず、やかんの水を沸かし続け、沸いた湯は保温ポットに移して、炊事などに使う。もちろん、シャワーなどはないから、夜は、そのお湯を使って、体を拭いたり、顔を洗ったりするわけだ。ちなみに、トイレは庭の奥まったところに、コンクリートで溝のようなものが作ってあり、そこで済ます。毎日、糞尿がたまるのだが、それは家族の一人が水で洗い流すのだ。うまく出来たもので、壁を隔てたトイレの隣には豚を飼っており、それを送り込んで、彼らが『処理』する。

都会生活に慣れた私にとっては、“不便”なことだらけのこの村で、私は3日間を過ごし、北京―済南間を3時間半で結ぶ高速列車(新幹線と瓜二つの車体をしている)に揺られて、北京に帰る最中にこの文章を書いている。

一方で、その北京は、8月に開かれる北京五輪に向け、変化を続けている。超高層ビルが次々と建設され、地下鉄が開通して、交通ネットワークが出来上がっていく。バスの車体は新調され、英語が併記された真新しい看板が次々と取り付けられる。公共料金の価格や公共サービスの仕組みなども目まぐるしく変わる。街はどんどん便利に、合理的になっていく。8年前に初めて北京を訪れたときには、まだまだ『矛盾だらけ』だった北京が、あっという間に東京や大阪で暮らすのと変わらないくらいになりつつある。

一方で、先ほどの『張李村』は初めて訪れた5年前と、生活はほとんど変わっていない。便利にもなっていないが、不便にもなっていない。おそらく、電気が通ってテレビが見られるようになった以外は、何十年も変化がない村なのだろう。

私はここで、炭火で沸かしたお湯が、都会の温水器のそれと全く異なる温もりを持つことを知った。庭で飼っている鶏で作った『とり鍋』を頂き、本物の鶏の味を知った。近所の人たちが頻繁に訪れ、声を掛け合う近所づきあいの人情も体験した。美味しい野菜も豊富にあり、食生活の豊潤さは北京や日本とは雲泥の差だ。だから、この村の生活を“不幸”だとは決して思わない。むしろ、「本物」が味わえる贅沢な場所だと思う。

だが、それを認めた上で、やはり矛盾を感じる。下水道がなく、水道も満足に使えず、ガスも通らない地域が、この北京からわずか4,5時間のところにあるということに、今の中国の不思議さを感じるし、それがこの国の矛盾でもあるのだろう。

街づくりを徹底して行っている北京と異なり、この村に対して、政府は全く関心を寄せていないといっていい。道路を整備するのも村民が身銭を切らなければならないし、都会に送られる農産物は徹底的に安く叩かれる。多くの農家は、結局、作物では生活していけず、近くの工場などに働きに出る。そして、自分の土地には『杉』を植える。成木になった時点で木材として売り払うというわけだ。これなら、成長するまで放っておけばよい。おかげで、村の農地は、ひょろりとした杉の幼木が立ち並んでいる。ここが元の農地に戻ることは永遠にないだろう。もし全ての農村が、作物をあきらめ、木材業に走ったとしたら、この国の13億の人口をどう支えていくのだろうと心配になる。それでも村の人たちは、“次”に裕福になれるのは自分達だと信じて、北京と莫大なインフラ整備のために、税金を払い続け、わずかな農作物を安価に都会に送り続ける。

今年の北京五輪は非常に待ち遠しい。最新の装いに生まれ変わっていく北京の様子を眺めるのも楽しい。だが、その影で、完全に発展から乗り遅れた、そして、現代化の進んだ日本からはとても想像できないような社会インフラの中で生活している地域があることは事実だ。そして、むしろ北京のようなところが稀で、こんな「張李村」のようなところ、いやそれ以上に困難な地域がほとんど、というのが現実である。

北京五輪後、北京の整備につぎ込んでいた投資を今度は地方に回せるのか・・いや、果たして、五輪後に、それに回せる経済力が残っているのか…もし、そのツケをまた地方に押し付けるようなことになれば、それこそ、この国で何が起きるか分からない…。

まるでタイムマシンのように『現代』に向かって走り続ける高速列車の中で、私は、そんなことを考えた。

■■■■■2008年01月19日 ■■■■■

五輪に向け、”パンダの血”の採集始まる?

北京で「熊猫血(パンダの血)」の採集活動が始まった…。

といっても、要は献血。

希少な血液型であるRh−(マイナス)の血液は、中国では、貴重な動物のパンダに例えて、こう呼ばれているのだ。

19日午前、北京市内にある赤十字血液センターでは、呼びかけで集まったRh−の希少な血液を持つ人たち33人が献血を行った。

中国では全体のわずか0.4%前後と言われているRh−の血液保有者だが、西洋人では、その割合は15%に跳ね上がる。決して“希少”とはいえないわけだ。そして、今年の北京五輪では、数多くの諸外国の人たちが訪れる。そのとき、「万一の際」に備えて、Rh−の血液を備蓄しておこうというわけだ。

血液センターによると、最終的には800人分の血液を集めることにしており、今後も呼びかけを行っていく。

ただ、中国では献血がまだ一般的となっていないことや、血液の検査等をする人が少ないこともあり、自分の血液型を知らない人が多い。そのため、血液センターの責任者は、「ぜひ一度、病院に行って、血液型を確かめておいて欲しい」と語っている。

■■■■■2008年01月20日 ■■■■■

北京五輪の外国人ボランティア、面接が本格化

北京五輪では10万人以上のボランティアによって運営されることになっているが、その中には、中国在住の外国人も含まれている。

今週末、北京師範大学では、外国人を対象にしたボランティアの面接試験が行われ、事前に志望書を提出した外国人が一同に会した。

19日朝9時からは、最初の面接が行われ、外国人30人ほどが参加した。全体的には、西洋系が多く、日本人は3,4人。中国語のコミュニケーション能力があることが前提で、英語もしくはフランス語がある程度できることが条件となっていることから、こういった構成になったのだろう。

まず、参加者は配られた志望書に記入。中国滞在歴や語学力のレベルなどが問われた。志望書は全て漢字のため、欧米からの参加者のほとんどは意味を理解できず、係員が英語でそれぞれの内容を説明しながら、記入を進めるという形となった。試験会場は4箇所用意され、志望書が書きあがった人から順に、ドアの前に並び、面接の順序を待つという方式となった。

面接は、中国語力のチェックが主。そのほかに、これまでのボランティア経験やオリンピックに関する知識などが問われたという。「国家体育場の位置は?」とか「北京五輪の三大理念は?」などといった質問が中国語で行われ、とまどう参加者もいた。

今後、選考を経て、3月末までに外国人ボランティアを確定。研修等に入る。組織委員会では、引き続き、応募の受付を行っており、ホームページから登録できる。ただ、一定の中国語力と何らかの専門性、さらに英語、もしくはフランス語力が求められるため、ハードルは決して低くない。

『我こそは』と思う方は挑戦してみてはどうだろうか。

■■■■■2008年01月21日 ■■■■■

北京五輪、開閉幕式で地下鉄24時間運行へ

北京五輪の開幕式当日は、地下鉄が24時間運行…

20日、北京地下鉄の運営会社の責任者が明らかにしたところによると、オリンピック期間中、北京の地下鉄は特別ダイヤを組むことにしており、中でも開閉幕式当日は、24時間運行を行う予定であると述べた。

また、去年10月から、地下鉄運賃が一斉に1元値下げされたことで、多くの市民が地下鉄利用に切り替え、特に朝晩のラッシュ時の込み具合がひどくなっている。これについて、7月までに54両の新車両を順次導入することや、運行間隔を30秒から1分、短縮することによって対応するとした。

さらに、現在は紙キップが併用されているが、6月以降、これを全て廃止し、自動券売機を導入することも明らかにした。

■■■■■2008年01月25日 ■■■■■

北京五輪の聖火、点火式の日程決まる

北京五輪の聖火の点火式は3月24日…

25日朝、ギリシャ五輪組織委員会から、五輪聖火の点火の日程と、ギリシャ国内でのリレー経路が伝えられた。中国メディア各社が伝えた。

それによると、北京五輪の聖火は3月24日正午、オリンピック発祥の地、オリンピア遺跡で点火され、その後、7日間に渡って、ギリシャ国内1528キロをリレーされる。ギリシャ国内では、605人がリレーを行うという。

そして、3月30日15:00(日本時間19時)にアテネのスタジアムで、北京五輪組織委員会に手渡される。その後、31日には北京に到着し、8月8日の開幕式まで、全世界と中国国内各地を回ることになる。

■■■■■2008年01月26日 ■■■■■

3日遅れの…御礼!1周年!!

ブログ開設1周年!!

2007年1月23日より、このスポーツナビのセレクトブログにて、記事を発信しはじめてから1周年を迎えました。

これもひとえに、メール等を通じて、励ましの、そして時には手厳しい“声援”を送ってくださった皆様のおかげです。また日中双方の各メディアの皆さんからも、多くの支援をいただき、これも大きな励みとなっております。改めて、愛読していただいている皆様にお礼申し上げます。

中国のスポーツ事情という、決してメジャーではない分野を扱ってきましたが、オリンピックイヤーを迎え、にわかに、これがホットな話題となりつつあります。

筆者は中国メディアに席を置いていますが、決して、記事の執筆を専門としている記者ではありません。このブログは、あくまで個人の立場で、しかし記事には責任をもちながら、中国スポーツに興味をもってらっしゃる方に少しでも詳しい現地情報をお送りしたいという思いの中で、運営しているものです。

今後は、北京五輪に焦点を据え、日本のメディアでは伝えない視点から、中国スポーツの面白さをより熱くご紹介できるよう、頑張ってまいります。

引き続き、「スポーツCHINA」をよろしくお願いいたします!

なお、筆者はスポーツナビ本体にて、北京五輪に関するコラムを月に1度執筆しております。また中国情報の大手「中国情報局」では、中国アスリートの素顔を紹介する「中国スポーツ偉い人列伝」を連載しております。そちらもあわせて、ごらん頂ければうれしいです。

■■■■■2008年01月29日 ■■■■■

北京五輪の水泳会場「水立方」が公開〜水の膜の正体は?

北京五輪の水泳会場「国家水泳センター(愛称:水立方)」が28日、竣工。同日、記者団に施設内部が初公開されたのに続き、こけら落としとなる『競泳』の五輪テスト大会(31日〜2月5日)に向けた記者会見が29日、行われた。

大会には36の地域から234選手が出場。新築のプールで、夏の本大会に向けた「泳ぎ初め」をする。各国選手団にとっては、プールの水質や水温、場内の環境などを体験する大切な機会となる。

今回の会場となる『国家水泳センター』は、北京市北部の『オリンピック公園』に設置された五輪メイン会場の一つ。1万7000人収容で、競泳、飛び込み、シンクロナイズド・スイミングが行われる。

外観は大小3000個の透明な膜に覆われた独特な作り。太陽光が内部まで届くため、昼間ならば、照明を使わなくても明るい「省エネ設計」となっている。競泳の決勝は全て日中に行われるため、自然光に照らされたプールで、観戦を楽しむことができるというわけだ。

内部から見上げても、『水の膜』が細胞のように広がっていて、面白い構造だ。『水の膜』の内側はぶあついビニールシート状のものが二重に張り巡らされている。

この建物に使われているのは、日本の旭硝子が開発した「ETFE(熱可塑性フッ素樹脂)」という素材。同社ホームページによると、耐熱性、加工の容易性を兼ね備えたフィルムで、園芸施設のシートや壁紙から、航空宇宙、エレクトロニクスまで幅広く使われているという。

この『水立方』には約10万平米のETFE膜が使用されているということで、その規模は、中国国内では初。世界でも最大級のものだということだ。

スタジアムに入って感じたのは、何といっても『明るさ』だ。特に今日は、青空が広がっていることもあり、燦燦と降り注ぐ太陽光を場内にいながら感じることができる。観客席が少し暑いような気がしたが、建築責任者の話によると、プールサイドとは別に、観客席だけを対象に気温調節ができるよう設計されているそうだ。

31日から、いよいよ真新しいプールで五輪テスト大会が始まる。他の大会と同じく、大会の模様をさまざまな角度からお伝えしていきたい。

<注:この文章は筆者の承諾を得て個人ブログから転載したものです>(了)

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