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<日本人の中国観光は復活するか(下)>明・清時代の街並みを再現したテーマパーク、「万里の長城」近くにオープン―日本人好みの街づくり!?

八牧浩行    2015年6月28日(日) 15時5分

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北京の北東約100kmに位置する「水郷と長城が同居する村」古北水鎮。高速道路で1時間ほどの距離で、万里の長城のひとつ“司馬台長城”の麓に昨年オープンした。明・清・中華民国時代にタイムスリップしたような街並みが広がっている。写真は古北水鎮。

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北京の北東約100kmに位置する「水郷と長城が同居する村」古北水鎮。高速道路で1時間ほどの距離で、万里の長城のひとつ“司馬台長城”の麓に昨年オープンした。一歩足を踏み入れると、明・清・中華民国時代にタイムスリップしたような伝統的建築物、遊覧船が行き交う水のある風景が独特の景観を作り出している。中国各地の伝統的な町並みや景観が広大なスペースに再現されたテーマパークで、浙江省の烏鎮や蘇州の雰囲気を手軽に味わえる。レストラン、ホテルや商店、劇場などが随所に設置され、内外の観光客を集めている。2カ所ある劇場では、中国伝統の京劇や民族舞踊も鑑賞できる。温泉浴場もあり、のんびり1日過ごすことが可能だ。遠足や修学旅行生徒も多く来ていた。

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日系旅行代理店の北京事務所の担当者は「街が何よりも清潔なのがいい。そぞろ歩きすれば、中国国内の歴史や風景を味わうことができる。日本人観光客には人気の新名所になりそう」と語っていた。

古北水鎮の最奥部からゴンドラで上ることができる司馬台長城は、明代からそのままの険しい姿と雄大さを残す長城。勾配が急なため、天梯(天へのぼるハシゴ)と呼ばれている。全長19キロで、絶壁を延々と曲がりくねり東西に広がっている。万里の長城観光の中心である八達嶺に比べ観光客は少なく静かに見学できる。長城の原形がそのまま残っており、城壁両側の上部の壁には防衛用の投石や射撃に使う窓が配され戦乱の歴史が甦る。東側には城楼が16カ所あり、さまざまな形をしている。

◆国民同士の相互交流は関係強化につながる

北京市旅遊発展委員会の任江浩処長は「文化と歴史を融合させ観光の目玉にしたい。北京では春は花見、夏は郊外での避地、秋は収穫と体力増進、冬は春節祭りなど四季折々に楽しめる。日中の観光客が相互にもっと行き来するようになれば、日中はさらにウインウインの関係を築くことができる」と語った。

 

12年秋の「尖閣国有化」「反日暴動」以来、両国世論の相手国への「マイナスの印象」は最悪に陥り、日中関係は緊迫化したが、習近平国家主席が「近隣諸国との融和を目指す」との演説を行い、2回にわたって日中首脳会談が開催された。日中関係はようやく雪融けムードが出てきた。この2年半、日中双方の経済的ダメージは甚大で、産業界・観光業者らが改善を強く要求していた。米国が「日中軍事衝突は世界的大混乱招く」と危機感を抱き、紛争回避を日中に働きかけたことも大きかった。

日中間の貿易は年間3400億ドル(約42兆円)、中国には日本企業が2万3000社も進出。中国に駐在する日本人26万人、在日中国人は65万人に達しており、切っても切れない関係になっている。

昨年11月の北京での日中首脳会談では、領土問題の存在を認め合い、尖閣諸島の「事実上の棚上げ」を再確認。「戦略的互恵関係」を重視することになった。

地方・経済・文化の相互交流が活発化しており、今春以降、自民党と中国共産党による日中与党幹部会議、二階俊博・自民党総務会長を団長とする経済・観光業界3千人訪中団、日中財務対話などが開催された。11月には経団連・日本商工会議所を中心とする3千人の経済人が訪中する。

中国経済は減速傾向にあるものの7%台の成長率を維持。農村地域の都市化が進行、中産階級は4億人以上に拡大している。チャンスとリスクが混在するものの14億人の世界最大の消費市場の魅力は不変だ。中国人の訪日だけでなく日本人の観光客ももっと訪中し交流すれば、日中関係はさらに深化し共存共栄の道を歩むことができるだろう。(八牧浩行

■筆者プロフィール:八牧浩行

1971年時事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長、常務取締役編集局長等を歴任。この間、財界、大蔵省、日銀キャップを務めたほか、欧州、米国、アフリカ、中東、アジア諸国を取材。英国・サッチャー首相、中国・李鵬首相をはじめ多くの首脳と会見。東京都日中友好協会特任顧問。時事総合研究所客員研究員。著・共著に「中国危機ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外国為替ハンドブック」など。趣味はマラソン(フルマラソン12回完走=東京マラソン4回)、ヴァイオリン演奏。

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