大串 富史 2016年8月30日(火) 20時10分
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中華スマホの雄である小米(シャオミ)を明らかに意識した恵米の山寨手機(いわゆるニセモノスマホ)こそ、中国本家本元の激安SIMフリー中華スマホなのだ。写真は筆者撮影。
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「で、そのスマホのメーカーの名前はなんて言うんですか?」恵米(中国語でホイミ)だと答えると、まだ20代の中国人女性の友人は軽く笑って、それ以上何も言わなかった。
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そう、中華スマホの雄である小米(シャオミ)を明らかに意識したこの「山寨手機(いわゆるニセモノスマホ)」こそ、中国本家本元の激安SIMフリー中華スマホなのだ。
まあ僕にとっては、使えればそれでいいわけで、「山寨」云々も特段気にしてもいなかった。
いや、実のところ気にし過ぎないようにしてきた。というのも気にし過ぎると、正直きりがないからだ。
事の発端は使っていたレノボ製の中華スマホのバッテリーの寿命が近くなって、パンパンに膨れ上がってきたことから始まる。筐体(きょうたい)の後部カバーを閉めるとバッテリーがずれて、自動的に電源オフになってしまうようになった。仕方なしにカバーを半開きにしてポケットに入れるのだが、ポケットの中でいつの間にかカバーが勝手に閉まって電源オフになってしまうから誰の電話も受けられない。
まあ、買い替え時なんだろう。もう2年以上使ったし、何度も落とした末にディスプレイ部にもヒビが入っているし。壊れて動かなくなるまで使うのが僕の流儀なんだけど、仕方なしにスマホを物色し始める。
最初に見つけたのは前のコラムでもご紹介した、500人民元(約7500円)のタブレット仕様なAndroidスマホ。気に入ってしまい買う寸前までいったものの、中国人の友人に安物買いをしないよう諭されてこれは却下。であれば500人民元以下でしょうということで探すと、大部分が300人民元(約4500円)と知り、軽い失望を覚える。別になんでもいいから、もっと安い中華スマホはないものなのか。少し意地になってタオバオ(オンラインショッピングサイト)を探しまくってみる。
そうしたら、158元(約2400円)の中華スマホを発見してしまった。「山寨手機」であるという以外は別に問題ないように見えたので、買ってしまう。届いてから電源を入れてみると、きちんと動くではないか。しかもバッテリーが1つおまけなので、寿命が来てパンパンに膨れ上がったら取り換えてくださいという親切ぶりだ。
なにより、外観にもアイコンにも妙に既視感がある。思わず笑ってしまうほど、iPhoneにそっくりなのだ。
ところが充電器がすぐに使えなくなった。販売店に連絡するとすぐ送ると言うが、またダメだったら嫌だし数カ月でダメになる可能性も捨てきれない。手元に別のスマホの充電器もあることだし、ここはひとつ安くしてくれません?ということで5元(約75円)値切ってもらう。まあこんなことで驚いてはいけない。「山寨手機」なんだから。
だけどいじっているうちに、何度もフリーズしてしまうようになる。どうやら前に誰かが買って、気に入らなくて返品し、リペアしてこちらに送る前に工場出荷状態にきちんと戻っていないらしいということに気が付く。で、自分で工場出荷状態に戻したらなんともなくなった。まあ「山寨手機」だから、こういうこともあるのだろう。
もっとも、日本の一部のスマートフォンがそうであるように融通性や拡張性はあまりない。入れたいアプリが入らなかったり、消したいアプリが消せなかったりする。幸い、いつも使っている事典アプリ等はきちんと入って動くのでひと安心する。「山寨手機」にしては、まあ上出来だ。
これは買いだった―そう思って約3カ月が過ぎてから、本格的な異変が生じ始めた。
広告が時折スマホの画面いっぱいに表示されるようになった。最初はアプリの広告かなんかだろうと思っていたら、よくよく見ればYunOSつまりシステムが広告を表示しているではないか。パソコン関連の仕事をしている別の中国人の友人曰く「消せないでしょうねこれは。もし消せたら彼ら的にはこのスマホの存在価値がないから」。
僕的にはそれでも―たとえ中国人の若い子に笑われても、まあそれなり満足して使っている。
ただ、いまだにSIMカードの中に記録しているはずの住所録のデータが勝手にスマホ本体に転写されてしまうのだけは正直勘弁してほしい。MTKloggerというキーロガーらしきアプリも、消せないまでも止められるようにしてほしい。
そしてさすがの僕も、このスマホを使って友人と(政治宗教思想等)敏感なショートメールを送り合ったり、支付宝(アリペイ)の支払等を済ませるだけの勇気はまだない。
■筆者プロフィール:大串富史
本業はITなんでも屋なフリーライター。各種メディアでゴーストライターをするかたわら、中国・北京に8年間滞在。中国人の妻の助けと支えのもと新HSK6級を取得後は、共にネット留学を旨とする「長城中国語」にて中国語また日本語を教えつつ日中中日翻訳にもたずさわる。中国・中国人・中国語学習・中国ビジネスの真相を日本に紹介するコラムを執筆中。
■筆者プロフィール:大串 富史
本業はITなんでも屋なフリーライター。各種メディアでゴーストライターをするかたわら、中国・北京に8年間、中国・青島に3年間滞在。中国人の妻の助けと支えのもと新HSK6級を取得後は、共にネット留学を旨とする「長城中国語」にて中国語また日本語を教えつつ日中中日翻訳にもたずさわる。中国・中国人・中国語学習・中国ビジネスの真相を日本に紹介するコラムを執筆中。関連サイト「長城中国語」はこちら
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