八牧浩行 2016年6月5日(日) 8時40分
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国連大学の武内和彦上級副学長が会見し、「国連大学は人類の生存、開発、福祉など緊急性の高い地球規模課題の解決に取り組んでいる」と指摘。今後、日本を含む世界のトップクラスの大学との連携を通じて、グローバル人材の育成にも取り組む方針を明らかにした。
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2016年6月2日、国連大学の武内和彦上級副学長(元東京大教授)が日本記者クラブで会見し、「国連大学は人類の生存、開発、福祉など緊急性の高い地球規模課題の解決に取り組んでいる」と指摘。国際的な学術機関や国連組織との架け橋の役割を担っているとし、今後、日本を含む世界のトップクラスの大学との連携を通じて、グローバル人材の育成にも取り組む方針を明らかにした。
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国連大学は日本に本部を置く唯一の国連機関。1969年、当時のウ・タント国連事務総長が年次総会で、「真に国際的な性格を有し、国連憲章が定める平和と進歩のための諸目的に合致した国際連合大学の設立」を提案、73年に国連総会で設立が採択された。国連大学が追求している研究テーマは、(1)平和、安全保障、人権、(2)人間と社会・経済の開発と正しい統治、(3)グローバルヘルス、人口、持続可能な生活、(4)地球変動と持続可能な開発、(5)科学、技術、イノベーション、社会―の5つ。
さらに今年1月にスタートした国連「持続可能な開発のための2030アジェンダ」(SDGs)の実現へ、国連大学としても総力を挙げる方針。SDGsは今後15年間に達成すべき目標を定めたもので、昨年9月に150カ国以上の首脳が出席して、ニューヨークで開かれた「開発サミット」で採択された。(1)あらゆる形態の貧困に終止符を打つこと、(2)ジェンダー(男女)の平等を達成し、すべての女性と女児への自立促進支援、(3)気候変動とその影響に立ち向かうための緊急対策、(4)格差の是正(5)質の高い教育、(6)経済成長、(7)技術革新―など17項目の持続可能な開発目標(SDGs)と169項目ターゲットなどで構成されている。
武内副学長は「アフリカ諸国から日本への留学生は多いが、日本人のアフリカ派遣留学生は極めて少数にとどまっている」と述べ、日本の若者がアフリカにもっと興味を持ち留学するよう訴えた。「発展途上のアフリカ諸国では中国のプレゼンスが高く、ザンビアはじめ多くの国で孔子学院があり、中国文化教育の拠点となっている」と言明。その上で、日本の対外援助について、「総額は少ないが、量より質が重要であり、今後人を育てていくことが重要だ」と強調した。
また低開発国向けグローバル人材を育成することが国連大学の最大の使命であると説明。「グローバル人材教育というと英語に堪能な人を育成するというイメージがあるが、日本人は日本語で、中国人は中国語できちんと国際問題に対応できるようになることが重要だ」と問題提起した。さらに「当事国の言葉を駆使して、底辺で生活している人たちを支援できるような多面的な人材育成が重要だ」と語った。(八牧浩行)
■筆者プロフィール:八牧浩行
1971年時事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長、常務取締役編集局長等を歴任。この間、財界、大蔵省、日銀キャップを務めたほか、欧州、米国、アフリカ、中東、アジア諸国を取材。英国・サッチャー首相、中国・李鵬首相をはじめ多くの首脳と会見。東京都日中友好協会特任顧問。時事総合研究所客員研究員。著・共著に「中国危機ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外国為替ハンドブック」など。趣味はマラソン(フルマラソン12回完走=東京マラソン4回)、ヴァイオリン演奏。
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