米議会でのTPP採択、17年春以降にずれ込む=慎重論根強く、大統領・議会選挙絡む、中韓加盟へ時間的余裕―米関係筋

八牧浩行    2015年10月30日(金) 7時41分

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環太平洋連携協定(TPP)が大筋合意に達したが、米国議会での採択はオバマ大統領の任期中には困難で、2017年春以降になる見通しだ。日程上の制約に加え、大統領選挙の年に絡む政治的な要因も大きいためだ。写真は米国会議事堂。

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米関係筋によると、環太平洋連携協定(TPP)の大筋合意にもかかわらず、米国議会での採択はオバマ大統領の任期中には困難で、2017年春以降になる見通しだ。日程上の制約に加え、大統領選挙の年に絡む政治的な要因も大きいためだ。

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米議会は、TPP協定について正式の報告を行政府から受けなければならないが、正確な品目や具体的な関税率など多岐にわたる。さらに、貿易委員会からTPPによる損得勘定についての分析結果を聴取しなければならない。

米議会選挙後の日程を消化するにすぎないレームダックセッションに採択が行われることはほとんどないのが実情。米国では上院(議席の3分の1対象)、下院(全議席対象)とも、選挙は偶数年の11月に行われ、次期選挙は16年11月となるが、当選した議員が登院して新議会が開かれるのは翌年の1月。それまでの期間、落選した議員を含む議会メンバーが、新たな法案・決議案などを審議することは回避される。

これに16年は4年に一度の大統領選挙が絡んでおり、選挙キャンペーン中は、自由貿易を促進する政策より、保護主義的な大衆迎合政策が勢いを増す傾向にある。ヒラリー・クリントン氏をはじめ有力大統領候補の大半がTPP に反対か消極的論を展開しているのも、その表れ。民主党、共和党のいずれかが大統領になるにせよTPP承認のハードルは高い。

TPPにはアジア太平洋地域の有力国である中国、韓国、インドネシアなどが関心を寄せている。TPPメンバー国のオーストラリア、ニュージーランド、カナダなども国内に反対論がくすぶっている。スタート時期が大幅に遅れることにより中韓などの加盟へ、時間的な余裕が生まれるとの見方も出ている。(八牧浩行

■筆者プロフィール:八牧浩行

1971年時事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長、常務取締役編集局長等を歴任。この間、財界、大蔵省、日銀キャップを務めたほか、欧州、米国、アフリカ、中東、アジア諸国を取材。英国・サッチャー首相、中国・李鵬首相をはじめ多くの首脳と会見。東京都日中友好協会特任顧問。時事総合研究所客員研究員。著・共著に「中国危機ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外国為替ハンドブック」など。趣味はマラソン(フルマラソン12回完走=東京マラソン4回)、ヴァイオリン演奏。

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