昔懐かしい「紙芝居」が復活、中国・成都やパリでも公演=2020東京五輪に向け活躍の舞台広がる―東京

八牧浩行    2015年11月21日(土) 15時10分

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昭和20〜30年代、路地裏や公園で、子どもたちは「黄金バット」など街頭紙芝居に夢中になった。テレビやゲームに押され、すたれたが、2020年の東京五輪に向け、広く中国・成都やパリなどで、日本独自の紙芝居が復活する動きも出ている。写真は成都市。

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昭和20〜30年代、路地裏や公園で、子どもたちは「黄金バット」など街頭紙芝居に夢中になった。最盛期には都内だけで数千人の紙芝居屋がいたというが、テレビの出現や児童の遊びや学習の多様化により、いまではほとんど皆無に近い状況である。こんな中、紙芝居の活用を目指し、制作から全国の商業施設や教育機関などへの紙芝居師派遣まで手掛けているのが「漫画家学会」だ。「渋谷画劇団」という紙芝居師集団を立ち上げ、「環境問題やマナーなどの啓発活動」「新商品PR」「結婚式や誕生日などの記念日の贈り物」など、さまざまな企業・団体からの、幅広い要望に応えている。

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漫画家学会は「年配の方には懐かしく、テレビ・パソコン世代にはレトロ感が新鮮な紙芝居という媒体を通じて、臨場感あふれる双方向の人間的な触れ合いができると好評です」と語る。童話教育系から娯楽バラエティ系までプロとして活躍している漫画家・紙芝居師約50人が所属。オリジナル紙芝居ストーリーを企画して絵を描き、ショッピングセンターの広場や各種自治体などユーザーからの要望に応じている。

 

オリジナル作品や昔話、童話、懐かしい紙芝居劇まで幅広い作品をプロの紙芝居師たちが臨場感たっぷりに演じている。最近では結婚披露宴などで新郎新婦のなれ初めなどを紹介する紙芝居も人気とか。

これまでに制作上演した紙芝居は、GIANTS読売巨人軍「GOGOジャビット!ミスタージャビット誕生の巻」、手塚プロダクション「鉄腕アトム」「ふしぎなメルモ」「ジャングル大帝」、新宿高島屋タカシマヤの福袋「君が主役のオリジナル3D紙芝居を作ろう!」、日本民営鉄道協会「東北ものがたり」「みらい号の時空旅行」など数多い。

日本だけではなく、中国・成都「イトーヨーカドー」、仏パリ「ジャパンエキスポ」、伊フィレンツェ「ニミフェスティバル」など世界各地で紙芝居公演を展開、好評を博している。専門家は「日本の紙芝居は“ふすま”に由来する、横に絵をずらす日本独自の文化遺産。ヨーロッパの人形劇や中国の娯楽絵とも違う」と解説する。

これまで最大のヒット作は、東京オリンピック・パラリンピック招致委員会から依頼された「五輪招致のための紙芝居」。各国IOC委員の前で東京の素晴らしさをアピールし、招致に大きく寄与した。2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けさらに紙芝居の世界が広がりそうだ。

現在漫画家学会では紙芝居塾を定期的に開講。アナウンス学校など表現の基礎を学んできた生徒が対象で、まじめに頑張っている若者にチャンスを与えるのが目的だ。「日本では3万人のプロの漫画家がおり、声優も多いですが、第一線で活躍している漫画家や声優はそのうちごくわずか。漫画家学会は「埋もれている才能を発掘、紙芝居だけでなく新たな活躍の場を世界中で開拓し、提供していきたい」と語っている。(八牧浩行

■筆者プロフィール:八牧浩行

1971年時事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長、常務取締役編集局長等を歴任。この間、財界、大蔵省、日銀キャップを務めたほか、欧州、米国、アフリカ、中東、アジア諸国を取材。英国・サッチャー首相、中国・李鵬首相をはじめ多くの首脳と会見。東京都日中友好協会特任顧問。時事総合研究所客員研究員。著・共著に「中国危機ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外国為替ハンドブック」など。趣味はマラソン(フルマラソン12回完走=東京マラソン4回)、ヴァイオリン演奏。

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