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<写真特集>孤独―死せる過去の記録

鄭軼    2016年8月1日(月) 14時0分

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駆け出しのフォトグラファー・鄭軼が日々の心象風景を収めた写真群は、若々しい清潔さと冬の寒風のような乾いた空気感が漂い、中国のアート界に芽吹く新しい息吹を感じさせる。孤独な人生の道筋を、一歩一歩確かめながら克服していく若き芸術家の足跡がここにある。

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今、スタートラインに立ったばかり、あるいはこれからスタートラインに立とうとしている若いフォトグラファー・鄭軼(ジョン・イー)。イタリアに学びながら、日々、自身の心象風景―とくに孤独感―をファインダーに収めたその写真は、若々しい清潔さと冬の寒風のような欧州の乾いた空気感が漂い、中国のアート界に新しい息吹を吹き込みそうな予感を感じさせる。

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鄭は撮影活動を「一種、死を語らうことに似ている」と形容する。シャッターを押した瞬間、確かにその瞬間は「過去」となり、それは死を追憶へと押しやる作業と位置づけているわけだ。

真夜中のコンビニ、闇夜の街頭が照らし出す並木、長くのびる影法師、所在なさげな物陰、自分の中を吹きぬける黒い風。被写体が変わっても、手法が変わっても、鄭の抱く「孤独」だけは、変わらずそこに存在している。眼前に茫漠と広がる世界に不安を感じながら、自身の足元を確かめ、ひとつひとつ過去のものとして克服していく、若き芸術家の足跡がここにある。(文/山上仁奈)

●鄭軼(ジョン・イー)

中国の若手女性フォトグラファー、デザイナー。1983年生まれ、浙江省杭州市出身。杭州電子科技大学・計算機科学技術学部卒業。現在、イタリアのボローニャ大学で映画制作を学んでいる。作品は主に自身のホームページ上で発表され、杭州などで個展も開いている。「近似於透明的深藍(透明に近い深いブルー)」の名でも活動している。

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