世界記憶遺産登録申請、「慰安婦」の声を忘れてはならない―中国首席専門家

人民網日本語版    2016年6月9日(木) 22時20分

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1年余りの努力を経て、中国は韓国など11カ国・地域の民間団体や機関と共に「日本軍『慰安婦』の声」の世界記憶遺産への登録を国連教育科学文化機関に申請した。写真は中国・南京利済巷慰安所旧跡陳列所。

1年余りの努力を経て、中国は韓国など11カ国・地域の民間団体や機関と共に「日本軍『慰安婦』の声」の世界記憶遺産への登録を国連教育科学文化機関(ユネスコ)に申請した。(文:蘇智良・上海師範大学教授、世界「慰安婦」資料世界記憶遺産登録申請中国首席専門家)

今回申請した資料は非常に豊富で、主に「『慰安婦』の歴史資料」と「『慰安婦』の調査および抗争活動」の2部、計2744件からなる。中国、韓国、フィリピン、東ティモールは、第2次大戦時に日本が性奴隷制度「慰安婦」を推し進めた深刻な被害地だ。オランダ植民地のオランダ人女性数百人も慰安所に連れて行かれた。英米なども中国人「慰安婦」被害者の資料を含む「慰安婦」関連文献を多数保存している。慰安婦は戦争の残した世界的問題であり、世界各地の資料と研究成果をまとめることは、全世界が戦争について再考し、女性への侵害を防止するうえで重大な意義を持つといえる。

資料は生きた歴史だ。今回国連に登録申請した最初の資料は「慰安婦」の歴史に関する資料であり、戦争中および戦後の戦犯裁判における公の文書、または私的文書だ。1938年の日本軍華中派遣憲兵隊の調査報告によると、同年2月上旬に鎮江で慰安所を訪れた日本兵は延べ5734人、同月中旬までに延べ8929人になり、前旬より延べ3195人も増えた。歩兵第67連隊の鈴木啓久連隊長は巣県到着後、副連隊長の堀尾少佐に巣県中心地での慰安所設置を命じ、中国および朝鮮の女性20人を「慰安婦」として連れてきたことを自供し、認めている。数多くの歴史の詳細は、犯罪行為の真相を一層暴く助けになる。

闘争は進歩の基礎だ。その他にも中国の万愛花、李秀梅、韓国の金学順、宋神道、そしてオランダのジャン・ラフ・オハーンを含む各地の日本軍「慰安婦」被害者関連の調査資料、写真、図画、作品、受診記録などの文献記録、被害者支援および人権回復運動への各国民の参加に関する資料は、生きた歴史だ。1992年から24年間途絶えることなく、韓国の「慰安婦」被害者とその支持者は毎週水曜日午前に韓国の日本大使館前で抗議集会を開いてきた。このような抗争は世界の歴史においてめったにない事であり、人類にとって永遠に銘記するに値する。

長年の間、日本社会は「慰安婦」問題を避け続けてきた。日本政府は責任を認める「河野談話」を発表したが、「慰安婦強制連行の証拠はない」との否定の声の方が大きい。11カ国・地域のこうした資料は、日本政府と日本軍が女性を強制連行し、「慰安婦」制度を推し進めた事実を側面から裏付けており、揺るぎない確かな証拠と根拠だ。日本軍「慰安婦」関連文献の世界記憶遺産登録申請は、忘却を拒絶するためだ。「慰安婦」の歴史文献を永久に保存することは、人類の「慰安婦」制度への反省、思考と批判の推進の助けとなる。日本軍「慰安婦」被害者の名誉と尊厳を守り、こうした貴重な資料を完全に保存し、人類の歴史の重要な文献とする助けとなる。歴史の歪曲を防ぎ、日本による侵略の歴史を公正に記録し、評価することは悲劇の再演を防ぐ助けとなる。

歴史の問題を解決するには、歴史に立ち戻らなければならない。昨年、日本政府と韓国は「慰安婦」問題の「不可逆的」解決で合意した。この合意には少なからず問題があるが、「日本政府は責任を痛感し」との表現、安倍晋三首相が朴槿恵大統領との電話で述べた「心からのおわび」と「深い反省」、そして日本政府が「予算」の形で10億円を拠出することは、「慰安婦」問題への日本政府の一定の認識を示している。

まさにこれゆえに、「慰安婦」資料の世界記憶遺産登録申請事業は、日本政府の態度の試金石となる。もし日本政府がこの問題の「不可逆的」解決を真に望んでいるのなら、前回のようにあからさまに反対し、自らのイメージを損なうのではなく、その成功を望み、日本としてあるべき懺悔を世界の人々に表明するべきだ。(提供/人民網日本語版・編集NA)

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